規格

はじめに

沢山あるパソコンケースと沢山あるマザーボードなどのパーツ。それを別々に買ってきても問題なく取り付けられるのは、大きさからネジ穴の位置まできめ細かく規格が決められているからです。

ただ、登場時期や用途に応じて幾つかの規格が存在するので、きちんと確認してから買わないとケースにマザーボードが入らない!ということになりかねません。

規格

マザーボードには一般的なサイズはフルスペックの『ATX』、小さめの『MicroATX』、そして『Mini-ITX』の3種類がメジャーでしょう。

ただし、『MicroATX』は『ATX』規格の派製品で、『MicroATX』のマザーボードは『ATX』のケースに入りますし、『Mini-ITX』も『ATX』規格をベースに作られているので『MicroATX』にも『ATX』のケースにも入れることができます。

※『ATX』、『MicroATX』はIntel社が策定したのに対して、『Mini-ITX』はVIA社が策定しているので、『Mini-ITX』は『ATX』をベースに作られていてネジ穴などが統一されているものの『ATX』の派製品ではありません。

ATX規格

『ATX』用のケースには大型のフルタワー型と高さを抑えたミドルタワー型があり、一般的には5インチベイが3つから4つのミドルタワー型が主流です。

フルタワー型とミドルタワー型の違いは拡張ベイの数や電源(通常フルタワー型には二つ搭載可能)などで、マザーボードも通常のATXよりも大きなものでもドライブ類と干渉せずに利用できるものが多いです。

MicroATX規格

MicroATX用には、ミドルタワーケースよりもさらに小型で5インチベイが2つ程度のマイクロタワー型や薄型で横置きが可能なブックシェルフ型などがあります。また、ブックシェルフ型は横幅が狭いので拡張スロットがLowProfile仕様ものが多いようです。

Mini-ITX規格

Mini-ITXはもともと組込用途を想定されたもので、小型PCやキューブ型ケースなどがあります。スペックや拡張性よりもサイズを重視した規格なので、ACアダプタや省電力CPUなどと組み合わせて静音に力を入れた製品も多いようです。高さを抑えたThin Mini-ITXという派生規格もあります。

NUC規格

NUCはMini-ITXよりもさらに小型化をしたもので、ATX規格とは互換性がないのでケースは専用となります。CPUがマザーボードに直付けで、ストレージもmSATAとよばれるカード型のSSDが標準とされるなど拡張性は低いですが、文字通り手の平サイズの超小型PCが手軽につくれます。

その他

その他、サーバーやワークステーション向けのE-ATXやXL-ATXなどもあります。また、キューブ型ベアボーンなどの中には独自規格のマザーボードを搭載しているものもあり、いずれマザーボードの交換を考えているのであれば注意が必要です。

過去の規格

AT規格

ATX規格が登場する前は、AT規格というPC/AT互換機の元祖ともなるIBMのPC/ATのマザーボードに合わせた規格があり、それをベースに小型化したBabyATという規格がよく利用されていました。

AT規格はもともとPC/ATについていたマザーボードに合わせて作られたという経緯から、サイズやネジ穴などは決まっていたものの、高さなどの寸法や各種ポート(シリアルポートやパラレルポート)の位置など決まっていない部分も多く、そのためマザーボードとケースのパーツが物理的に干渉するなどの問題も少なくありませんでした。

そこで、より規格を厳密にしてパーツの互換性を高めるとともに、取り付けなどが容易になるように策定されたのがATX規格なのです。なお、ATX規格はAT規格に対する互換性に配慮して作られたので、ネジ穴など一部は共通で、ATXのケースでもほとんどの場合は電源スイッチなどを交換すればATのマザーボードが利用できるようになっていました(フルサイズATではなくベビーAT)。

※『ATX』規格に移行してからずいぶん経つので、互換性がない製品も増えてきているかもしれません。

BTX規格

Pentium 4の時代にCPU等の発する熱の廃熱が問題となり、エアフローに重きを置いてBTX規格というものが策定されました。BTXは冷却性能の向上のため丁度左右逆側にマザーボードを装着する構造となっているので、基本的には互換性はありませんでした。

互換性がなかったことに加え、CPUなどのトレンドが電力効率の良い製品へ移行したため、廃熱の問題が少なくなりBTX規格はATX規格よりも後から登場したものの、ほとんど普及することなく事実上過去の規格となってしまいました。