はじめに
Millinnium P750/P650は2003年に発売されたカードで既に発売されていたParheliaをベースに一部の機能を削減したものでParheliaの廉価版という位置づけです。超ハイエンドビデオカードの代表でもあったMillenniumシリーズが廉価版という位置づけで販売されているのは複雑ですが、強力な2D機能やデュアルヘッドの強化など他社のカードとは異なる特徴はMillenniumシリーズから引き継いでいます。
グラフィックチップには共にParhelia-LXを使っています。
主な仕様
- 128bitメモリバスのDDR SDRAMに対応
- DirectX 8.1(一部DirectX 9.0)に対応
- コンシューマ向けビデオカードで初の10bitカラーをサポートし、最大10億色カラーを描画可能
スペック
チップ名 | Parhelia-LX | 備考 |
---|---|---|
グラフィックチップ | Parhelia-LX | |
コアクロック | ? | |
メモリ種類 | DDR SDRAM | 128bitのDDR SDRAM対応 |
対応メモリ速度 | ? | |
メモリの最大搭載量 | 128MByte | 実際の製品では64MB品しか発売されていない |
対応スロット | AGP8X | PCI版は存在しないが対応している可能性はある |
DirectXの世代 | DirectX 8.1 | 一部 DirectX 9 をサポート |
OpenGLの世代 | OpenGL 1.3 | |
ハードウェア T&L | - | ハードウェアT&LはDirectX 9の仕様によりバーテクスシェーダによるエミュレーションで処理 |
ピクセルシェーダ | Ver 1.3 | |
バーテクスシェーダ | Ver 2.0 | |
ジオメトリエンジン | ? | ? |
レンダリングエンジン | ? | ? |
プロセスルール | 0.15 | |
Mpeg再生支援 | DVD再生支援 | |
その他 | - |
特徴
このカードは、3Dに関して他社に遅れをとってしまっていたMatroxが一発逆転を狙って投入されたParhelia-512チップの機能を制限したParhelia-LXを採用したものです。
ボード名 | Parhelia-512 | Parhelia-LX | 備考 |
---|---|---|---|
メモリバス | 256bit | 128bit | |
ピクセルシェーダ | 4本 | 2本 | |
AGP | AGP4X | AGP8X | LXの方が強化されてる |
※この他コアクロックやメモリクロックにも差があると思われる。
ParheliaではMillennium G400シリーズ以来の新チップの投入で、特に3D機能が大幅に強化されDirectX 8.1に対応しました。本来はDirectX9.0に対応したカードとして発表されたのですが、ピクセルシェーダがDirectX 9.0世代のVer2.0ではなくDirectX 8.0世代のVer1.3だったので一般にはDirectX8.1対応とされることが多いようです。
Parhelia-LXはParheliaに搭載されていたParhelia-512をベースに3D機能を制限したものですで、DirectX 9.0に完全対応していてもっと高速で安価なグラフィックチップが他社からリリースされているのでコアな3Dゲーマーには不向きですが、以前のように3Dゲームはからきしダメというワケではなく一般程度にはできるようになったようです。
コアは初の512bitのGPUですが、性能的に他の256bitのGPUと差がないことからあまり注目されてはいないようです。メモリはMillenniumG450/G550は64bit DDR SDRAMだったのに対してParhelia-LXは(Parheliaの半分になったにも関わらず)倍の128bitとなっていてメモリクロックの引き上げとあいまって全体的なパフォーマンスが向上してます。
Windowsでは各色8bitで系1677万色表示できますが、Parhelia-512/LXでは各色10bitで表示できるので10億色の表示ができます。まだWindowsではサポートされていないのが残念ですが、対応アプリケーションが登場すればMillenniumGシリーズよりもさらに2D画質が強化されたことになります。
Parhelia-512/LXは二つのRAMDACを内臓している上に外付けのRAMDACを一つ搭載できるので、Millennium G400の時のように内臓RAMDACと外付けRAMDACの両方を使ってトリプルディスプレイという機能を持ちます。また内蔵RAMDACは400MHzにも達し、高解像度までちらつきの少ないクリアな画像が表示できます。MillenniumP750は外付けRAMDACも搭載しているのでトリプルディスプレイに対応していますが、Millennium P650はデュアルディスプレイまでの対応となります。
Millennium P750とMillennium P650の差
ボード名 | Millennium P750 | Millennium P650 |
---|---|---|
トリプルディスプレイ | ○ | × |
冷却装置 | ファン | ヒートシンク |
※P650とP750は同じParhelia-LXを使っていますが、P750にはファンがついているのにP650にはついていないことや、Matroxにサイトにある性能表でパフォーマンスが異なることからコアクロックとメモリクロックのどちらかまたは両方に違いがあると思われます。
MatroxはMillenniumシリーズは2Dは強いけど3Dは弱いというイメージを払拭すべくParheliaという新たなブランドでグラフィックカードを投入してきました。ところがは3D機能を大幅に強化したParheliaですがかなり高価だったのに加え、すぐに競合メーカーからより強力な性能をもつカードをリリースされてしまい結局成功したとは言いがたい状況になってしまいました。
Parheliaには2Dでも強化された点があり、すでに実績があり多くの熱狂的支持者をもつMillenniumシリーズに3D機能を限定して2D機能はそのままに投入したのが、MillenniumPシリーズというワケです。これが当初の計画だったのか、Parheliaが成功しなかったので急遽投入したのかはわかりませんが、もしParheliaの失敗がMillenniumシリーズの存続につながったとしたら皮肉なものですね。