『ADSL』

はじめに

ここでは光ファイバーと並び、インターネットへの主な接続手段になっているADSLについて簡単に纏めてみることにします。

ダイヤルアップ接続では変換したパソコンデータを電話の音声と同じように送っていました。電話で使われている音声領域は4KHz帯と呼ばれる4KHz以下の周波数帯のみを使って通信しますが、電話回線自体は単なる信号線なので最新の技術を使えばもっと高周波数の帯域も利用することができ、このように電話線を使った高速なデジタルデータの通信手段をxDSL=xDigital Subscriber Lineと呼びます(デジタルという文字があるが通信方法はアナログで行っている)。

このうち、1989年にベルコア社がビデオ配信用に開発した非対称型DSL=Asymmetric DSLは現在日本ではもっとも普及している通信方法で、下りの通信速度が極めて高いのが特徴です。設備もインターフェースアダプタも技術的な難易度が低く安価で、電話回線を使いますが、電話ではないので何時間ネットにつないでも電話料金がとられないなど価格面で優れる反面、ノイズに弱く基地局から遠いとノイズによる劣化で通信速度が著しく低下することがあります。

ADSLもダイヤルアップの様に徐々に通信速度をあげノイズ対策なども強化されてきています。本来なら光ファイバーなどの次世代通信手段に移行するハズだったのでしょうが、電話回線がきちんと張り巡らされた日本においては追加投資が少なく手軽に高速なADSLが予想以上に普及してしまいADSL側もそれに答えるように安価で高性能化した結果、逆に光ファイバーの普及を鈍らせてしまうほどになってしまいました。

なお、ADSLもダイヤルアップと同様にデジタルデータをアナログに変換して通信を行います。よってネットワークインターフェースアダプタはモデムということになりますが、ダイヤルアップモデムとの区別のため通常はADSLモデムと呼ばれます。

通信速度 特徴
1.5Mbps 一般的に流行りだしたときのADSL。
8Mbps 1.5MBpsに比べて転送速度は勝るが単に高速化したためにノイズにも弱くなった。ノイズに弱いので基地局からの距離の制約が厳しくエリアも狭く場合によっては1.5Mbpsと通信速度が変わらなくなったりする。
12Mbps 8Mbpsよりもさらに高速化すると同時にノイズ耐性も高くした。1.5Mbpsよりもノイズに強いとのことで1.5Mbpsでも届かなかったエリアでもADSLが使えるようになった。
24/26Mbps 利用する帯域を広くすることで転送速度を上げているが、高周波数領域ではノイズの影響を受けやすいので距離が遠くなるとあまり速度はかわらなくなったりする。
40Mbps さらに利用周波数帯域を広げて、さらにエラー訂正用の部分を一部データ転送に割り当てたりしているのでノイズには弱くなっていると考えられる。

※通信各社それぞれ独自の技術なども使って高速化と高エラー耐性を実現しているので一概には言えない。上の表はだいたいの方針。

ADSLの通信方法には複数あり、北米用のAnnex A、ヨーロッパ向けのAnnex B、日本向けのAnnex Cがあります。
Annex Aは北米向けの仕様ですが他の国でも利用されていて、日本でもYahoo BB!など一部の業者が利用していて半分業界標準となっています。しかし、AnnexAはISDNと干渉をしてしまうので近所の人がISDNを使っていると速度が著しく低下してしまいます。この為、その点を改善した日本向けのAnnexCの方が日本では向いていると考えられています。