はじめに
RADEON は2000年にRAGE 128の後継(実際にはそのマイナーアップ版のRAGE 128 PRO)として発売されたグラフィックチップです。
発売当初は256bitのGPUということで、RADEON 256とも呼ばれましたが、最近では単にRADEONと呼ぶようです。RADEONシリーズは後継や廉価版として数々のシリーズ輩出しています。
グラフィックカードとしてはRADEON DDR 64 や All in Wonder RADEON などで採用されています。また、Macintoshでも RADEON MAC EDITION などで採用されました。
写真

主な仕様
- ATI Technologies 初の256bitグラフィックエンジン。
- 128bit メモリバス帯域。
- DirectX 7に完全対応してハードウェア T&LをサポートするCharisma Engineを搭載。
- DDR SDRAM/SGRAMを最大128MBまで搭載可能。
スペック
チップ名 | RADEON | 備考 |
---|---|---|
グラフィックチップ | RADEON 256 | RADEON 256 コアクロックが二種類あり、さらにクロックが低いRADEON LE が存在する。 後にA22というリビジョンでコアクロックが引き上げられている。 |
コアクロック | 183MHz | 183MHz/166MHzとRADEON LEは148MHz A22コアでは200MHzも存在した。 |
対応メモリ種類 | DDR SDRAM/SGRAM SDRAM/SGRAM |
|
対応メモリ速度(最大) | 183MHz のDDR | |
メモリの最大搭載量 | 128MB | 製品として実際に出回ったのは64MB版まで。 |
対応スロット | AGP 4X/PCI | |
DirectXの世代 | DirectX 7 | 完全対応 |
OpenGLの世代 | OpenGL | 完全対応 |
ハードウェア T&L | ○ | Clippingにも対応するのでTCLとなる |
ピクセルシェーダ | × | |
バーテクスシェーダ | × | |
ジオメトリエンジン | 30MTriangle/s | |
レンダリングエンジン | 1.5GPixel/s | |
プロセスルール | 0.18μ | |
Mpeg再生支援 | ○ | |
その他 | - |
特徴
このグラフィックチップは、先発の nVIDIA の Geforce に対抗する形で投入されたDirectX7世代の2D/3Dチップで、RAGEシリーズの後継に相応しい強力な改良が行われています
RAGE 128 PROは、RAGE 128の改良版に過ぎなかったのに対してRADEONは実績あるRAGEシリーズとは異なる名前を使っていることからもATIの決意が見られます。実際にRADEONはRAGE6として開発されていたものですが、先発のRAGE5が他社の製品に対抗できないと判断されてキャンセルされてしまいました。このためRADEONはATIの威信をかけたグラフィックチップなのです。
RADEONの最大の特徴はDirectX 7にハードウェアレベルで完全に対応していて、Geforce 256に匹敵する性能をもっている点です。このグラフィックチップは前途のように対Geforce256としてリリースされたものでGeforce 256をかなり意識した作りとなっています。
まず、Geforce 256と同じ256bitのグラフィックコアを持ちDirectX 7に完全対応しました。またGeforce 256でサポートされたハードウェアT&Lもサポートし、nVIDIAの提唱するGPUを名乗ることができる性能をしめしました。
ハードウェア T&Lは通常CPUで行うTransformationとLighting処理をGPUがハードウェア的に処理できるというものですが、RADEONのコアにあたるCharismaEngineではこの二つに加えてClippingもハードウェア的に行うためにハードウェアTCLとも呼ばれます。
製品の種類
初代RADEONでは複数のカード製品が存在していますが、主な製品を表にまとめてみました。
カード名 | グラフィックチップ | メモリの種類と最大容量 | スロット | 入出力 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
RADEON DDR 64 VIVO | RADEON 256 183MHz |
DDR SDRAM 64MB 366MHz |
AGP(4X) | D-Sub15 ビデオ出力 |
RADEON 主力モデル |
RADEON DDR 64 | RADEON 256 183MHz |
DDR SDRAM 64MB 366MHz |
AGP(4X) | D-Sub15 | RADEON 主力モデル |
RADEON DDR 32 | RADEON 256 166MHz |
SDRAM 32MB 333MHz |
AGP(4X) | D-Sub15 | RADEON コストパフォーマンス版 |
RADEON SDR 32 | RADEON 256 166MHz |
SDRAM 32MB 166MHz |
AGP(4X) PCI |
D-Sub15 | RADEON 廉価版 |
All in Wonder RADEON | RADEON 256 166MHz |
DDR SDRAM 32MB 333MHz |
AGP(4X) PCI |
D-Sub15 ビデオ入出力 チューナー |
RADEON TVキャプチャーモデル |
RADEON LE DDR 32 | RADEON LE 148MHz |
SDRAM 32MB 296MHz |
AGP(4X) | D-Sub15 | RADEON 廉価版 |
※RADEON DDR 64のバルク版は166MHzと333MHzに下げられているものもあるそうです。(家のヤツがそれだったし)
※ビデオメモリの周波数はDDR動作のものはクロックの倍の数値を記入しました。
ラインナップ
RADEON(初代)と同時期に販売されていたRADEONシリーズ製品
チップ名 | 市場 | 特徴 |
---|---|---|
RADEON | ハイエンド | 本家 |
RADEON LE | ミドルエンド | 本家 |
RADEON VE | ローエンド | RADEON からハードウェア T&L を除いて高クロック化 |
※大まかな変更点で細かい変更点はほかにもあるかもしれません。