FinePix Z800EXRの絵づくり

はじめに

私が愛用しているFinePix Z800EXRについて、その特徴を下の4つにわけて考察してみることにしました。

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今回は、その中で絵づくりについて詳しくお話ししてみたいと思います。

絵づくり

実際に使っている感覚だと他のデジカメにくらべてコントラストが抑えめで自然な色合いだと思います。このあたりはさすがフイルムメーカーの絵づくりではないでしょうか。

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スーパーCCDハニカムEXRには、フル画素のHR、高ダイナミックレンジのDR、高感度のSNがあってそれぞれ自動又は手動で切り替えて使うことができるのが特徴です。とくにスーパーCCDハニカムEXRの特色を生かしているのが『DR』や『SN』モードで、屋内・屋外を問わず手軽に綺麗な写真がとれるのに一役かっていると使っていて思います。

『DR』モード

『DR』は屋外なら空が、屋内なら窓があるようなシチュエーションで威力を発揮していて、たしかに白つぶれや黒つぶれを押さえて綺麗な写真が撮れていると感じます。

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ただ、やや露出過多で写真全体が白っぽく感じ場合も少なくありません。とくに森の中や苔むした建物など、やや暗い場所で緑と灰色があるような場合でそういう傾向が多いと感じました。

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(左)FinePix Z800EXR、(右)LUMIX G1

基本となるEXRオートでは露出補正ができないのですが、シャッターボタン半押しのAFロック(ピント合わせ)で露出もロックされるので、画面全体の明るさを調整して適正な露出になる位置でシャッターを半押し(AFロック)して、それから(シャッターボタン半押しのまま)望んだ構図に動かして撮影するなどの工夫でこの問題はある程度回避できます。

なお、AFロックはピントを合わせる行為なので撮影する構図でのピントと同じくらいの距離にあるところに合わせないとピンぼけになりますので注意してください。本来であれば露出のみをロックするAEロックの機能があれば便利なのですがその代用です。

『SN』モード

『SN』は暗い場所での撮影で使うモードですが、これもややノイズが増えるものの夜間でも三脚を使わずに写真が撮れるのは旅行中にとても役立ちます。もともと、 FinePix シリーズは高感度路線のはしりで、FinePix Z800EXR も健在と言えます。

ただ、FinePix Z800EXRの写真全般に言えることですが、実際の色に忠実な絵づくりなので他のカメラの写真と比較するとやや地味に見えるかもしれません。

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ただ、こちらも全体的に白っぽい写真になる傾向があると思います。またISOに関してはISO800くらいから表面がザラザラした感じとなり、 ISO1600になるとなめらかな階調も失われていると感じます。イメージセンサーが小さなコンパクトカメラで三脚なしで撮影しているのでトレードオフとも思えますが。

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(左)FinePix Z800EXR、(右)Pentax Q

もっとも、夜間の撮影の場合はイメージセンサーが大きなLUMIX G1や裏面照射型のCMOSの方が受光面積が広いので有利になるということは考慮するべきでしょう。

今回比較しているLUMIX G1やPentax Q はどちらも倍以上の価格差があり、大きさ(=旅行での使い勝手)もかなり違うので同じ土俵で比較するのもナンセンスなのかもしれません。

『FinePix Z2』との比較

FinePix Z800EXRの前任はFinePix Z2だったので、それと比較をしてみました。

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FinePix Z2

FinePix Z1 ~FinePix Z5fd は画素数以外に差はなく、またFinePix Z700EXR とFinePix Z800EXRもほとんど同じスペックなので、初期のスーパーCCDハニカムとスーパーCCDハニカムEXRとの画質の比較と考えて良いとかと思います。 (FinePix Z100fd ~ FinePix Z300 は一般CCDを採用)

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(左)FinePix Z800EXR、(右)FinePix Z2
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(左)FinePix Z800EXR、(右)FinePix Z2

やや露出に差があるようなので参考程度に見て頂きたいと思いますが、上の写真では逆光によりFinePix Z2では黒つぶれ(109 の下の方)が発生していますがFinePix Z800EXR は細部までちゃんと写っていますし、下の写真はFinePix Z2では空が白飛びしているのに対してFinePix Z800EXRはかろうじて空の色が残っているのが分ります。

色味は双方ともに色合いも良好で似たような傾向があり、FinePix Z2は拡大してもノイズが少なく1画素づつがしっかりしていると感じました。ですから、画質向上というより正確な露出と広いダイナミックレンジの方面で着実に進歩したと言えるのではないでしょうか。

なお、写真では比較できませんがモニターの屋外での視認性がFinePix Z800EXRの方が圧倒的に見やすくなっていることは特筆すべき点だと思いました。

フイルムシミュレーション

FinePix Zシリーズには写真の仕上がりを調整する機能が搭載されていますが、それをあえてフイルムシミュレーションとしているところがフイルムメーカーらしいところです。

ただ、選べるのは『PROVIA/スタンダード』、『Velvia/ビビット』、『モノクロ』、『セピア』の4種類しかない上に、EXRオートなどではカラーは『PROVIA/スタンダード』の一択になってしまい、実質白黒・セピアの切り替え以外には使われてなさそうです。

ちなみに、フラグシップモデルの FinePix F300EXRには、上記に加えてカラーに『ASTIA/ソフト』が搭載されているようで地味な差別化です。

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(左)『PROVIA/スタンダード』、(右)『Velvia/ビビット』
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(左)『モノクロ』、(右)『セピア』

※写真をクリックすると拡大できます。

カメラが好きな人は、好みやシチュエーションによってフイルムを使い分けていたように、デジカメもこういう機能が好きな人は多いと思うので、この機能はもう少し充実させてフイルムメーカーらしい味付けがあるといいんじゃないかと思います。

余談ですが、カラーがせっかく製品名の『PROVIA/スタンダード』などに対して、白黒が『モノクロ』なのは面白みに欠けますよね。せっかく富士フイルムは白黒フイルムのラインナップも持っているのですから、モノクロも『NEOPAN』など製品名を使ったらいいのにとなぁと思ったりします。

さらに言えば、ISOとフイルムシミュレーションを連動させても良いかもしれません。もともと、ISOはフイルムによって異なっていましたし、ISOと写真の仕上がりは密接に関連しているので一緒になっているのはある意味合理的です。私はフイルム時代は自然な発色の『REALA ACE』が好きだったので、ネガフイルムはちょっと違うかもしれませんがそんなモードもあればいいなぁと個人的には思います。