VAIO SRX 意見書

はじめに

VAIO SRXは個人的に気に入ってはいるのですが、使っていると気になる点もあります。

このページではVAIO SRXに関して1ユーザーとして、省電力、サイズ、性能などについて具体的にパーツ名や数値なども交えて勝手な意見を述べさせていただこうと思います。

SRXシリーズ

SRシリーズから続いたSRXは2003年春モデルを最後に生産を終了してしまいました。後継となるべきTRシリーズは2スピンドルでサイズも大きめなので実質SONYはSRXの所属するこのジャンルから撤退してしまったことになります。もともとあまり市場が広くないこのジャンルで、他のメーカーも次々に撤退していったのも事実ですが、ここは一つ売れるようなモノを開発してSRXシリーズの純後継の復活することを期待したいものです。

SRXのに求めるもの

SRXシリーズはの利点はサイズが小さく軽い点バッテリー駆動時間が長い点でしょう。確かに良く考えられていますが分解して詳しく調べてみるとどうも解せない箇所もあるのです。

省電力

CPUを見るとSRX7シリーズもSRX3シリーズも『低電圧版』を使っていますが、Intelはさらに消費電力が低い『超低電圧版』を用意しています。同様に私のSRXに搭載されたメモリーモジュールは通常版でしたが、メーカーであるマイクロンは同容量で低電圧版というのも用意していました。

SONYのホームページに行くと開発者の話として、回路などを最適化繰り返して消費電力を下げたみたいなことが書かれていました。そこまで努力したのならたとえ他のパーツ代を削っても要となるパーツの消費電力は抑えたかったものです。

サイズ

SRXシリーズの利点はサイズと重さが特徴でした。この為CD-ROMドライブを削ったのはよく分かります。でも、そこまでして小さくした筐体に、使うかどうか分からないメモリースティックスロットを搭載するのは如何なものかと思います。

無線LANやBluetoothも同様です。もちろん内蔵されているのは便利ですが、それはCD-ROMも同様でしょう。大きさの為にCD-ROMドライブを外付けにして付属させたように無線LANやBluetoothもPCCardタイプでも付属すれば良かったと思います。特に無線LANは大きさが大きいのであれを削るだけでかなりスペースの節約ができたのではないかと思います。

性能

SRXはIntelに特注して作らせたというi815EMチップセットの特別版を搭載しています。開発者の話を読む限り、上位のi830は大きすぎたというのは分かるとしても、下位のi440MXに比べて『イーサーネットとグラフィックが内臓され性能向上しているので有利になる』といった説明は疑問が残ります。

まず、イーサーネット機能は完全内臓ではなく別途に物理層のチップを搭載しなければなりません。物理層のチップでも、通常のイーサーネットチップとサイズ的には大して変わりません。また、i440MXは1チップですがi815EMは2チップなので、グラフィックチップを追加しても設置面積は変わりません。むしろ、それぞれ専用チップにした方が性能が向上はもちろんのこと、消費電力の面でも有利になると言われています。

ちなみに、性能面ではi815EMはi440MXに比べて『メモリの最大搭載量』と『HDDの転送速度』及び『USBのポート数』などに差があります。ところが、メモリに関しては最大搭載量がSRX7Sを除いて384MB止まりで、おまけに既に搭載されているメモリを取り外さねばなりません。SRX7Sのようにオンボードで256MB搭載してくれれば、最大512MB使えてもっと快適だったと思われます。

ちなみにメモリの速度はi440MXとi815EMは規格上は同じになっていますが、i440MXの方が構造がよりシンプルなため実測値はi440MXの方が良くなります。

HDDに関してはHDD自身が低速な4200rpmなので、ほとんどi440MXと変わらない性能しかでませんし、USBは1ポートしかないので全く意味がありません。USBに関しては数少ないモバイルパソコンの拡張手段の一つなので、メモリスティックスロットの代わりにUSBスロットを搭載した方が良かったと思います。

※HDDの回転数に関しては低い方が消費電力も少ないので、回転数を低いHDDを搭載したこと自体は合理性があると思います。ここで言いたいのは、i815EMの高速なインターフェースはメリットとして生かされてはいないということです。

その他

まずヒンジ、ディスプレイが勝手に倒れるのは困ります。私だけでなく多くの同士がいるようなので、初期モデルはともかく、モデルチェンジしても改善されていないのはいかがなものかと。また、ジョグダイヤルはいかにも壊れそうであまり使い勝手がよくありませんでした。できればその分キーボードとポインティングデバイスのボタンを大きくしてもらいたかったです。

結論

とまぁかなり辛口で講評してしまいました。でもSRXとてもよくできたモバイルパソコンでだからこそ、これらの点を指摘したくなったのです。こういう点を押さえて改善されれば素晴らしいモバイルパソコンができるのに…。

私は期待していました。きっと次期モデルはこれらの点が改善されたすばらしい新SRXになるだろうと。確かにCPUは超低電圧版になりましたが、DVD-ROMが乗って大きくなって重くなっては意味ありません…。再びSRXシリーズ(またはその後継)の復活することを期待したいものです。

SRX後継の期待スペック

SRXの後継がもし登場するなら…と独断と偏見で勝手に構成を期待してみました。

シリーズ 高性能 SERIES 小型 SERIES
OS Windows XP Professional Windows XP HomeEdition
CPU 超低電圧版 Pentium M 超低電圧版 Celeron
チップセット i855PM
メモリ PC2100
グラフィックアクセラレータ Mobility RADEON
液晶 10.4インチ (1024x768,XGA)
HDD 2.5inch 5400rpm 1.8inch 4200rpm
LAN INTEL PRO/100
Wireless LAN PRO/Wireless 2100 ×
インターフェース類 USB 2.0 ×2 , IEEE ×1 , CardBus×1
Sound/Modem/Bluetooth Sound / × / ×
Size W 260.0mm×H 20.0(MAX 25.0mm)×D 170.0mm W 250.0mm×H 15.0(MAX 20.0mm)×D 160.0mm
Weight 1.20kg 0.90kg
バッテリー駆動時間 5.0h-8.0h 6.0h-10.0h

左が性能重視型で右が大きさ重視型です。さぁてみなさんはどちらがお好みでしょうか?

追記

上のような自分の希望をつらつらと書いたんですが、その二ヶ月後くらいにSONYが本家505シリーズで上の小型SERIESにかなり近いモデルを投入してきました。いやぁ、かなりの部分で似てるので自分の考えていることと同じようなことを他の人も考えているんだなぁって思いました。

シリーズ X505 小型 SERIES(予想)
OS Windows XP Professional Windows XP HomeEdition
CPU 超低電圧版 Pentium M 超低電圧版 Celeron
チップセット i855GM i855PM
メモリ PC2100
グラフィックアクセラレータ i855GM Mobility RADEON
液晶 10.4インチ (1024x768,XGA) 10.4インチ (1024x768,XGA)
HDD 1.8inch 4200rpm 1.8inch 4200rpm
LAN チップは不明 INTEL PRO/100
Wireless LAN 付属 ×
インターフェース類 USB 2.0 ×2 , IEEE ×1 , CardBus ×1
Sound/Modem/Bluetooth Sound / × / ×  Sound / × / ×
Size W 259.0mm×H 9.5(MAX 21.0)mm×D 208.0mm W 250.0mm×H 15.0(MAX 20.0mm)×D 160.0mm
Weight 0.785kg 0.90kg
バッテリー駆動時間 2.5h-4.0h 6.0h-10.0h

X505

はじめに思ったのは、小型化を最優先に考えた小型SiRIESでグラフィックを別にするのはナンセンスでした。これはSONYの開発者の方が正しい選択だと思います。それ以外はかなり近かったのではないでしょうか?

X505はモバイルパソコンとしてサイズに関しては申し分ないですが、もう一つの重要な要素であるバッテリーの持続時間がさすがに短すぎると思います。他の事はともかく、どんなパソコンでも電池が切れたらただの荷物ですから多少サイズや重さを犠牲にしてもある程度はないと実用に耐えないと思います。

余談ですが、X505について書かれたある記事では1.8inchiのHDDを採用したために性能と容量がイマイチというような記述があるものがありました。これはモバイルということに割り切ったSONYの判断の方が正しいと思います。不特定多数の人に買ってもらえる商品として中途半端になってしまうことが多いメーカー製パソコンですがモバイルとしてスペックとモビリティをトレードオフすることを考えれば英断だと思うのです。

私が思うにこのX505は、『SONYはこんな凄いパソコンが作れるんだぞ!』という技術力を示す為のものだと思われます。これをベースに、もう少し現実的な価格帯で実用的に向いたスペックのパソコンを投入してくれるのではないかと、心待ちにしているのです。