はじめに
近年、フラッシュメモリが低コスト&大容量でHDDを置き換えるのではないかと注目を浴びています。
このページでは、その中でも価格が安価で簡単に利用できるコンパクトフラッシュ(CF)カードを使って、SRXを0スピンドル(ドライブレス)化してみようと思います。
フラッシュメモリの特長
フラッシュメモリは、HDDに比べて以下のような特徴があります。
メリット
- 衝撃に強い
- 消費電力が少ない
- ランダムアクセスが速い
- 発熱が少ない
- 静かである
- 寿命が一定(突然故障することは少ない)
デメリット
- 価格が高い
- 容量が少ない
- シーケンシャル(連続)アクセスが遅い
- 書き込みが遅い
- 寿命が短い
HDDとフラッシュメモリは一長一短があるのですが、モバイルパソコンにとって『衝撃に強い』そして『消費電力が少ない』という特徴はデメリットを考慮しても採用するに値すると思います。携帯電話を筆頭にモバイル機器の殆どがフラッシュメモリを記憶媒体に使っていることから、モバイルパソコンも今後徐々にフラッシュメモリに移行していくことが予想されます。
すでにSSD(Solid State Drive)という名称でフラッシュメモリのHDDも登場していますが、まだ少々高価なのでここでは安価なCFカードを使って近未来体験を楽しんでみようかと思います。CFカードはインターフェースにIDEとほぼ同じものを使っているので、物理的な形状を変換することでIDEに接続でき、HDDの代わりに使うことができます。
HDDの交換はメーカーの保証外の行為で、1年以内でも無料保障がなくなります(SRXシリーズでまだ1年以内という方はいない?)。また、CFカードの相性などの問題でSRXシリーズで動かない可能性もあります。
HDDの交換にチャレンジ

今回のターゲット、Trancend製の4GBのCFカード『TS4GCF133』。133倍速(CDの1倍速、150KB/sを1として133倍)で、最大21.5MB/sのデータ転送速度を誇ります。ちなみに現在SSDの16GBが4万程度で、これは6000円弱で買いました。もちろん、容量や性能で大きな差がありますが、このくらいの価格ならちょっと試してみる気になれます。


CFカードのインターフェースはIDEとほぼ同等ですが、物理的な形状が異なるので変換コネクタが必要です。ただし、変換コネクタは線を入れ替えているだけで、USB-IDEのように変換チップを挟んでいるわけではないので速度低下は最小限に止まります(PCから見れば、妙な形状のIDEケーブルのようなもの)。

SRX3EにCFカードを接続したところです。HDDに比べてCFカードは小さいので、大きさ的にまだだいぶ余裕があります。上手く配置すれば4個くらいのCFカードがHDDのあったスペースに入りそうです。


接続したらネジを締めて起動するとBIOSにCFカードが正しく認識されました。Windowsをインストールして起動するとデバイスマネージャーに『TRANSCEND』と表示され、こちらも正しく認識されたことが分かります。
利用
とりあえず、いつも通りWindows 2000をインストールして利用環境を構築してみました。(4GBではSRX3Eデフォルトのリカバリは無理でしょう。。。)。
入れたソフト一覧
- Windows 2000
- SP4、その他Windows Updateであてられるパッチは全て適応。
- IE6、WMP9、DirectX 9.0c。
- Firefox 2.0
- OpenOffice.org 2.3
- WinAmp 5.5
- ATOK 2007(体験版)
- avast Antivirus 4.7
- 駅すぱあと(鉄旅行のお供に必須w。。。)
- LHACA、窓の手、いじくるツール
- VAIOのユーティリティ(Notebook Setup、PowerPanel、ファンクションキーユーティリティ)
- 各種ドライバ(含むIntel Wireless LAN Client)

とりあえず、モバイルパソコンで使うだろう必要最低限のソフトを入れてみました。意外にも2.5GB程度で収まったので1GB以上ユーザーが自由にデータを入れる領域を確保することができました。4GBでも充分実用できるのではないでしょうか。
ところで、モデムと並んでホコリを被っていたメモリースティックスロット。実はSRXシリーズのメモリースティックスロットはファームウェアのアップデートでMEMORYSTICK PROも利用できます。4GBのMEMORY STICK PROが利用できれば、ユーザーデータをこちらに入れるという活用方法も考えられます。
結果
速度は、正直なところ遅いと言わざるおえません。ただ、コンパクトフラッシュは書き込みが弱いのですが、自分はソフトウェアのインストールばかりしていたので、実際に利用するという側面ではそれほど気にならないかもしれません。OSの起動などはランダムアクセスの利点が活かされ、HDDの時よりも速かったことを付け加えておきます。
CFカードの性能をついて詳しくは『色々なHDDのベンチマークと考察 HDD』を参照してください。
静音に関しては。。。まぁ当たり前なんですが無音です。ええ、アクセスランプをみないとフリーズしているのと区別がつきません。SRX3EはCPUファンがあるので残念ながら無音にはならないですが、CPUファンが無いモバイルパソコンでは、携帯電話と同様な完全なる無音が実現できるのではないでしょうか。
消費電力については厳密な測定はできなかったのですが、HDDの時は普通に使うと3時間ちょっとでバッテリーを使い切るのですが、CFカードの時は3時間30分程度になっていました。使用状態にもよると思いますが1割程度は伸びていると思われます。
感想
今回のテストで感想は、思っていた以上に『使える』ということです。とくに、静音や消費電力といったスペック的な点もさることながら、耐衝撃性の向上による精神的な安心感がなによりの収穫だったと思います。起動中の状態でも、神経質にならずに移動したりできます。CFカードも衝撃に無敵なわけではありませんが、まぁCFカードより他の液晶とかの方が危ないでしょう。
今回はテストということで格安の適当なCFカードを買って使ってみましたが、容量的な問題はあまりないということがわかりました。システムディスクは少なく抑え、データはPCに入れずにWEBやメモリスティック上に置いて利用するという使い方は、セキュリティの面でも有効でしょう。モバイル中では満足にネットに接続できないかもしれませんが、新しいPCのあり方かもしれませんね。
大容量のHDDにあらゆるものを入れて持ち運ぶスタイル、小容量のSSDに最小限のデータを入れてWEBや外部データを活用するスタイル。未来のモバイルPCについて色々考えるいい機会になりました。