はじめに
CentrinoはIntelが2003年に発表したモバイルパソコン向けのプラットホームのブランドです。
Intelのモバイル向けに開発されたCPUとチップセット及びWireless LANモジュールをセットとしたプラットフォームで高性能と低消費電力がウリのブランドとなっていてモバイルパソコンを中心にノートPCで広く採用されています。
Centrinoってなんなのさ?
現在のパソコンの場合CPUだけの省電力化だけでは限界があるのでマシン全体で省電力化を進めるためにIntelはCPUとチップセット及び無線LANと合わせた三つの製品のブランドとしてCentrinoというブランドを立ち上げました。Intel Insideのマークをパソコンに貼り付けるにはIntel製のCPUを搭載している必要がるように、このCentrinoのマークをパソコンに貼り付けるにはCPUに『PentiumM』、チップセットに『Intel 855PM/GM』、LANと無線LAN『PRO/Wireless 2100』を使っている必要があって、どれか一つでもかけるとCentrinoは名乗れなくなってしまいます。
※もちろんこれは現在の構成なので今後対応製品が増える可能性が充分にあります。
Centrinoを担う各パーツ
Pentium M
Centrino Technologyの中心となるCPU部分、高い性能と低い消費電力を持つプロセッサー
Intel 855 Series
Centrino Technologyのチップセット部を担う、省電力機能とUSBなどがが強化されたチップセット
PRO/Wireless 2100 Network Connection
Centrino TechnologyのWireless LAN部として高い省電力機能と互換性を持ったWireless LAN モジュール
Centrinoはこんなにおいしい!
CentrinoのCPUとチップセット及びWireless LANモジュールの組み合わせはPCメーカーにとっても我々消費者にもおいしい話であるようなのです。というのも、PentiumMと855 Series それにPRO/Wireless 2100 の組み合わせはIntelが充分に動作チェックをしてくれるのでPCメーカーにとって自前で動作チェックをする必要がない利点があります(動作チェックには多大な時間とお金がかかるのでこれを省略できる意義は大きい)。
また、単体で購入するよりもIntelが割引をしてくれるのでコストを下げることができます。コストが下がればパソコンの価格が下がるので我々消費者は安い価格で高性能なCentrinoのパソコンを買うことができるのです。で、Intelも売れれば自社のシェアが広がって結局収益が伸びるのでみんながおいしい計画というワケなのです。
第1世代 Centrino
初代CentrinoはコードネームCarmelと呼ばれ、Baniasと呼ばれていた0.13μプロセスルールで作られているPentium MとOdemとMontaraと呼ばれていた855チップセットシリーズ、及びCalexicoと呼ばれていたIEEE802.11a/b対応のPRO/Wireless 2100ABモジュールで構成されています。
CPUに関して2004年の初めにPentium MベースのCeleron Mが投入されます。このCeleron MはPentium Mの二次キャッシュを半分に落とし、拡張版Speedstepを無効にしたもの(ただし、PentiumMのウリでもあるこの拡張版Speedstepは優秀なようで従来のSpeedStepよりも無効になるが影響が大きいらしい)ですでにVAIO Uなど一部でCeleronとして採用されていた製品です。価格もかなり下がるようでCentrinoパソコンがバリューPCに搭載されるようになると思われます。
Wireless LANに関してもCalexico2と呼ばれていたIEEE 802.11a/b/g対応のWireless LAN 2100ABGモジュールが投入され、これによりやっとCentrinoブランドが本格的にハイエンド製品まで投入できるようになるでしょう。
第2世代 Centrino
2代目CentrinoはSonomaと呼ばれるコードネームで呼ばれたもので、CPUがDothanと呼ばれていた新型Pentium Mに、チップセットがAlvisoと呼ばれていた915チップセットシリーズ、及び既存のPRO/Wireless2100モジュールで構成されます。
ただし、Dothanは855チップセットもサポートしており、当初は第1世代のCentrinoとDothanの組み合わせでリリースされているので、第2世代の特徴はチップセットが担うところが大きいと言えます。
CPUのDothanは、0.09μプロセスルールで作られ2次キャッシュがBaniasの1MBから2MBに倍増されたものです。2次キャッシュの倍増で性能が向上し、プロセスルールが微細化て高クロック化されるようです。
855チップセットシリーズの後継となるAlvisoはPCI Expressに対応したチップセットで、デュアルチャンネルメモリ、DDR2 SDRAMをサポートする他、DirectX9世代のグラフィックスコアが搭載されるようです。
サウスブリッジには新たにICH6-Mが投入されSerial ATA、NEW Cardに対応しオーディオもAzaliaとよばれる次世代規格が搭載されるなどかなり大掛かりな変化が起こるようです。
第3世代 Centrino
3代目CentrinoはNapaと呼ばれるコードネームで呼ばれたもので、CPUがYonahと呼ばれていたDual Core CPUに、チップセットがCalistogaと呼ばれていた945チップセットシリーズ、及びGolanと呼ばれていたPRO/Wireless3945ABGモジュールで構成されます。
CPUのYonahは、0.065μプロセスルールで作られ共有2次キャッシュをもつデュアルコアCPUです。Yonahはモバイル向けとして初めてのデュアルコアを持つCPUで、高度な電力制御でデュアルコアで高パフォーマンスを出しながらも、消費電力を従来品に近く抑えたとして大変期待されています。
2006年の後半には64bit対応のMeromと呼ばれるCPUが投入される予定です。