主なメーカーと特徴

はじめに

HDD業界は基本的に老舗揃いなので、他のものに比べてどれを選んでもハズレは少ないですが、それぞれ特徴があるのでここではHDDの特徴などをお話ししましょう。

Westren Digital

Westren Digitalは老舗の中堅HDDメーカーといったイメージでしたが、省電力、静音、低価格、大容量などHDDに求められているニーズを的確に掴んだ製品を次々に投入していつのまにかトップシェアとなっていました。

SCSIなどのサーバー/ワークステーション用HDDは作っておらず、IDEHDD専業となっています。同社のラインナップはATA HDDのRaptorシリーズとCaviarシリーズです。

Raptor

ATA HDDで唯一10000回転を誇るシリーズです。性能だけでなく信頼性も高くインターフェースをATAにしたSCSI HDDのような存在です。ただし、SSDの登場であまり話題に上がらなくなってしまいました。

Caviar

速度重視のCaviar Black、バランスのとれたのCaviar Blue、省電力のCaviar Greenがあり、とくに省電力のCaviar Greenは低価格で大容量、さらに低消費電力・低発熱なため、データ用ドライブとして自作市場でも高い人気があります。また、外付けHDDの中身としてもよく利用されているようです。

Seagate

Seagateは古くからの老舗でHDDの規格策定に関与しています。IDESCSIの規格策定を見ると、なんと両方ともSeagateの規格したインターフェースをベースとして開発しているのです。技術力や品質でも定評があり人気のブランドです。Seageteは、基本的に回転数でブランドを分けていて低回転なローエンドモデルから超高速なハイエンドモデルまで幅広いラインナップをもっています。

Cheetah

10000回転以上を誇る最速モデルで、10000回転と15000回転のシリーズがあります。現時点では10000回転以上のATA HDDをSeageteは販売していないので、CheetahもSCSI HDDのブランドとなっています。その為、現在ではコンシューマー向けの一般的な製品としては聞かれなくなりました。なお、世界で最初に10000回転を超えたのはCheetahで、15000回転を超えたのもCheetahです。

Baracuda

Baracudaはもともと7200回転のブランドで、以前はATA HDDで7200回転を誇るものがなかったのでSCSI HDDのブランドでしたが、Baracuda ATAシリーズを皮切りにATA HDDモデルが登場し、現在ではSeagateのデスクトップ向けHDDの主力ブランドとして君臨しています。

なお、現在では7200回転未満(5400回転や5900回転など)でもデスクトップ向けのHDDには、Baracudaというブランドが用いられています。

Baracudaシリーズは、性能は普通ぐらいで静音性や発熱の低さなどに定評がありましたが、現在ではコストパフォーマンスが良い製品として認識されているようです。

Medalist、U

Medalistは主に5400回転以下のATA HDDブランドとして使われていました。ちなみにATA HDDで初めて7200回転を採用したのはこのシリーズ(正確にはMedalistPROシリーズ)です。その後、低価格向けの5400回転 ATA HDDのブランドとして『U』が使われていましたが、現在はBaracudaに統一されたようです。

HITACH(IBM)

もとIBMのHDD部門をHITACHIが買い取ったもので、IBMは泣く子も黙るPC/AT互換機の元祖をつくったメーカーです。2012年にWestern Digitalに買収されて、その長い歴史に幕を下ろしました。

HITACHの3.5inch ATA HDDは自作市場で人気が高く、とくに高速で低価格と評判でした。HITACHのHDDは、SCSI HDDがUltraStar、3.5inchIDE HDDがDeskStar、そして2.5inch IDE HDDがTravelStarというラインナップになっています。

UltraStar

HITACHのSCSI HDDブランドで、現在では10000/15000回転のHDDとなっています。SCSI HDD市場全体が縮小しているため、最近ではほとんど聞かれなくなりました。

DeskStar

HITACH HDDの主力となるブランドで、ATA HDDでは最速を誇ることも多く価格も低価格目に設定されていたため自作市場では高い人気がありました。どちらかというと、性能とのトレードオフか発熱や騒音は若干高めなことも多かったようです。低価格化が裏目にでて品質において問題があるという話も聞かれますが、用途や廃熱など扱い方にも差があるので一概には言えないと思います。

TravelStar

ノート向けの2.5inch IDE HDD分野では、自作市場で有名な3.5inch HDDメーカーの名はIBMを除いてあまり聞かれません。TravelStarは性能と価格とバランスのとれた品質と旧IBMというブランド力もあってか自作を行う人間には人気があるようですが、日本製のノートパソコンに搭載されているのは稀のようです。

Maxtor

2006年にSeageteに買収されて歴史の表舞台からに去りました。MaxtorはQuantumのHDD部門を買収して世界最大のHDDメーカーに躍り出ましたが、QuantumはそれまでATA HDDの新規格の提唱という役割を果たして来たのでMaxtorもそれを引き継ぎ、UltraATA133やBigDriveなどの新規格を提唱して対応した自社製のHDDをまっさきに出荷しました。(気のせいか、HDDのメーカーは仲がよいのか新規格の策定がスムーズなような気がする)

また、MaxtorはそれまでSCSI HDDを作っていませんでしたが、Quantum買収後はQuantumのSCSI HDDを引き継いでQuantum時代と同じAtlasのブランドで出荷しています。ラインナップは基本的にATA HDDで5400回転のDiamond MAXシリーズと同7200回転のDiamond MAX Plusシリーズで、加えてQuantumから引き継いだSCSI HDDのAtlasシリーズがあります。

DiamondMAX/DiamondMAX Plus

Quantum買収後、最新の規格に対応したHDDとして真っ先に登場したために新しいものが好きな自作市場では人気がありました。Maxtor全体の特徴として高密度化が得意なようで高容量のHDDをリリースすることが多かったです

Quantum

Quantumは2001年にMaxtorにHDD部門を売却してHDD分野から撤退してしまいました。売却後もSCSI HDDのAtlasシリーズなどはMaxtorブランドで継続して販売されていました。

Quantumは、HDDとして老舗で規格の策定などを積極的に行っていたメーカーで、その仕事はMaxtorに引き継がれています。また、QuantumのHDDはRAIDに向くと言われており、RAIDを組み場合にパワーユーザーは好んでQuantum製のHDDを購入していたようです。同社のブランドはATA HDDにFireballシリーズ、SCSI HDDにAtlasシリーズという構成です。

Fireball

ATA HDDのブランドでRAIDを組んだ時に他のメーカーよりも高いパフォーマンスを得られると言われていて、RAIDチップとの相性もよいとのことでRAIDを組むならQuantumでした。最近ATA RAIDも流行っていますが、ATA HDDでも同様でFireballシリーズはRAIDに良いといわれていました。

Atlas

QuantumのSCSI HDDのブランドですがMaxtorに買収後、MaxtorにSCSI HDD部門がなかったのでそのままブランドは継続されました。

2.5inch IDE HDD

実はノート用2.5inch HDDの多くが我らが日本のメーカーが製作しています(ちなみに3.5inch IDE HDDでも松下なんかはQuantum、今のMaxtorにOEM出荷しているので作ってないわけじゃない)。

有名どころとしては、HITACHIやTOSHIBA及びSCSI HDDなども作るFUJITSUという構成となっています。もともと3.5inchIDE/SCSI HDDも作っていたFUJITSUやIBMを買収するとかいうHITACHIはいざしらずTOSHIBAは意外ですね。ちなみに、TOSHIBA製はとっても高性能なスペックをもっています。やはり日本製の製品の最大の難点はコストなのでコストよりも性能が問われるノート用HDDなどではそれなりに強いようです。