MO

はじめに

最近ではCD-Rやフラッシュメモリなど便利で安価なメディアが普及してすっかり陰を潜めてしまった感があるMOですが、手軽さや耐久性など他のメディアにはない利点があるMOについてお話し致します。

MOはMagnet Opticalのことで日本語では光磁気ディスクとも呼ばれます。これは記録再生方法が光(熱)と磁気によることに由来しいます。実は身近なものとしてMD(MiniDisk)も同じ方式を使っていて、MDはMOのサイズを小型化したものと言えます。

MOには5inchのものもありますが、一般用途では3.5inchがほとんどを占めます。MOはかなり古くから普及していたリムーバブルディスクの一つで、3.5inchサイズのものでも世代に応じていくつかの容量がありますが、高い上位互換がありほとんどの場合でドライブが対応した規格より以前の規格のメディアならばどれも取り扱うことが出来ます。

MOの仕組み

MOの記録方式は、レーザー光を当てて熱した上で磁気によって記録します。MOの記録層は常温では磁気の影響を受けにくいのでフロッピーやテレホンカードのように強力な磁石の近くに置いておくと情報が失われたりすることはありませんし、磁気で記録しているのでCD-Rのように日光に弱いという欠点もありません。

読み出しはCDと同じようにレーザー光で読み取ります。フロッピーのように直接ヘッドをあてることがないので原理的には読み出す際の劣化はほとんどありません。

余談ですが、通常の録再カセットテープデッキは読み出しと書き込みともに共用磁気ヘッドを使用し、読み込みは磁気ヘッドから得られる電気信号を受け、逆に磁気ヘッドに電気信号を送れば記録ができます(実際には別途消去ヘッドも必要)。光磁気ディスクは読み出しの際にはCDと同じようにレーザー光を当てるだけで可能ですが、書き込みの際には熱と磁気が必要になります。MDも光磁気ディスクですから、あまり録音を利用しないのであればポータブルMDプレーヤーは再生専用の方が重さや故障リスクの面でも有利になると言えると思います。

MOの利点と欠点

MOの利点は耐久性や信頼性が現在メジャーなどのメディアよりも高い点に尽きます。書き換え可能回数がCD-RWが1000回、DVD-RAMの10万回、コンパクトフラッシュが30万回に対して1000万回と桁違いに高く、さらに光と磁気の両方を使って記録するために磁気だけを使って記録するHDDやフロッピーと比べ磁気対する影響を受けにくく、光だけを使って記録するCD-RやDVD-Rよりも日光に対する影響を受けにくく保存性に優れます。また、全てのディスクがカートリッジに入っているので物理的なキズやホコリなどにも強い耐性を持ちます。

MOは読み込みに関しても専用のドライブが必要ですが、完全な上位互換を持つため対応している世代以前の世代のメディアであれば読み書きすることができます。また、古くから普及した規格であるためにインターフェースさえ対応すればDOSなどでも対応でき、WindowsではCD-Rのように専用ソフトなどを導入しなくてもフロッピーと同じ感覚で利用することができます。メディアの交換はドライブ自体を取り外すわけではないので、OS上で取り外し操作してからメディアを取り出す必要もありません。

欠点として、専用ドライブが必要なこととメディア自体がCD-RやDVD-Rに比べて高価であることが上げられます。これはMOがCD-Rよりも販売個数が少ないことも大きく関わっていますが、カートリッジに封入されている構造である以上、仮にMOがCD-R並に売れていたとしても、CD-Rと同価格帯に安くなることはないと思われます(DVD-RAMのカートリッジ式に近い価格になると思われる)。また、熱してから磁気化させる原理上どうしても書き込み速度が遅めです。

3.5inch MOの規格

世代 容量 特徴 規格化
フォーラム
第一世代 128MB 最初期のMOの規格。MOは上位互換があるのでどのドライブでも読み書き可能。 国際規格
第二世代 230MB リムーバブルディスクとしてMOが広く使われていた時代の規格で、容量的にも一般的なデータであれば丁度良いので対応ドライブも長く売られていた。
今でもメディアは潤沢に供給されている。
国際規格
第三世代 540MB すぐに640MB規格が普及したためあまり使われていない。 国際規格
第三世代 640MB CDと同程度の容量を持ち、容量と価格のバランスが良いので今でもドライブ・メディア共に広く売られている。 国際規格
第四世代 1.3GB CD-Rよりコンパクトで容量が大きいのが利点。
大容量のデータを扱うのに最適だが、一般的なデータであれば640MBで事足りて、逆に大容量になるとDVD-RAMと競合するので640MBを置き換えるには至っていない。
国際規格
第五世代 2.3GB 価格や需要のバランスでまだ普及しているとは言えない。
現時点で国際規格として認定されているのは1.3GBまでで、2.3GBはメーカーで規格化している。
業界規格