最新DVD再生アプリケーションの『Aero』事情。

最新DVD再生アプリケーションの『Aero』事情。

Windows Vista では『Aero Glass』という新しいユーザーインターフェース的なものが導入されました。これの詳細はいろんなサイトが紹介しているので割愛することにして、基本的には『せっかくGPU積んでいるのにゲームくらいしか使わないのはもったいないし、一番使うWindowsのユーザーインターフェースを3D化して使っちゃう?』なノリで搭載されたものです、たぶん(定義の問題ですが厳密には『Aero Glass』はユーザーインターフェースとはちょっと違うようです)。

もともと、Windows はボタンなどが3D風でしたが、トリックアートよろしくなものでして実際は生粋の2Dで構成されていました。例外は Direct 3D を用いた3Dゲームです。このDirect 3D は 2Dが基本の Windows にいわば『特別に追加』されたもので、別個のものとして存在していました。ブラウン管のディスプレイで解像度が異なるDirect 3Dのゲームに切り替わると『びょ~ん』っと切り替わる音がすることがあるくらいです。

Windows Vista の『Aero Glass』は、長らく別個のものとして存在していた2Dの描画機能と3Dの描画機能(Direct 3D)を統合しようというものでした。手法としては『Direct 3D』に一本化して、従来の2D描画機能はDirect 3Dの下に置かれるイメージです。この下に置かれるというのがミソでして、今まで対等で別個に存在していた2つの描画技術が1つになったのは事実ですが、従来の2D描画機能に関してはDirect 3Dを経由する分パフォーマンス的には不利になるわけです(さらに2D描画のハードウェアアクセラレートも使えなくなった)。

しかし、今までのアプリケーションはほとんどが2Dで構成されています。逆に言えばほとんどのアプリケーションではパフォーマンスが低下してしまったわけですから評判がどうなるかは想像に難くありません。

もう一つ、ビデオオーバーレイと『Aero Glass』が同時に利用できないという問題もありました。ちなみに、ビデオオーバーレイはコンピューターに負荷をかけずに動画再生などを行うための技術で、これを使うDVDやテレビを見ると『Aero Glass』が無効になる現象をエクスペリエンス(体験)した方も多いのではないでしょうかw

Windows Vista が登場した当初は、『Aero Glass』に最適化されたアプリケーションになればこれらの問題は解決すると(Microsoftが)期待されていましたが、アプリケーションメーカーとしても面倒なことこの上ないですし、第一に今でもシェア1位のWindows XPが『Aero Glass』に未対応なものですから、対応が一向に進まず、ますます Windows Vista の評判が下がり、鶏か卵かで悪循環を続けていました。(個人的にはDirect 3DはC++で構成されていて、Cで書くことが出来ないのでお手上げ)

Windows 7 ではこの問題点が改良されて、Direct 3Dに実装された2D描画機能も整合性が高くなり、さらに2Dのハードウェアアクセラレート機能も有効になりました。また、ビデオーバーレイと『Aero Glass』も同時に利用できるようになりました。ただ、こちらは昔のアプリケーションがそのまま対応というわけではないようです(昔のアプリケーションは、やっぱり『Aero Glass』が無効になってしまう)。

で、だいぶ前置きが長くなりましたが、最新のDVD/BDプレーヤーアプリケーションはどうなのかなぁっということで実験してみました。

現在のDVD/BDプレーヤーアプリケーションは、CyberLink PowerDVD シリーズと、Corel WinDVD シリーズの2強だと思われます。それぞれ、2009年12月20日時点の最新版は Power DVD 9 と WinDVD 2010 です。ということで、とりあえず体験版をインストールして試してみました。結論から言うと、WinDVD 2010 は『Aero Glass』は無効にはならず、PowerDVD 9 は無効になりました。もちろん、私の環境では、という前提になります。

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WinDVD 2010 『Aero Glass』が有効なまま再生できる。

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PowerDVD 9 『Aero Glass』は無効になってしまう。

※著作権の観点から内容は塗りつぶしてあります。AVCRECで録画された動画です。

Corel (WinDVD のメーカー)は、この点をもっと全面に押し出して良いように思うのですが。。。同社の説明のページにもこの点については書かれていないようです、少なくとも私がザッと見た限りではありませんでした。

ちなみに、説明のページにある『他社製品との比較』の表が正直で笑えます。

http://www.corel.com/servlet/Satellite/jp/jp/Content/1252416485870

他社製品Aの方が機能が豊富です(笑)。もっとも、価格や必要な機能をきちんと比較すれば勝てるという同社の自信の表れなのかもしれません。

ちなみに、WinDVD 2010 スクリーンショットですが、なんとなく歪んでいます。ええ、デジカメの写真です。WinDVD 2010には実行中にはプリントスクリーンが無効になる機能が搭載されている模様です。スクリーンキーボードでもダメでした。なんとも迷惑な、すごい技術です。。。