Voodoo

はじめに

Voodooは1996年に3dfx社がグラフィック市場に参入する際に投入した3D専用グラフィックチップです。

VoodooはGrideと呼ばれる専用API(DirectXと同じ役割)を利用することでそれまでCPUが行ってきた3D演算をVoodoo側でハードウェア的に行うことができ圧倒的に高速に投画することを可能としました。それまでとは一線を駕するその性能に3Dゲーマー達が驚愕してVoodooブームが巻き起こり、3DゲームのAPIとして当時はまだできの悪かったDirectXに代わりGrideが標準的な地位を気づき3dfxの繁栄を支える結果となりました。

Voodooには、2Dグラフィック機能はついていないので別途2Dを表示するためのグラフィックカードを搭載する必要がありました。

主な仕様

スペック

チップ名 Voodoo
グラフィックチップ Voodoo
コアクロック 50MHz
RAMDACクロック 135MHz
対応メモリ種類 EDO-DRAM
対応メモリ速度(最大) 通常 50ns程度のものが使われたらしい
メモリの最大搭載量 6MB
対応スロット PCI
Direct3D
ハードウェア T&L ×
ピクセルシェーダ ×
バーテクスシェーダ ×
ジオメトリエンジン 1MTriangle/s
レンダリングエンジン 45MTexel/s
プロセスルール 0.5μ
Mpeg再生支援 ×
その他 Grideに対応

特徴

このグラフィックチップの最大の特徴は当時のコンシューマ向けのグラフィックチップの中で群を抜く3D演算能力を誇る点です。当時2Dグラフィックカードの3D演算機能というのは微力でほとんど使い物になりませんでした。そこに登場したのがVoodooで今でこそVoodooの比ではない3D演算能力があたりまえですが、当時はほとんど未知の領域だったといっても過言ではなかったでしょう。このVoodooの成功はグラフィックが3Dへ傾倒していくだけでなくパソコンユーザーに3Dゲーマーという種類の人間を登場させ、3Dゲームという新しい市場を作り出したという点でも非常に影響力をもったのは確かです。その点でVoodooなくして現在のパソコンの形態はなかったかもしれませんね。

Voodooを語る上で忘れてはならないのがGrideです。現在3DのAPIではゲーム用にDirectXで業務用にOpenGLという構成ですが、当時DirectXはデキがわるくほとんどまともな3Dゲームはできませんでした。このため、より高速に動くDOSゲームのユーザーが多くいたようです。VoodooはVoodoo用の独自のAPIであるGrideとともに市場に参入しました。Grideは優秀でVoodooの性能も相まって高速でストレスない3Dゲーム環境が提供できるようになったのです。この影響で当時こぞって登場した3DゲームはほとんどAPIにGrideを採用し、DirectXとGrideの両方に対応したゲームでもGrideの方が圧倒的に高速だったりしました。Grideが標準グラフィックAPIになった影響でVoodooシリーズは更なる繁栄を迎えることになります。逆にDirectXの性能が向上してGrideを使わなくても充分な3DゲームができるようになるとVoodooの優位性は徐々に失われていくことになります。ちなみに当初はGrideはVoodooでのみ使えましたが、後にオープンされて他のグラフィックチップでも使えるようになったようです。

Voodooは3D専用のグラフィックチップで2Dの投画機能をもっていません。このため通常のWindows画面ほか2Dを表示するためにグラフィックカード(当時は2Dのみだったのでもっぱらビデオカードなど言われていた)を別に用意する必要がありました。しかし、これは逆に2Dは2Dで自分の好みで選べるので良いという意見もあります。しかし後にはVoodooBansheeやVoodoo 3など2D投画機能も内蔵していく流れではありましたが。でちなみに、オーバーレイ表示はできないのでVoodooを使った3D画面を見るときは必ずフルスクリーンとなってウィンドウ表示はできませんでした。