各部の名称と役割

はじめに

このページではHDD上のパーツやコネクタ等の名前と役割についてお話します。

図

各部の説明

1.軸受け

円盤を支える軸受けです。1分間に5000回転から10000回転もする円版がブレずに回転できるように支える軸なので、その精度が極めて高いものが要求されます。

一般的にボールベアリングが利用されていましたが最近では流体軸受けを利用したものが増えています。流体軸受けはボールベアリングの金属性のボールの代わりに液体を使ったワケで動作音が静かで長寿命という特徴がありますボールベアリングは金属玉がこすれるので音が大きめで、この玉が磨耗するので寿命は5年程度といわれています。

しかし、なぜか高速回転の軸受けにはボールベアリングが使われているところをみると高速回転には向かないのかもしれません。流体軸受けはボールベアリングに比べて利点が多いようですが、ボールベアリングは長らく使われてきた実績があり、技術が成熟しているという利点で有利です。

2.プラッタ

データを記録している円盤です。材質は以前はアルミニウム製が使われていましたが、振動に強い必要があるノート用のHDDから、キズに強いといわれるガラス製のプラッタが徐々に使われ始めているようです。プラッタには磁性体が塗られていて、これに磁的に記録するのがHDDの原理です。

プラッタ1枚に記録できる容量はその密度によって変り、逆にプラッタ一枚あたりに記録できる量が多いHDDはプラッタでの密度が高く記録速度が高速になります。

3.ヘッド

データを読み込む場所ですね。

4.アーム

ヘッドを移動させるための棒です。

5.退避場所

HDDをのヘッドは円盤の回転による風圧によって極微量に浮いています。よって停止時などはヘッドが円盤上にあると円盤に接地して円盤にキズがついてしまいます。このため停止時にはヘッドは円盤上から退避して退避場所まで移動します。このため、パソコンはきちんと終了処理をしてから電源を切る必要があるのです。

また、円盤が回転していても振動があるとヘッドが円盤に接触してキズが付く可能性があります。これがHDDが振動に弱いとよばれる所以です。このためHDDが稼動中でも利用していない時に自動的に退避場所に退避させる機能としてロード・アンロード機能というものがあり、これを搭載するHDDでは耐振動が高くなります。しかし、それでも読み書きしている最中には意味はないので、衝撃に弱いことには変わりません。

6.インターフェイス

SATAコネクタや電源などが用意されています。IDEの時代ではマスターとスレーブなどを設定するジャンパピンもここにありました。

7.コントロールチップ

最近では、HDDの動作のほとんどはHDD上に搭載されたコントロールチップが処理します。コントロールチップは通常自社製のものを使っていて各社の色が出る部分でもあります。

ちなみに、円盤やヘッドなどのHDD本体部分は熱にある程度強いのですが、コントローラーチップなどは半導体なので熱に弱く、このため発熱が多いHDDは冷却にも気をつけねばなりません。HDDの寿命や故障は、このエアフローなどの環境に大きく影響されると言われています。

8.バッファー

HDDがパソコンの他のメモリやCPUに比べて低速なのは、いくら技術が進歩しても原理的になかなか解決できるものではありません。そこでHDDでは少しでも高速にデータを転送できるようにHDDの中でも特に使う部分をバッファというメモリに読み込んで転送します。基本的にはバッファが多ければ多いほどよいワケですが、現在では2MBから8MB程度が一般的です。

また、バッファの使い方はコントローラチップによるところですが、良く使うデータというのも一概には言えないので、そこのところのチューニング次第で同じ容量のバッファでも性能に差が出る場合がありメーカーの特色になります。とくにチューニングによって大容量のデータを転送する性能が高いとか、細かいファイルを転送するのが強いとかそういう得手不得手というものがあるので、HDDを選ぶときには自分の使用目的に応じて選ぶことが大切だと思われます。

ところで、HDDに搭載されているメモリはメインメモリよりもずっと低速なメモリでも性能的には充分にも関わらず、なぜ容量がこれほどまでに少ないのかが不思議です。現在4GBのメモリが2000円程度で買えることを考えると64MB程度で留まっている理由が分りません。容量が多くなるとコントローラの設計が複雑になりますが、同じ型版でバッファの量が異なるモデルも存在していて、しかも結構価格差があるのはなんででしょう?