α7 S with Angenieux Retrofocus Type R11 28mm F3.5

はじめに

 Retrofocus Type R11 28mm F3.5は1954年Aにフランスの光学機器メーカーのアンジェニューが発売した広角レンズです。カールツァイスのディスタゴンを買おうとお店に行って、なぜか帰りの買い物袋にはこのレンズが入ってました。。。良くあることです(笑)。

写りについては、淡く繊細な色合いが印象的で他のレンズとは違った独特な描写だと思います。なにせPARISの文字が輝くMade in Franceです。ドイツが光学性能を極めたレンズだとすれば、フランスは芸術を極めたレンズ、そんな期待を裏切らない優雅で美しい写真に仕上がるのです。

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Retrofocus Type R11 28mm F3.5

アンジェニューは1950年に現在の一眼レフ向け広角レンズの基本となる『レトロフォーカス』というレンズ構成をスチルカメラのレンズに初めて採用したRetrofocus Type R1 35mm F2.5というレンズを発売、続いて1954年に発売されたのがこのRetrofocus  Type R11 28mm F3.5です。

それまでの広角レンズはBiogon 35mm F2.8に代表される対称型レンズでしたが、構造上フランジバックを短くする必要がありミラー機構がある一眼レフでは大きな制約がありました。これに対してレトロフォーカス型はフランジバックをが確保できるため、現在でも一眼レフカメラを中心に広く使われている方式です。

ちなみに、レトロフォーカスとは"フォーカス=焦点"を"レトロ=後退"させるという意味で、フォーカス部分がレトロな雰囲気とかいうわけではないのですが、ゆるい解像感と淡い色合いの描写が言い得て妙ですね。余談ですが、当初買う予定だったカールツァイスのDistagonもレンズ構成はレトロフォーカス型です。

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Retrofocus Type R11 28mm F3.5は製造時期により前期型と後期型があるようで、購入したレンズは1955年製の後期型でリングの溝の間隔が広いです。

このレンズはいくつかのマウントがありますが、比較的人気がないEXAKTAを採用したものです。どうせマウントアダプターを介すので、売る気がないなら価格が安くて状態の良いものが多く残っている人気のないマウンタの方がお買い得だと思います。KIPON社製のアダプタのEXA-NEX(8000円程度)を使用しました。

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写りの印象

淡く繊細な色合いで他のレンズにない独特な写真になるというのが第一印象でした。ノンコートの古いレンズ達も使っているので淡い描写には馴染みがありますが、それらとも違い独特ですが滑らかで美しい描写だと思います。古いフイルム写真というよりかは、私達のイメージするノストラジックな雰囲気の写真という方がシックリくると思います。

なお、色味で惑わされますが、よく見ると思いのほかシャープだったりします。淡い色味のせいかピントが合わせづらいですが、開放でもピントの部分はそこそこ解像感があり、少し絞ると多少ピントをハズしても周辺までほどよくシャープな写真になります。

マイクロフォーサーズやコンデジではこの程度の画角は普通でしたが、α7Sでは標準レンズばかり使っていたので、ここまで広角だとちょっと戸惑ってしまいます。とはいえ、この独特の雰囲気とダイナミックに景色を切り取れる広い画角、カメラを携え旅に出たくなる、そんなレンズです。

α7S + Retrofocus Type R11 ISO500 F8 1/60 +0.3 Vivid

作例

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