はじめに
Intel 430FX チップセット は1995年に i430NX の後継として発売されたローエンド向けの Pentium 用チップセットです。(後継ですが廉価版に近い位置づけで、第三世代のPentium 用チップセットとなる)
開発コードネームは Triton で、PCI の高速化や EDO-DRAM のサポートによるメモリの高速化などが行われ、またそれまで別チップだったE-IDE コントローラ と I/O コントローラ を PCI-ISA ブリッジチップ に統合して、バスマスター IDE を初めてサポートしました。440xxシリーズまで続く ノースブリッジとサウスブリッジの役割分担になったのもこのチップセットが最初の製品です。
このようにこのチップセットはいろいろな意味で、チップセットの草分け的な存在となり、安定性はあまりよくなかったようですが爆発的な人気を博しました。
主な仕様
Intel 430FX
- PCI が高速化。
- メインメモリとして EDO DRAM をサポート。
- Bus Master IDE をサポート。
スペック
チップ名 | 430FX PCIset |
---|---|
ノーズブリッジ | Intel 82437FX (i430FX) |
データパスユニット | Intel 82438FX ×2 |
サウスブリッジ | Intel 82371FB (PIIX) |
対応CPU | Pentium |
デュアル動作 | × |
対応メモリ種類 | FPM-DRAM/EDO-DRAM |
メモリの最大搭載量 | 128MByte |
ノースブリッジとサウスブリッジの接続に使用しているバス | PCI |
AGP | - |
内臓グラフィック | - |
PCI | 32bit/33MHz×4 (サウスブリッジを含めると×5) Ver2.0 |
IDE | Bus Master IDE |
USB | - |
付加機能 | - |
特徴
このチップセットの最大の特徴は現在のチップセット構成になった点でしょう。それまで、PCI 接続の E-IDE コントローラと PCI-ISAブリッジの先に ISA 接続の I/O コントローラ を搭載するという構成だったものを、 PCI-ISA ブリッジに統合して現在サウスブリッジと呼ばれるチップにしました。この構成はi810チップセットが登場してHub Architecture が採用されるまで続きました。
このチップセットは、初めて Bus Master IDE をサポートする E-IDE コントローラを搭載しました。このチップセットに採用されたE-IDE コントローラは初物ということもあり結構なじゃじゃ馬さんでユーザーを困らせたようです。しかし、このチップ以降に Bus MasterIDE 機器が徐々に増え、現在の IDE の繁栄があったことは紛れも無い事実です。
PCI の最大転送率は 133MB/s ですが、初期の PCI ではあまり速度がでなく、尚且つ相性がシビアだったようで、このチップセットではこの効率をぐっと上げて理論値に近い値がでるようにしました。また、メモリにはEDO-DRAM を利用可能にしてシステム全体の高速化が図られました。