α7 S with Jupiter-8M

はじめに

Jupiter-8Mは旧ソビエト連邦(ロシア製)のレンズです。ロシア出張の際にお土産で買ったのですが、お値段なんと700円!タイプミスではありません七百円です。ただ、マウントがコンタクスマウントだったため、マウントアダプタの種類が少なくメチャクチャ高い!

写りの方はクセがなく使いやすい印象で、開放側では直射日光(逆光でなくても)に弱くコントラストが低いですが、それがまたノストラジックな写真に仕上がるので気に入って使っています。逆に少し絞るとごく普通に写ってしまい面白くないと感じることも。個人的にはα7 Sに取付けた際の見た目は、これがイケてると思います。

ちなみに、ロシア語ではЮпитерと書きますが、Юがユ、п=P и=I、р=Rに相当するのでユピテルと読むようです。

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Jupiter 8M 50mm F2

第二次世界大戦でドイツに勝利したソビエトは、ドイツのレンズ技術者や製造装置をソビエトに連れて行きました。こうして、ロシアではカールツァイスのレンズをベースとしたコピーレンズが数多く登場しています。ただ、コピーといっても技術者や製造装置を連れてきて行っているので、パクりというよりかは現地工場のイメージに近いかもしれません。

Jupiter-8Mはカールツァイスの名設計者ルートヴィッヒ・ベルテレ氏が1931年に設計したSonner 50mm F2のコピーと言われていて、オリジナルの方は今でも高い評価を受けています。

ロシアのレンズは製造番号の先頭2桁が製造年月なので、このレンズは1978年製ということになります。ちなみに、品質は古い方が良い(コピー直後だから?)と言われています。また、製造工場がいくつかありマークで区別ができますが、工場ごとの品質に大きな差はなかったようです。このレンズはマーク(右写真)よりアーセナル製のようです。

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このレンズはライカLマウントのものもあるようですが、私の買ったのはCONTAX C(オールドコンタクス)マウント内爪タイプで、このCONTAX Cマウントの内爪タイプはピントリングがカメラ側にあるのでマウントアダプタにピントリングを付ける必要があり種類が少なく値段も非常に高価です。

私はKIPON社製のCRF-NEXというアダプタを使いましたが、33000円もするのでレンズの50倍、結構良いレンズが買えてしまうお値段です。ただ、このマウントアダプタ自体は旧コンタックス用のレンズで使えるのでカールツァイス好きは持っていて損はないと思います。

ちなみに私の場合、アダプタの精度が悪いのか、レンズが歪んでいるのか、取り付けが非常に渋く、強く取付けたら今度は取れなくなったり(回転機構がついているのであまり力は掛けられない)とかなり手こずりました。

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写りの印象

F2~F2.8では甘くコントラストが低いノストラジックな写真になるので愛用していますが、F4くらいに絞るとごく普通に写ってしまうので面白みに欠けるかもしません。直射日光下では開放にすると逆光でなくてもフレアで白っぽくなることがありますが、日陰やF2.8~F4くらいに絞ると問題ありません。

周辺は解像度が低いようにも見えますが、ピントの合わせ方などが原因かもしれません。周辺光量落ち(ヴィネッティング)は標準レンズということもあり感じられません。ボケも綺麗で絵のバランスも良いので、値段(700円(笑))を考えるとものすごくコストパフォーマンスが高いレンズといえるのではないでしょうか。

ロシア製レンズ全般に言えることのようですが、ロシア製ということで安い値段で売られていますが、もとがあのカールツァイスの設計をベースにしているのでデキは上々なようです。ブランドに拘らなければ手軽に質の良いオールドレンズが楽しめる、さながら下町のカールツァイスといったところでしょうか。でも、いつかは本家Sonnar 50mm F2も使ってみたいですね。

作例

α7S + Jupiter-8M ISO1000 F2.0 1/4000 Vivid

α7S + Jupiter-8M ISO1000 F2.0 1/8000 Vivid

α7S + Jupiter-8M ISO1250 F4.0 1/6400 Vivid

α7S + Jupiter-8M ISO100 F2.0 1/320 +0.7 Vivid

α7S + Jupiter-8M ISO100 F4.0 1/250 +0.7 Vivid

α7S + Jupiter-8M ISO100 F4.0 1/125 +0.3 Vivid

α7S + Jupiter-8M ISO50 F2.0 1/1000 -0.3 Vivid

α7S + Jupiter-8M ISO50 F4.0 1/125 Vivid

α7S + Jupiter-8M ISO3200 F2.0 1/60 -1.0 Vivid

α7S + Jupiter-8M ISO50 F22.0 30 -1.0 Vivid

α7S + Jupiter-8M ISO100 F4.0 1/2000 -0.7 Vivid

α7S + Jupiter-8M ISO100 F4.0 1/60 -0.7 Vivid

α7S + Jupiter-8M ISO100 F2.0 1/3200 +0.7 Vivid

α7S + Jupiter-8M ISO100 F2.0 1/3200 Vivid

α7S + Jupiter-8M ISO100 F2.0 1/1000 Vivid

α7S + Jupiter-8M ISO100 F2.0 1/4000 -0.3 Vivid

α7S + Jupiter-8M ISO100 F2.0 1/6400 +0.3 Vivid

α7S + Jupiter-8M ISO100 F2.0 1/5000 +0.3 Vivid

α7S + Jupiter-8M ISO100 F2.0 1/2500 -0.7 Vivid

α7S + Jupiter-8M ISO125 F8.0 1/60 -0.3 Vivid