VAIO SRX Wireless LANの交換

はじめに

SRXシリーズはWireless LANを本体に内蔵しているので本体単体でWireless LANを使うことができます。今やWirelessLANはモバイルパソコンの必須機能の一つに挙げられますが、当時としては本体に内蔵した機種は少なく、先進的な機能でした。

ただ、SRX3Eに搭載されているWireless LANはIEEE802.11b で最大転送速度は11Mbps、WEBやメール程度ならば問題にはならないでしょうが、大きめのファイルを転送するような場合には力不足は否めません。また、搭載されているモジュールにクセがあるようで、(私の環境では)アクセスポイントが認識できなかったり接続できなかったりする相性問題が頻繁に発生して困っていました。

ということで、今回はWireless LANをIEEE802.11gに対応したIntel製のものに交換することにしました。Centrinoでも採用されているモジュールなのでアクセスポイントとの相性問題も少ないことがで期待できます。以前HDDを交換しましたが、HDDと違って本格的に分解することになるので難易度は少々高めだと思います。
SRX3EのHDD交換について詳しくは『SRX3E HDDの交換』を参照してください。

分解や交換はメーカーの保証外の行為で、1年以内でも無料保障がなくなります。また、Wireless LANモジュールによっては相性などの問題でSRXシリーズで動かない可能性もあります。

Wireless LANの交換にチャレンジ

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これが今回交換する新しいWireless LANモジュール、IntelのPRO/Wireless 2915ABG。SRX3Eに内蔵されているWirelessLANはMini-PCI規格のモジュールなので、差し替えるだけで利用できます。アンテナも元々のWireless LANに繋がっていたものをそのまま利用できます。

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まず、SRX3Eの裏側のネジを外します。表側にもネジがありますが、写真のようにシールで隠されています。まずマイナスドライバーなどでシールをはがしてからネジを外します(左右にあります)。SRX3Eに限らず、ネジをシール等で隠すというのは電気機器では定石のようです。

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ネジを外すとキーボード側の黒いプラスチック部分が外れるのですが、キーボードとタッチパッドからの配線(テープ状のもの)があることに注意しましょう。コネクタの茶色の部分を起こしてロックを外してからケーブルを抜き取ります。キーボードとタッチパッドそれぞれ各1本の2本があります。

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長い道のりを経てやっと本体基盤を拝めました。以前の分解レポート以来、実に4年ぶり。いやぁ懐かしい。
SRX3Eの分解レポートについて詳しくは『SRX3E 分解』を参照してください。

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これが今まで搭載されていたLucent Technology製のWireless LANモジュール。ちなみに白と黒の配線がアンテナ線で、コネクタに接続されているのでこれを外します。

上のシールの下にチップが2つあり、その1つがTexas Instruments PCI-1410 Card Bus コントローラーでした(右図)。以前の分解レポートの際に、Mini-PCIモジュールなのにWindowsから見るとCardBusに接続されているように見えると書きましたが、どうやらこのモジュールはCard Bus用のチップをCard Busコントローラを介してPCIに接続しているようです。これでSRXシリーズにCardBusスロットが1つしかないハズなのに2つ認識していた謎も解決です。
SRX3Eの分解レポートについて詳しくは『SRX3E 分解』を参照してください。

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買ってきた新しいモジュールを差し込んでアンテナ線を接続して完了です。ちなみにアンテナ線の白と黒のどちらをどちらに接続するべきかよくわからなかったので、別の機種への交換をしているサイトの写真が上記のようになっていたのでマネした次第です。もし、その機種の白と黒の配色が逆だったら。。。


これで取り付け作業は完了です。分解したときの逆の手順で元に戻します。

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Intelのサイトあたりからドライバーをダウンロードしてインストールすると、デバイスマネージャーに『Intel PRO/Wireless 2915ABGNetwork Connection』が表示されます。(Card Busもちゃんと1つになっていました)。ドライバーのインストールが終わったら、続いてクライアントソフトなどもインストールします。

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IEEE802.11gで54Mbpsでネットワークに接続されているのがわかります。感度もまずまずなので配線もあっていたのでしょう。ちゃんとインターネットもLANの共有も快適にできました。Intelのクライアントソフトは着実にバージョンアップを続けているだけあって、今まで使っていたクライアントソフトよりも使い勝手が良いです。

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ところで、SRXシリーズにはハードウェアでWireless LANのスイッチが付いていますが、新しいWireless LANでもこれは利用できるようです。上のスクリーンショットはスイッチを切ったときの表示です。ダイアログに『ハードウェアのスイッチを使用してください』の表記があることから、ハードウェアのスイッチの存在を認識していることが分かります。

感想

今回の改造はスペック的にはIEEE802.11gへの対応で、最大転送速度が11Mbpsから54Mbpsに向上したという点くらいです。ですが私は相性問題の解決とクライアントソフトの使い勝手の向上が最大のメリットだと思います。

IntelPRO/Wireless 2915ABGはCentrinoでも採用されているモジュールなので搭載しているPCも多く、その為アクセスポイントとの相性なども少ないと思われます。(アクセスポイントメーカーがこのモジュールとの親和性がよくなるように調整しているハズ)

まだ限られた場所でしかIEEE802.11gの恩恵にあずかることができませんが、今後はモバイル環境もどんどんブロードバンド化していくと思われます。この改造が真価を発揮するのはもうしばらく先になると思います。