はじめに
Geforce FX 5800 Ultra は2003年にGeforce 4 Ti 4600 (正確にはその後継のGeforce 4 Ti 4800)の後継として発売されたグラフィックチップです。
開発コードネームはNV30で、DirectX 9.0をハードウェアレベルでサポートしプログラマブルシェーダ Ver 2.0を搭載しています。
特にGeforce FXシリーズはローエンド向けモデルでもDirectX 9.0をハードウェアレベルでサポートしているのが特徴です。
主な仕様
- DirectX9.0世代となりプログラマブルシェーダがVer2.0にアップ
- メモリにDDRIIを利用可能になり、メモリバス幅は最大256bitに。
スペック
チップ名 | Geforce FX 5800 Ultra | 備考 |
---|---|---|
グラフィックチップ | Geforce FX 5800 Ultra | |
コアクロック | 500MHz | |
対応メモリ種類 | DDR SDRAM/SGRAM SDRAM/SGRAM |
|
対応メモリ速度(最大) | 500MHz のDDR | 最大であってこの他いろいろな組み合わせがある。 |
メモリの最大搭載量 | - | |
対応スロット | AGP 8X/PCI | |
DirectXの世代 | DirectX 9.0 | |
OpenGLの世代 | OpenGL | |
ハードウェア T&L | - | |
ピクセルシェーダ | Ver 2.0 | |
バーテクスシェーダ | Ver 2.0 | |
ジオメトリエンジン | - | |
レンダリングエンジン | ||
プロセスルール | 0.13μ | |
Mpeg再生支援 | ○ | |
その他 | - |
特徴
Geforce FXシリーズではnVIDIAのコンシューマ向けグラフィックチップで初めてDirectX 9.0をハードウェアで実装し、プログラマブルシェーダのVer.2.0を搭載しています。ライバルのATIは上位モデルのみがハードウェアでDirectX9.0に対応しているのに対して、GeforceFXシリーズはローエンド向けのGeforce FX 5200も含めてすべてDirectX 9.0にハードウェアで対応しています。パイプラインなどに差があるので処理速度にこそ差はありますが、エンジンがおなじものを搭載しているので基本的に同じ処理ができる(同じ精度の画像が表示できる)のは大きな利点です。またプログラマーもアーキテクチャが同じことは製品ラインナップを考えずにプログラムを書くことが出来るのでその点でもアドバンテージがあります。
プロセスルールを0.13μに微細化(5200 Ultra/5200を除く)して、それに伴いクロックも大幅に向上させ高速な処理が可能になっています。なお、このクロック上昇の結果、Geforce5800 Ultraでは一般的に自分を含めてスロットを二段占有する空調を搭載しなければコアが冷却できず、性能と引き換えに静穏性や拡張性などを犠牲にしていしまったのも事実です。
このGeforce FXシリーズとライバルのATI RADEONシリーズではそれまでと違い明確な方向性の差がでて興味深いところです。ATIは実用的な精度(画質)で高速な方向へ向かっているのに対して、nVIDIAは速度を犠牲にしても精度を重視するという方向性を打ち出していて今後の両者の動向に注目したいところです。私はアンチnVIDIAですが(笑)、このGeforceFXの方向性についてはnVIDIAの方が理解でき支持できると思います。
ピクセルシェーダの精度について詳しく『Column 07』を参照してください。
Geforce 4 Ti 4600と同時期に販売されていたGeforceシリーズ製品
チップ名 | 市場 | 特徴 |
---|---|---|
Geforce FX 5800 Ultra | ハイエンド | - |
Geforce FX 5800 | ハイエンド | 5800 Ultraの低クロック版 |
Geforce FX 5600 Ultra | ミドルエンド | 5800のパイプラインを半分の4本数にして低クロック化 |
Geforce FX 5200 Ultra | ローエンド | プロセスルールに0.15μを採用して5600から一部の機能を削って低クロック化 |
Geforce FX 5200 | ローエンド | 5200 Ultraの低クロック版 |
※大まかな変更点で細かい変更点はほかにもあるかもしれません。
Geforce FX世代では末期に一部製品ライナップが更新されました。実は開発コードネームNV35とよばれる次世代のグラフィックチップ郡なのですが、ネーミングがあまり変わらなかったことと仕様にもさほど差はなかったようなのでFX世代としてまとめました。
チップ名 | 市場 | 特徴 |
---|---|---|
Geforce FX 5950 | ハイエンド | 5900 Ultraの高クロック版 |
Geforce FX 5900 Ultra | ハイエンド | メモリバスを倍の256bitにしてコアも強化したもの『NV35』 |
Geforce FX 5900 | ハイエンド | 5900 Ultra の低クロック版 |
Geforce FX 5900 Value | ミドルエンド | 5900のビデオ入力を省いた廉価版(クロックの違いは不明)
|
Geforce FX 5700 | ミドルエンド | 5600を5800→5900と同じようにコアを強化したもの(逆に言えば、5900を5800→5600と同じ制限をかけたもの) |
※大まかな変更点で細かい変更点はほかにもあるかもしれません。
※Geforce FX 5950 Ultraは後から登場しているのでGeforce FX 5900 Ultraを若干最適化してクロックをあげやすくしているのかもしれません。
※Geforce FX5900 Ultra は Geforce 5800 Ultraよりもコアクロックが低く設定せっていされています。しかしコアが変更になり強化されているので処理速度自体は向上しているようです。