はじめに
Radeon HD 5870 は2009年にRadeon HD 4870/4850(その後継のRadeon HD 4890)の後継として発売されたグラフィックチップです。
開発コードネームはEvergreen。次世代のDirectX 11 にハードウェアレベルで初めて対応した製品で、ストリームプロセッサの強化などによりパフォーマンスの向上が行われています。
写真

主な仕様
- 次世代DirectX11.0に対応するプログラムシェーダ Ver.5.0 を搭載
- 前世代のRadeon HD 4000シリーズから大幅なパフォーマンスアップ
スペック
チップ名 | Radeon HD 5870 | 備考 |
---|---|---|
グラフィックチップ | Radeon HD 5870 | |
コアクロック | 850MHz | |
対応メモリ速度(最大) | 1.2GHz | |
メモリの最大搭載量 | 768MB | |
対応スロット | PCI-Express | |
DirectXの世代 | DirectX 11 | |
OpenGLの世代 | Ver.3.2 | |
ハードウェア T&L | - | ストリーミングプロセッサに統合 |
ピクセルシェーダ | - | ストリーミングプロセッサに統合 |
バーテックスシェーダ | - | ストリーミングプロセッサに統合 |
ストリーミングプロセッサ | ○ | |
プログラマブルシェーダ | Ver 5.0 | |
プロセスルール | 40nm | |
動画再生支援機能 | UVD 2 | |
その他 | - |
特徴
Radeon シリーズでは次世代のDirectX 11をハードウェアでサポートしているのが最大の特徴で、プログラマブルシェーダ の世代が Ver.5.0となっています。初のDirectX 11対応グラフィックチップで、ライバルが半年近く遅れて対応したためWindows 7 が登場してから半年近くDirectX11対応の唯一のグラフィックチップとなりました。DirectX 10の時と立場が逆転しているところが興味深いですね。
なお、DirectX 11への対応自体はそれほど大きなアーキテクチャの変更は伴わなかったようで、Radeon HD 5000シリーズはRadeonHD 4000シリーズを踏襲した形で、ストリーミングプロセッサの個数を増やすなどの堅実な機能強化が行われています。DirectX 10の時点でもプログラマブルシェーダは汎用性が高くなっていたため、機能強化の度にアーキテクチャの変更が必要だった以前とは違うのかもしれません。
Radeon HD 5000 シリーズは、Radeon 5870の他にもローエンドやミドルエンドのモデルが存在します。ローエンドモデルも含めてDirectX11.0に対応しているのが特徴で、これによりすべての価格帯でDirectX 11.0を享受できるようになりました。
チップ名 | 市場 | 特徴 |
---|---|---|
Radeon HD 5970 | ハイエンド | Radeon HD 58x0コア×2 |
Radeon HD 5870 | ハイエンド | - |
Radeon HD 5850 | ハイエンド | |
Radeon HD 5830 | ハイエンド | |
Radeon HD 5770 | ミドルエンド | |
Radeon HD 5750 | ミドルエンド | |
Radeon HD 5670 | ミドルエンド | |
Radeon HD 5570 | ローエンド | |
Radeon HD 5550 | ローエンド | |
Radeon HD 5450 | ローエンド |
差別化は様々な部分で行われていますが、基本的にはストリーミングプロセッサの個数、コアクロック、メモリ帯域、メモリクロック、対応メモリの種類などで差別化が行われています。