電源

はじめに

パソコンは電気で動きます。ですから、電気の源と書いた電源が重要でないはずありません。このページでは、パソコンに電力を供給する電源についてお話しします。

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ATX規格では電源の大きさや取り付け位置なども規定されているので、電源はケースによらずCDドライブなどと同様に交換可能なパーツですが、どういうワケかケースとセットで売られている場合も少なくありません。

また、Mini-ITX用やブックシェルフ型のケースの場合の中には奥行きが短いタイプや独自規格の形状のものもあり、このようなケースの場合は電源を交換する場合、選べる電源が大幅に狭められることを頭に入れてケースを選ぶ必要があります。

出力電力

電源の性能は出力電力という目安がもっともポピュラーで、600Wや700Wなどがよく見かけます。単純には供給できる電力の最大値なので、数値が大きいほどたくさんの機器を搭載することができます。パソコンの機器は電力が不足すると不安定になったり誤動作したりするので少々余裕を持った容量にするベキでしょう。

また、パソコンの電力にはドライブ用の12Vとマザーボード用の5Vと3.3Vの電力を生成して供給します。この和が出力電力ですが、合計の出力電力が足りていても個々の電力が不足する場合には不足した電源帯で不具合が発生してしまいます。

マザーボード上に消費電力の高いパーツが搭載されている場合は5Vと3.3Vが充分に生成できないと余計なトラブルが発生するかもしれませんし、逆にHDDなどのドライブ類を沢山搭載する予定ならば12V側に余裕をもっていた方がいいでしょう。

最近ではCPUやチップセットの消費する電力が増大した結果、安定して電力を供給できるようにマザーボードに電力を供給するために、通常の電源コネクタ以外に専用ラインを要求するマザーボードが多くなりました。また、通常の電源コネクタも従来の20pinから24pinへと移行しつつあります。

基本的に電源が生成する電圧は上記の3つなので、変換アダプターをつけることで従来の電源でも対応できますが、安定性の面でもできるかぎりネイティブで対応したものが好ましいです(元のままだと問題があるから増やしたワケですから)。

80 PLUS

80 PLUSはこれ自身は電力の変換効率を表す指標ですが、変換効率が高いものはだいたい高性能な高級品なので、電源のグレードを示す基準のように扱われています。

  • 80 PLUS (無印) … 変換効率 80%以上
  • 80 PLUS BRONZE …変換効率 82%以上
  • 80 PLUS SILVER … 変換効率 85%以上
  • 80 PLUS GOLD …変換効率 87%以上
  • 80 PLUS PLATINUM … 変換効率 90%以上
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※ 外国では80 PLUS TITANIUM なるものもあるようですが100V用の基準が定められていないので国内では出回っていないようです。

もともと電源は、AC100Vという家庭のコンセントから出てくる電気をDC12V、5V、3.3Vなどに『変換』する装置です。しかし100%『変換』することはできず、一部のエネルギーはロスとして失われてしまいます。そして、入力のエネルギー(電力)に対してどれくらいのエネルギーが出力がとして得られるかが変換効率です。例えば500Wで80 PLUSの電源では400Wがエネルギーとして利用でき、100Wはロスとして失われるということです。

ちなみに、電源は基本的に動き回ったり変形したりしないので、失われたロスは熱として放出されます。つまり、変換効率が高いものは省エネなだけでなく、発熱が少ないのでファンの回転が静かで、熱によるパーツへの負担が少ないので寿命も長くなると言えます。

プラグイン

様々な構成に柔軟に対応できるようにするため、電源にはかなり余裕をもってケーブルやコネクタが搭載されています。これは見た目が悪いだけでなく、エアフローの妨げにもなります。そこで、ケーブルを着脱式にして、必要なケーブルだけ取付けて使えるようにしたものがプラグインタイプです。

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これにより高い拡張性を持たせつつ、その構成にあわせて必要最低限のケーブルのみを用いてスッキリと配線することができます。とくにコンパクトなケースでは内部のスペースが狭いので効果的です。

ただし、プラグインタイプは直付けタイプに比べて高価になることと、コネクタが増える分どうしても接点でロスが生まれたり品質が低下したりするなど欠点もあります。なお、私の友人はきっとケーブルをなくすからという理由で敬遠していました(笑)。

静音性

また、最近ではパソコンの騒音が取り上げられることが多くなりました。特に電源はパソコンが稼動している間は常に動作しているのでこの冷却ファンの音というのはパソコンの騒音源としては大きなウェートを占めます。各社から静音電源なるものが登場していて、ケースにもそれを謳う電源が搭載されているものが多く見られます。

正直、最近ではほとんどの電源が静音電源を名乗っているので『静音電源』という肩書きは信頼おけません。そもそも、音というのは機械的に測れる大きさと人間が感じる多きさがだいぶ異なりますのでできることなら口コミや実際に自分の耳で音を確かめてみたいものです。

また、音を静かにするもっとも簡単な方法はファンの回転を落とすことですが、安価な電源では放熱という観点に目をつぶってファンの回転を下げて静かにしているものもあるので要注意です。

国内向け

日本向けの電源と海外の電源では性能以外のところに差があることがあります。世界の家庭に供給される電気にはいろいろなバリエーションがありますが、大きく分けて250Vのタイプと110Vのタイプです。この為、海外の一般的な電源は250Vと110Vの両方に対応していて、各電圧に対して電圧降下などを考えて10%程度のマージンを設けています。

日本は100Vジャストですが110Vに設定するとギリギリマージンの範囲内にはいるので使えないことはないということになります。ただ、100Vというのは家庭に入った直後で保障された電圧で、家庭の全てのコンセントが100Vが保障されているワケではないのでタコ足配線にしていたりして電圧降下が発生したりすると100V以下に落ちることもあります。

この場合は、もともとマージンギリギリで動いていた上記のような海外の電源では電圧が足りなくて不具合が発生する場合が起きてしますのです。国内向けのある程度しっかりした電源は正式に100Vをサポートしているものがあり、100Vに対して10%くらいのマージンを考えてあるので多少電圧降下が起こっても不具合なく動作するということになるのです。