はじめに
VAIO SRX3Eはモバイルパソコンで性能は高い方ではありません。しかし、Windows XPを使うには非力でも旧バージョンのWindowsにすることで体感速度を良くする事ができるかもしれません。
このページでは、VAIO SRX3EにWindows 2000 Professionalを入れてみることとし、そのインストールする方法と実際に使用してみた感想などをお話しようと思います。
Windows 2000の利点
Windows XPはWindows 2000の改良版です。見た目と操作方法などが変更されましたがドライバ類を含めて基本的な部分はほとんど共通です。と、いうことはWindows XPが動くSRXシリーズはWindows 2000も動くのではないか?という考えにたどり着くのは当然です。
でも、ほとんど共通ならリスクをおかしてまで変える必要はないのでは?と考えるかもしれません。そんなことはありません。Windows 2000はそもそもビジネス用途向けに作られたものなので安定性と実用性を重視して作られているので視覚効果や親切機能?がない分軽くなっています。よって、Windows 2000に変えることによってSRXシリーズでもWindows XPと変わらぬ機能と更なる高速化が期待できるのではないか?ということなのです。
準備
Windows 2000は複数の方法が考えられます。
- OSからのインストール。
- セットアップ起動ディスクを使ってインストール。
- ブート可能なCD-ROMドライブを使ってインストール。
- はインストーラが自動的にインストールに必要なファイルをHDDにコピーしてしまうのでDOSで利用可能ならばWindows 2000で使えないCD-ROMドライブでも良いという利点がありますが、インストール途中でCドライブのパーティションをイジることができなくなる欠点もあります。
- はセットアップ中にCD-ROMドライブを利用するのでCD-ROMドライブ(というよりそのインターフェース)がWindows 2000のセットアップに対応している必要があります。(Windows 2000のセットアップ中でも利用できるドライバがないとダメで単にWindows 2000のドライバがあるだけでは不十分。)
- はSRXの場合は純正のi.Link接続のものということになるでしょう。この場合でもインストール中にCD-ROMドライブを使うのでセットアップ利用できるドライバが必要ですがこちらは標準のIEEEのCD-ROMドライブとしてドライバは不要なようです。(私は持っていないので試してませんので詳しくは分かりません。)
※1.の方法について詳しくは『SRX3E with Windows NT 4.0』を参照してください。
どの方法も最初の出だしが異なるだけで途中は大体同じです。
今回は、たまたま私の持っている PC Card のSCSIカードがWindows 2000のセットアップに対応していたのでWindows 2000のセットアップ起動ディスクからインストールすることにしました。
セットアップ起動ディスクを実行するブート可能なUSBフロッピーと、Windows 2000のセットアップに対応したPCカード接続のCD-ROMドライブが必要です。また、Windows 2000のセットアップ対応のCD-ROM(のインターフェース)のドライバディスクを用意します。
もし、セットアップ起動ディスクが付属していないパッケージの場合はWindows 2000のCD-ROMの中にあるBOOTDISK\MAKEBOOT.EXE又はMAKEBT32.EXEを使って作ってください。(フロッピー作成に使うOSがWindows NT/2000/XP
ならMAKEBT32を、それ以外ならMAKEBOOT.EXEを利用する。)
FDが計4枚必要です。
今回は2.で行ったのでインストールが終わった時点ですでにCD-ROMもFDも利用可能でした。しかし①でやった場合はCD-ROMが利用できないので予めCD-ROMやLANのドライバをFDなどにコピーしておく方がいいでしょう。
※この時のやり方について詳しくは『SRX3E with Windows 98 SE』を参照してください。
インストール手順
Windowsのインストール
セットアップ起動ディスクをFDに入れて起動します。この時に充分注意していると下のほうに『Press F6 if you need to install a third party SCSI or RAID driver』という指示がでています。自分の持っているCD-ROMドライブ(のインターフェース)がWindwos 2000に標準ドライバが登録されていない場合はここですかさず『F6』キーを押します。そうでないと途中でCD-ROMドライブがないって言ってきてインストールが終了してしまいます。(終了しないでドライバを組み込む画面に行くぐらいの配慮があっても良かったと思う。Windows NTの時はそうだったんだが。)
Service Packのインストール
Windows NT系はService Packによってドライバが提供されたり今まで使えなかったデバイスが使えるようになったりします。この為ドライバなどを見ると、『Service Pack * 以上』のような但し書きがついているものも多く見られます。よってWindows 2000のインストールが終わったらすぐにService Packを適用するのが得策でしょう。
ServicePackがCD-ROMで提供できないのならば、先にLANドライバをインストールしてダウンロードします。
ドライバのインストール
インストールする順番はとくに重要ではないのですが、やはり要となるチップセットドライバは先にインストールしておきましょう。
※各ドライバの入手方法については『SRX3E』のOSのインストール準備編を参照してください。
ドライバリスト
種類 | 方法 |
---|---|
チップセット | チップセットドライバはIntelのホームページからダウンロードしてきてインストーラを使って更新します。このドライバを組み込まないと有効にならないドライバがあったり、その他のデバイスに表示される『PCI Device』が一個多くなったりします。 |
LAN | デバイスマネージャのその他のデバイスにある『イーサネット コントローラ』がLANコントローラです。通常はインストーラを使ってインストールすれば自動的に認識します。 |
グラフィック | デバイスマネージャのその他のデバイスにある『ビデオ コントローラ(VGA互換)』がグラフィックドライバです。プロパティからドライバの更新を選んで更新します。 |
オーディオ | デバイスマネージャのその他のデバイスにある『マルチメディアオーディオコントローラ』がオーディオデバイスです。プロパティからドライバの更新を選んで更新します。 |
無線LAN | デバイスマネージャのその他のデバイスにある『Lucent Technologies-WaveLAN/IEEE』が無線LANです。Windows 2000ではクライアント用のソフトがないと無線LANは利用できません。メーカーサイトからダウンロードしたドライバ付きのクライアントのソフトをインストールすればドライバも組み込まれて自動的に認識します。 ちなみにクライアントソフトは常駐してしまうので無線LANを使う予定がないのならば上グラフィックやオーディオと同じ方法でドライバだけ更新してクライアントソフトをインストールしなければ余計なリソースの消費を多少防げます。 |
モデム | デバイスマネージャのその他のデバイスにある『PCI Device』がモデムです。プロパティからドライバの更新を選んで更新します。 |
インターフェース | デバイスマネージャのその他のデバイスにある2個の『不明なデバイス』のうちプロパティにリソースタブがない方がSONY Notebook Control Deviceです。 間違ったドライバを適用しようとしてもハジかれるので適当にやってみてOKです。 |
インターフェース | デバイスマネージャのその他のデバイスにある2個の『不明なデバイス』のうちプロパティにリソースタブがある方がSONY Programmable I/O Control Deviceです。 間違ったドライバを適用しようとしてもハジかれるので適当にやってみてOKです。 |
モニタ | デバイスマネージャのモニタにある『Digital Flat Panel』がモニタです。プロパティからドライバの更新を実行し『一覧から選択』を選びます。『ディスク使用』を選択してバックアップしたドライバを選択して組み込みます。 |
キーボード | デバイスマネージャのキーボードにある『101/102英語キーボードまたはMicrosoft Natural PS/2 キーボード』がキーボードです。Windows 98SEとは違いこのままでも全く問題なく利用できますが、精神衛生上よろしくないのでプロパティからドライバの更新を実行し『一覧から選択』を選びます。『このデバイスクラスのハードウェアをすべて表示』にチェックを入れて左の窓でを『(標準キーボード)』を選択して右の窓で『日本語 PS/2 キーボード(106/109キー Ctrl+英数)』を選びます。Windowsが文句言ってきますが、そこはWindows を信じるかこのサイトを信じるかというところでしょうか(笑)。 |
ポインティングデバイス | デバイスマネージャのマウスとそのほかのポインティングデバイスにある『PS/2 互換マウス』がポインティングデバイスです。プロパティからドライバの更新を選んで更新します。PS/2互換マウスのままでもマウスとしては普通に利用可能で、ドライバを入れるとそれ以外のファンクションが利用可能になりますが重くなるので今回はあえてインストールしませんでした。 |
メモリスティック | デバイスマネージャのその他のデバイスにある『USB Memory Stick Slot』はメモリスティックドライブです。これはWindows Updateをしたら勝手にドライバがダウンロードされてインストールされてました。 |
※メモリスティックは前回行った時は確かにWindows Updateで更新されたのですが、今回は何故かうまくいきませんでした。サービスパックやドライバの組み込み方に問題があったのでしょうか。
※『不明なデバイス』を見分けるのもいいですが、両方のドライバを同じフォルダに入れておけばドライバの保存先をそのフォルダに指定すれば正しい方を勝手に選んでくれます。
これでドライバはすべて正しく認識されました。
OSのアップデート
サービスパック以外のOSのアップデートもしておきます。とりあえずInternet ExplorerとDirectX、及びWindows Media Playerの最新版をダウンロードして適用しましょう。終わったらWindows Updateで細かな修正パッチを適用します。
SONY製のユーティリティ
せっかくクリーンインストールしたんですから余計な常駐ソフトをゴチャゴチャと入れてしまっては意味がありませんがモバイルパソコンとして最低限入れておきたいSONY製ユーティリティを入れておきましょう。
※各種ユーティリティの入手方法については『SRX3E』のOSのインストール準備編を参照してください。
ユーティリティリスト
機能 | ユーティリティ名 |
---|---|
共通 |
|
省電力機能 |
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コントロール |
|
ファンクション |
|
好みで選んでいいと思いますが、ファンクション以外は入れておくことをお勧めします。
その他のソフトのインストール
あとは普通のパソコンと同様です。用意したSONY製の付属アプリケーションをインストールするもよし、市販のソフトをインストールするもよし、フリーソフトで固めてもよしと自由です。人間もパソコンも中身が重要です。どうぞオリジナルのSRXにしてやってください。
付録
やはりVAIOにはVAIOらしさが必要という方も多いと思われます。例えば壁紙とかマイコンピュータのプロパティに表示されるSONYのロゴなどetc etc…。いずれもリソースをバックアップしておくことでクリーンインストールしたSRXでも可能です。
リソース | 場所 |
---|---|
壁紙 | c:\Windows
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スクリーンセーバー | c:\Windows\system32\
|
OEM情報 | c:\Windows\system32\
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メモリースティック | c:\Windows\system32\
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※通常WindowsフォルダはWindows XPの場合『Windows』、Windows 2000の場合は『Winnt』となります。単にフォルダ名が異なるだけですがそこの違いを理解すると分かりやすいと思います。
※ ちなみに、oeminfo.iniはメモ帳で編集してオリジナルのものが作れます。oemlogo.bmpもペイントで編集できます。いずれの機能もVAIOだけでなく多くのプリインストールマシンで同様になっていてWIndows 2000/XP以外でもWIndows 95/NT 4.0から利用可能となっています。
完成!
軽快で安定しているWindows 2000です。
このWindowsらしい雰囲気が私は好きです。
結論
速度的には確実に速くなっていますが、Windows 95の時やWindows 98SEの時に比べてはあまり変わらないのも事実です。逆に起動や終了は遅くなりました。しかもかなり。これはOSの仕様なので仕方がありません(起動終了が早いのがWindows XPのウリの一つ)。
しかし、実用化は完璧です。デバイスやユーティリティなどの制約がほとんど全くないのでWindows XPと同様に利用できます。SRXにWindwos 2000モデルがあっても不思議ではないと思うくらいです。
Windows 2000化もさることながらクリーンインストールした効果も大きいです。やはり全部自分んで調整している分SRXにの状態に対する理解度がかなり上がります。ソフト類もはじめから計画的に取捨選択すれば常駐ソフトならばメモリの消費を抑えられますし、そうでなくてもHDDの容量がかなり節約になります。実際私は大体6GB程度しか消費していないのでHDDのは70%程度あいてます。
消費電力の問題もほとんど完璧にクリアです。Windows XPの省電力機能はWindows 2000のそれとほぼ同等の機能ですからどちらでも電池の持ちはかわらないと思われます。省電力ユーティリティをインストールできるのでモバイルパソコンとしても充分に使えます。
これらを総合すると、マルチメディアや視覚効果をあまり重視しない機能主義でビジネス用途や趣味などを家の中外かかわらず軽快に使いたいという場合にいいかもしれません。