DDR/DDR II/DDR III SDRAM

はじめに

パソコンのメインメモリとして広く普及しているDDR/DDR II/DDR III SDRAMについてお話しします。

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DDR SDRAM

DDR SDRAM(Double Data Rate SDRAM)は、SDRAMを改良して倍のデータ転送能力をもったメモリです。

SDRAMではクロックに同期してデータを転送しますが、高速にデータを転送するにはこのクロックを上げる必要があります。しかし、クロックとはタイミングのことであり、あまり速いクロックにするとタイミングがあわせにくくなります。特にバス幅が64bitと広い場合は、タイミングをそろえるのが難しくSDRAMの高速化は困難になってきました。

そこで、一つのクロックに二つのデータを送れば二倍のデータ量を送ることができるというのがDDR SDRAMの原理でダブルデータレートの所以です。クロックの立ち上がりと立下りの両方にデータを送ることで2倍のデータ転送力を誇ります。ただし、データだけ2倍の転送力を持ち、データ以外のアドレス信号やコマンドなどはSDRAMと変わりません。したがって、実際には連続したデータ読み込みの場合には効果を発揮しますが、細切れのデータ転送に関してはSDRAMとそれほど違いません。この為転送速度も2倍にはなりません。

この実はこの技術はメモリ意外でもよく使われていて、例えばUltraATA33やAGP 2XまたAthlonのFSBなどにも利用されています。DDR技術はクロックを上げずにデータ転送力を上げることができるだけでなく、既存のSDRAMと比べてインターフェース部分に小改良を行うだけでほとんど変わらないというメリットがあります。DRAMメーカーは既存のSDRAMの技術をそのままDDRSDRAMに生かすことができるのです。

DDRメモリはSDRAMとは異なり通常転送速度が名前になっています。例えば、クロックが100MHzのSDRAMはPC100となりますが、DDRSDRAM の場合はPC200ではなくPC1600と呼ばれることが一般的です。ただし、DDR 200などと呼ばれることもあり混乱の種になています。

実はこれにはメーカーの深いワケがあるのです。SDRAMと同じようにクロック(DDRなどは実際のクロックとは異なるが)で考えるとライバルのRDRAMはPC800となります。しかし、同じ転送速度を誇るPC1600はクロック(実際のクロックとは異なる)で表示するとPC200となってしまいさも遅そうです。そこでもっと大きな数字になるように転送速度をとってPC1600としたようです。

ただし、メモリの名前はDDR200でモジュールの名前はPC1600という使い分けがされているようです。SDRAMとの対比がわかりづらいのでDDR 200の方が私としてはよいのですが。

主な種類

種類 PC1600 PC2100 PC2700 PC3200
クロック 100MHz 133MHz 166MHz 200MHz
メモリチップの名称 DDR 200 DDR 266 DDR 333 DDR 400
転送速度 1600MB/s 2100MB/s 2700MB/s 3200MB/s

DDR II SDRAM

DDR SDRAMは、クロックの立上りと立下りの両方にデータを転送することでSDRAMの約2倍の転送力を誇りますが、さらに半期ずらしたクロック信号を同時にながしてそのクロック信号に対しても立ち上がりと立下りの両方データを送ることで計4倍の転送力を誇る技術があります。AGP4XやPentium4のFSBがそれで、これをメモリに使ったのがDDRIIと呼ばれる新企画です。
この点を考えると200MHzのクロックに同期させて転送するDDR400よりも、100MHzのクロックに同期させって転送するDDRII400の方が同期が取りやすく発熱も少ないことがわかります。

主な種類

種類 PC4300 PC5300 PC6400
クロック 133MHz 166MHz 200MHz
メモリチップの名称 DDRII 533 DDRII 667 DDRII 800
転送速度 4300MB/s 5300MB/s 6400MB/s

DDR III SDRAM

DDR III SDRAMは、さらに1クロックあたりのデータ入出力をDDR II SDRAMの2倍に拡張した規格です。DDR系のSDRAMは、簡単に考えればSDRAMの1クロックに1回のデータが読み書きできるのに対して、DDRSDRAMは2回、DDR II SDRAMは4回読み書きができるものですが、DDR III SDRAMは8回読み書きができるということになります。利点はDDRII SDRAMのDDR SDRAMに対するそれと同じようになります。

シリアル インターフェース

順当にDDR III SDRAMが高速化するとメモリバスは10GB/s以上に達する見込みで、ここまで高速化するとメモリバス自体が限界に達する可能性が指摘されています。SDRAM/DDRSDRAM/DDR II SDRAMはすべて64bitのパラレルメモリバスを利用してチップセットと接続されていましたが、他のATA規格やPCIバスと同様もパラレル方式からシリアル方式へ移行したことと同様に、メモリインターフェースもシリアル接続へ移行するだろうと言われています。DDRIII SDRAMという規格そのものとは関係のないことですが、速度的に考えるとDDR III SDRAMの途中でメモリインターフェースもシリアル接続に変更される可能性が高いと言われています。

ちなみにシリアル接続のメモリインターフェースとしてはすでにRDRAMで採用されており、このRDRAMが商業的に大失敗に終わった経緯からメーカー一同シリアル化は非常に慎重なようです。とくに、これ関係の特許をRunbus社が多数取得していることから、RDRAMと同じではないにしろ似たような失敗を繰り返す可能性があり、他のインターフェースに比べてメモリのシリアル化を遅らせる原因となっているようです。