nVIDIA Geforce 256

はじめに

Geforce 256は1999年にRIVA TNT2の後継として発売されたグラフィックチップです。

開発コードネームはNV10で、Geforce 256 はコンシューマ向けのグラフィックチップで初めてジオメトリエンジンを搭載して圧倒的な3D演算能力を誇りました。その演算能力の高さからnVIDIAはこのグラフィックチップをGPU=GraphicProcessing Unitと呼び、以後グラフィックチップをGPUとも呼ぶ風潮が生まれました。

Geforce 256はその圧倒的な演算能力で3Dグラフィックカードとしての不動の地位を築きました。それは後継のGeforce2やGeforce3などに繋がっていったのです。

主な仕様

スペック

チップ名 Geforce 256 備考
グラフィックチップ Geforce 256
コアクロック 120MHz
対応メモリ種類 DDR SDRAM/SGRAM
SDRAM/SGRAM
対応メモリ速度(最大) 150MHz のDDR/
160MHzのSDR
メモリの最大搭載量 128MB
対応スロット AGP 4X/PCI
DirectXの世代 DirectX 7 対応
OpenGLの世代 OpenGL 対応
ハードウェア T&L
ピクセルシェーダ ×
バーテクスシェーダ ×
ジオメトリエンジン 15MTriangle/s
レンダリングエンジン 480MPixel/s
プロセスルール 0.22μ
Mpeg再生支援
その他 -

特徴

このグラフィックチップの最大の特徴はコンシューマ向けのグラフィックチップで初めてジオメトリエンジンを内臓した点です。3Dの演算の大半はレンダリング演算とこのジオメトリ演算からなっています。現在のコンシューマ向けグラフィックチップはそのうちレンダリングをハードウェアで行うレンダリングエンジンを搭載していましたが、Geforce256 では新たにジオメトリ演算もグラフィックチップで行うようにジオメトリエンジンも搭載したのです。

CPUでジオメトリ演算を行う場合に比べてCPUに負荷がかからないのに加えて専用エンジンを使うために効率が良くパフォーマンスも向上するという3Dグラフィックにおいて画期的な機能だったのです。

ちなみに、GeforceのGeはGeometryのGeからきているといい、『ジオメトリエンジンの力!』という意味になるというワケです。

ジオメトリエンジンによって演算されるものは3D→2Dの座標変換(Transformation)と影を作る光源計算(Lighting)で、この二つをハードウェアで行うという意味でハードウェアT&Lという用語が登場しました。これはジオメトリエンジンを搭載するという意味になるのです。

ジオメトリエンジンの効果を発揮するにはそれにあったプログラムが必用となります。nVIDIAはMicrosoftと共同でハードウェアT&LをサポートするAPIをもったDirectX7を開発します。DirectX7以降に対応したプログラムであればハードウェアT&Lを利用した快適な3Dグラフィックが利用できるのです。

※DirectXとグラフィックチップメーカーの関係について詳しくはは『Column02』 をご覧下さい。

※ハードウェアT&Lについて詳しくはは『Column06』 をご覧下さい。

ジオメトリエンジンの搭載は機能的には圧倒的に有利ですが、とうぜん多くのトランジスタを使いグラフィックチップも高価なものになりました。Geforce256の成功は、nVIDIAをグラフィックチップメーカーの王者として君臨させただけでなく少々高価でも性能が高ければ売れるというグラフィックチップの方向性にすら影響を及ぼしたのは明らかです。グラフィックチップは高価で高性能な3D機能を搭載する方向に進んでいくことになるのです。