Windowsのストレージについて考えてみる。

Windowsのストレージについて考えてみる。

Windows 7が発売されて半年が過ぎて、アプリケーションやハードウェアの対応が進んだので、徐々にWindowsの現行バージョンとして受け入れられつつあるような感じです。先月に発表された第3四半期決済を見ても『Windows 7が好調』らしいですし、Windows 7をあえて見送る理由はサービスパックがまだでていないということくらいでしょうか。

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Windows 7の強化ポイントの一つに地味ですが、SSDのTrimへの対応があげられます。残念ながら私の持っているIntel X25-M(初代)は未対応なので試してはいないものの、気になる機能の一つです。考えてみると、Windowsは基本的にWindows 3.1のころから、OSやアプリケーションをHDDに保存して、メモリに展開して利用するというスタイルです。メモリの搭載量を補うためにHDDをメモリ代わりに使うというのも同様です。すでにその基礎が確立してから20年の経っているわけですから、そろそろスタイルを進化させてもいいのかなと思ったりします。

SSDの利点は読み込み速度や耐衝撃性、静音性、消費電力の少なさなどが挙げられますが、逆に容量の少なさや書き込み回数に限度があることが弱点です。そこでサードパーティーでは『RAMドライブ』を使って高速化と書き込み回数の低減を提案しています。例えばバッファローでは自社製のメモリーを使っていない場合は機能に制限があるものの、無料で『RAMディスクアプリ』を提供しています。

SSD に比べても容量が少なく、終了時にバックアップをしないと内容が消えてしまう『RAMディスク』の特性が真価を発揮するのは、テンポラリファイルの保存場所として活用することです。例えば、ブラウザのキャッシュやWindowsのテンポラリファイルなどです。ところが、これらも『RAMディスク』に保存されることを前提とされていないので、例えばブラウザであればクッキーなどが消えてしまったり、エディターなどではWindowsがフリーズした際に途中のファイルを使って復旧する機能が再起動によりデータが失われてしまったりと弊害も発生しています。

Windowsには、『RAM ディスク』を活用するための機能として、テンポラリファイルの保存場所を、「しばらく保存しておくべきデータ」と「『RAMディスク』に保存しておくべきデータ」に分けて保存する機能が搭載されるなどの機能強化があってもいいんじゃないかな、と思うのです。こういう最適化は、既存のアプリケーションでも、インターネットなどの普通の用途でも効果が期待できるのでメリットは大きいと思います。

逆に、バックアップ用のデータやインストール用のデータなど、ほとんど日の目を見ることがない大量のデータを少容量のSSDに保存しておくのも勿体ない話です。 価格的にシビアな一般向けパソコンにSSDとHDDの二つを搭載させることがどれほどあるかは分かりませんが、OSを動作させるのに必要な容量は32GB もあれば充分なのでコストが許すのであればSSDとHDDの両方を搭載させることで、高速で快適で大容量の記憶領域をもった環境が実現できます。 しかし、現在でも手動でデータを振り分けることである程度は実現可能ですが、それなりにWindowsを知っていないとなりませんし、何よりメンドーです。データが2つのドライブに分かれて記録されることで管理などの面でデメリットもあります。

Windowsが標準でSSD+HDDの構成を想定した設定にも対応することで、見た目は1つのドライブのように見えて、システムデータをファイルごとの特性によってSSDとHDDに振り分けるなどということも可能になるハズです。

Windows 7は軽くなったと評判ですが、それでも重いと不評だったWindows Vistaに比べて軽いだけで、最新のテクノロジーを活用して軽くて高速に動作しているわけではありません。メモリもSSDもHDDも低価格化が進み、せっかくハードウェアでは高速化が比較的容易に進められるようになっているにも関わらず、Windowsがそれを生かし切れていないのは残念でなりません。 次期、Windows Nextではそのあたり、新しい機能もさることながら、普通に使うだけでも快適になる機能を搭載してほしいと思うのです。

余談ですが、Windows には少ないメモリを補うための機能としてページファイルというものがあります。これは、メモリにあるデータの中で(しばらく)使っていないデータをHDD に待避させてメモリの使用量を節約する機能なのですが、これを『RAMディスク』に移すことで32bitのWindowsでも4GB(3.4GB)以上のメモリをメモリのような使い方をすることができます。また、このページファイルはその特性上機能が書き換え頻度が高いのでこれをSSDから移すことで SSDの寿命を延ばすことにもつながります。もっとも、64bitのWindowsが普及するまでのテクニックということになるのでしょうけれども。