各部の名称と役割

はじめに

このページではサウンドカード上のチップやパーツ等の名前と役割についてお話します。

図

各部の説明

この図はAC'97策定前のサウンドカードを参考に作成したので、現在のサウンドカードとは異なる部分があります。

1.サウンドチップ

AC'97ではデジタルコントローラと呼ばれ、サウンドボードの機能を司るチップです。そのカードの機能と特徴などはこのコントローラによって決まるといっても過言ではなく、同じデジタルコントローラを積んだサウンドボードは同じような機能を持ちます。

2.コーディック

AC'97ではアナログコントローラと呼ばれDA/ADコンバータが主な機能です。このコーディックによりそのサウンドカードの音質が左右されますが、アナログ音質は回路設計にもかなり影響されるのでコーディックが同じでも音質は変ってきます。

コーディックより先(入出力端子方向)はアナログ回路となりその前はデジタル回路となるので回路形式が異なるという特徴があります。(逆に同じような感じだったら、そのボードは回路についてあまり考えていない)

3.インターフェース

この図ではインターフェースに旧式のISAバスを利用しています。最近ではPCIバスを利用した製品が主流です。

4.入出力端子

この図でLine OUT、Mic IN、Line INを搭載しています。AC'97ではコネクタに色による指定をしており、LineOUTがうす緑でMic INが赤、Line INが水色と決まっています。最近のサウンドカードでは5.1チャンネルステレオが主流で通常はRear OUTやCenter OUTなども配置されることが多いです。

⑤内部入出力端子

CDやモデムなどと内部で接続できるように内部コネクタが配置されます。これらのコネクタはアナログ入出力ですが、最近ではデジタルデータとしてPCIなどのインターフェースを使って直接データのやりとりが行われるようになり必要性が少なくなってきています。通常はCD IN、Aux IN、Line OUTがなどがあり、Aux INやLine OUTは外部入出力端子と内部でつながっていて同じものになります。(ちなみにAux IN = Line IN)

⑥FM音源チップ

以前MIDIやMIDIを使ったゲーム音楽を演奏する際に利用されていたシンセサイザーチップです。最近では安価なソフトウェアによるWAVE TableSynthesizerが主流になりFM Synthesizerはなくなりつつあります。また、デジタルコントローラに内臓されることもあるようです。

⑦WAVE Table Synthesizer

この図ではハードウェアによるWAVE Table Synthesizerを搭載しました。以前はサウンドボードにはMIDIの演奏用にはFM音源が搭載されていて、音質が高いWAVETable方式のシンセサイザーは別途用意する必要がありました。しかし、一部のカードではこのWAVE Table Synthesizerをカード上に搭載してMIDIの演奏をできるようにしたものも発売しています。

現在ではこのシンセサイザーチップもデジタルコントローラに統合されるか、CPUで演奏するソフトウェアSynthesizerを利用するようになり、このようなシンセサイザーチップがボード上に乗ることはなくなりました。

⑧音色用ROM

ハードウェアによるWAVE Table Synthesizerを利用する場合はその音色となるWAVEデータをROM上に格納しておく必要があります。WAVETable Synthesizerはその音色データの品質がものを言うのでこのROMがある程度大容量の方が一般に音質が高くなる傾向があります。

また、音色を後から変更したり自分で入手したりして音質を高められるようにRAMを用意したり増設できるようにしたりするタイプも存在しました。一般的には512KBから4MB程度の容量のROM/RAMが利用されることが多かったようです。

インターフェースにPCIを利用する場合は高速なやり取りができるので、最近のインターフェースにPCIバスを利用した製品はメインメモリの一部の領域を音色用のRAMとして利用する製品も多く、安価ながら高音質なMIDI音源の搭載を可能としました。

⑨ゲームポート

MIDI機器とジョイスティックを接続するためのインタフェースとして搭載されています。通常はMPU-401のURATモード互換のMIDI/ジョイスティックポートでDsub-15pinのコネクタを利用します。MPU-401はローランドがPC/AT互換機向けに発売したMIDI機器を接続するためのインターフェースボードです。なお、Dsub-15pinはアナログのディスプレイ出力と同じですが形状が異なり互換性もありません。

最近ではMIDIもジョイスティックもUSBへ移行しておりゲームポートも使われることは少なくなりましたが、今でもほとんどのサウンドカードに搭載されています。