ファイルは共有、時間は非共有。

ファイルは共有、時間は非共有。

Windows 7の機能強化の一つとして、ホームネットワークの構築が簡単にできる機能が搭載されています。もっとも、Windows はwindows 95の時代からファイルやプリンターを共有する機能が標準で搭載されていましたが、主に会社などでは重要な機能として活用されていたものの、設定にはある程度の知識が必要だったので一般的な家庭ではお父さんや息子がパソコンに強かったりしないと、あまり活用されてはいなかったようです。

Windows 7では、できる機能そのものはほとんど同じではあるものの、Windows 7同士であれば飛躍的に簡単にネットワーク接続をして、文章や音楽、ビデオといったファイルやプリンターなどが共有できます。Microsoftやパソコンの周辺機器メーカーは、家族で音楽やビデオを共有するというスタイルを提案していて、今までUSBメモリや外付けHDDでデータをコピーしたり、プリンターをその都度つなぎ替えていたシーンがネットワークの共有でもっと便利になるスタイルを描いています。

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ホームネットワークで共有、下のネットワークの項目でもファイルの共有はできる。

もっとも、ノートン先生あたりがPC内のファイルをガッチリと保護してくれているので、ノートン先生にお願いをしないとそのままではホームグループも通らなかったりするようですが。。。実際、仮にルーターを介してネットワークに接続していても、共有しないよりも、共有したほうがセキュリティのリスクは高まりますから、そのあたりはトレードオフになるのかもしれません。もちろん、今後のセキュリティ技術の進歩にも期待したいところです。

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いままで、パーソナルコンピューターなどという名前ながら、その価格から一人一台なんてほど遠く、どこぞのメーカーのゲーム機の名前的な存在であったパソコンですが、ネットブックなどに代表されるように価格も安くなってきて、家に複数台コンピューターがある家庭も増えてきていると思います。Windows 7では、家に複数台コンピューターがあることを想定して、ネットワークの共有機能を強化したのだとと思われます。

確かに使いやすくなったですし、それは歓迎すべきことですが、根本的な問題として『そもそも家庭にネットワークによる共有が必要か?』ということは考える価値はあると思います。Windows 7に機能が搭載されていることから想像がつくと思いますが、共有されているデータやプリンターを使う場合は、それを持っているWindows(コンピューター)が起動している必要があります。

となると、必要な共有データやプリンターを使うには、まずアクセスする前に相手の電源を入れにいかなければならないというわけです(遠隔操作で起動させることはできるが自動的に切れないのでやっぱり足を運ぶ必要がある)。それならば、プリンターを持って行った方が手っ取り早いというのも頷けます。共有データはキャッシュという形でデータをローカルに保存しておくことができますが(共有先にあるデータを定期的に自分のHDDにコピーしておく機能)、最新のデータを欲しい場合は家中のコンピューターの電源を入れておかなければなりません。まったくもってエコではない生活です。

Microsoftのビジョンを見ると、家族間でデジカメや音楽のデータを共有して明るい家族のイメージが描かれているものの、考えてみたら一つ屋根の下に住んでいながら、同じデジカメの写真を個別の部屋で見て楽しんでいる家族のスタイルというのも微妙だと思います。できれば、写真は一つのコンピュータ-を家族で囲んで見たいですし、同じ映画を見るならば一緒に見れればと思うのです。

家族で共有したいのは、『ファイル』ではなく、『時間』なのではないでしょうか?