はじめに
Intel Core iプロセッサ用チップセットは各世代で少しずつ機能アップしているので、Intel 5 SeriesからIntel 300 Seriesまでを簡単にまとめてみました。
Intel 5 Series
特徴
- 2009年発売 (コードネーム:Ibexpeak) プロセスルールは65mm。
- 第1世代Core iプロセッサ(Lynnfield/Clarkdale)向けチップセット。
- 1チップ構成で実質は従来のサウスブリッジ(ICH)に相当。
チップセットと言っていますが1チップ構成で、メモリコントローラ、グラフィック、PCI-ExpressコントローラがCPU側に搭載されたため、実質は従来のサウスブリッジ(ICH)に相当しています。
新旧比較
チップ名 | Intel P55 | Intel H57 | ICH10R |
---|---|---|---|
Socket | LGA1156 | - | |
Interface | DMI | ||
Serial ATA | 6 | ||
PCI-Express | 8 | 6 | |
USB 2.0 | 14 port | 12 port |
ラインナップ
P55がオーバークロックやSLI/CF対応、H57が内蔵グラフィック対応、H55はH57の廉価版(機能限定版)です。
チップ名 | Intel P55 | Intel H57 | Intel H55 |
---|---|---|---|
Interface | DMI 1.0 (10Gbps) | ||
Serial ATA | 6 | ||
SATA RAID | ○ | × | |
PCI-Express | 8 | 6 | |
USB 2.0 | 14port | 12port | |
Internal Graphic | × | ○ (CPUはClarkdaleが必要) | |
SLI/CrossFire | x16 x8/x8 |
× | |
OverClock | ○ | × |
この他、ハイエンド向けのIntel X58がありますが、かなり毛色が違うのでここでは割愛します。
Intel 6 Series
特徴
- 2011年発売 (コードネーム:Couger Point) プロセスルールは65mm。
- 第2世代Core iプロセッサ(Sandy Bridge)向けチップセット。
- PCI-Express Gen2 (5Gbps) および DMI 2.0をサポート。
- Serial ATA 3 (6Gbps)を2ポート サポート。
PCI-Express Gen2 (5Gbps)対応とそれに伴うDMI 2.0のサポートが特徴です。また、PとHの良いとこ取りをした全部入りのZシリーズがラインナップに加わったのもポイントです。
Sandy Bridge用ですが、マザーボードがサポートすれば第3世代Core iプロセッサ(Ivy Bridge)にも対応できます。
新旧比較
チップ名 | Intel Z68 | Intel P67 | Intel H67 | Intel P55 | Intel H57 |
---|---|---|---|---|---|
Socket | LGA1156 | LGA1155 | |||
Interface | DMI 2.0 (20Gbps) | DMI (10Gbps) | |||
PCI-Express | PCI-Express (5Gbps) | PCI-Express (2.5GHz) | |||
Serial ATA 3 (6Gbps) | 2 port | × | |||
Serial ATA 2 (3Gbps) | 4 port | 6 port |
ラインナップ
P67がP55の後継でオーバークロックやSLI/CF対応、H67がH57の後継で内蔵グラフィック対応、Z68が全部入り、H61はH67の廉価版(機能限定版)です。(チップセット関係ないハズなのに、H61はメモリスロットは2スロットまで!)
Z68にはSmart Response Technologyという高価で容量が少ないSSDをHDDのキャッシュとして使う機能が搭載されています。
チップ名 | Intel Z68 | Intel P67 | Intel H67 | Intel H61 |
---|---|---|---|---|
Memory Slot | 4 | 2 | ||
PCI-Express | 8 | 6 | ||
USB 2.0 | 14 port | 10 port | ||
Serial ATA 3 (6Gbps) | 2 port | - | ||
Serial ATA 2 (3Gbps) | 4 port | |||
Internal Graphic | ○ | × | ○ | ○ |
SLI/CrossFire | x16 x8/x8 |
x16 x8/x |
× | × |
OverClock | ○ | ○ | × | × |
RAID | ○ | × |
この他、企業向けのQ67、Q65、B65などがあります。
Intel 7 Series
特徴
- 2012年発売 (コードネーム:Panther Point) プロセスルールは65mm。
- 第3世代Core iプロセッサ(Ivy Bridge)向けチップセット。
- USB 3.0を4ポート サポート。
- Z77ではCPUのPCI-Eを従来のx8/x8の2分割に加え、x8/x4/x4の3分割が可能に。
- IvyBridge使用時は内蔵グラフィック機能で3画面までサポート。
USB 3.0をチップセットでサポートしたのが最大の特徴といえます。また、このチップセットから全てのラインナップで内蔵グラフィックをサポートするようになりました。
同じプラットホームを利用するSandy Bridgeもサポートします。
搭載マザーボードで比較するとCPU側のPCI-Express Gen3サポートや最大メモリ容量などにも違いがある場合もありますが、これはIvyBridgeで強化された部分なので、チップセットの違いというよりかはマザーボード側が対応しているかどうかの違いと言えます。
新旧比較
チップ名 | Intel Z77 | Intel H77 | Intel Z68 | Intel H67 |
---|---|---|---|---|
USB 3.0 | 4 port | × | ||
USB 2.0 | 10 port | 14 port | ||
PCI-Express (CPU) |
x16 x8/x8 x8/x4/x4 |
x16 | x16 x8/x8 |
x16 |
Display | 3 (IvyBridge使用時) | 2 |
この他、Intel Smart Connect Technologyという機能なども追加されていますが、あんまり使われなかったような。。。
ラインナップ
Z77がZ68の後継、H77がH67の後継でオーバークロックやSLI/CFなし、Z75はZ77の廉価版(機能限定版)です。なお、Intel 7 SeriesではH61の後継がないため、企業向けのB75が低価格帯のパソコンやマザーボードで使用されていました。
Z77とH77にはZ68に搭載されていたSmart Response Technology(SSDをHDDのキャッシュとして使う機能)が搭載されています。ですので、Z77とZ75の違いはSLI/CFの3分割対応とこの機能になります。
チップ名 | Intel Z77 | Intel Z75 | Intel H77 | Intel B75 |
---|---|---|---|---|
PCI-Express | 8 | 6 | ||
USB 3.0 | 4 port | |||
USB 2.0 | 10 port | 8 port | ||
Serial ATA 3 (6Gbps) | 2 port | 1 port | ||
Serial ATA 2 (3Gbps) | 4 port | 5 port | ||
Internal Graphic | ○ | |||
SLI/CrossFire | x16 x8/x8 x8/x4/x4 |
x16 x8/x8 |
x16 | x16 |
OverClock | ○ | ○ | × | × |
RAID | ○ | × |
この他、企業向けのQ77、Q75などがあります。また、ハイエンド向けのIntel X79(Intel X58の後継)がありますが、かなり毛色が違うのでここでは割愛します。
Intel 8 Series
特徴
- 2013年発売 (コードネーム:Lynx Point) プロセスルールは32mm。
- 第4世代Core iプロセッサ(Haswell)向けチップセット。
- USB 3.0を6ポートまでサポート。
- Serial ATA 3 (6Gbps)を6ポートまでサポート。
このチップセットはUSB 3.0とSerial ATA 3の最大数が増えたのが特徴です。機能面で見ればIntel 7 Seriesのマイナーアップデートと言えますが、Haswellを使うにはこのチップセットが必要になりますので比較されることはあまりないと思います。
新旧比較
チップ名 | Intel Z87 | Intel H87 | Intel Z77 | Intel H77 |
---|---|---|---|---|
Socket | LGA1150 | LGA1155 | ||
USB 3.0 | 6 port | 4 port | ||
Serial ATA 3 (6Gbps) | 6 port | 2 port |
ラインナップ
Z87がZ77の後継、H87がH77の後継、H81がH61の後継でH87の廉価版(機能限定版)です。
チップ名 | Intel Z87 | Intel H87 | Intel H81 |
---|---|---|---|
Memory Slot | 4 | 2 | |
PCI-Express | 8 | 6 | |
USB 3.0 | 6 port | 2 port | |
USB 2.0 | 8 port | 8 port | |
Serial ATA 3 (6Gbps) | 6 port | 2 port | |
Serial ATA 2 (3Gbps) | - | 2 port | |
SLI/CrossFire | x16 x8/x8 x8/x4/x4 |
x16 | x16 |
OverClock | ○ | × | × |
RAID | ○ | × | |
Display | 3 | 2 |
この他、企業向けにQ87、Q85、B85などがあります。
Intel 9 Series
特徴
- 2014年発売 (コードネーム:Lynx Point)。
- 第4世代Core iプロセッサの改良型の(Haswell Refresh)および第5世代(Broadwell)向けチップセット。
- PCI-Expressベースのストレージ(NVMeなど)をサポート。
このチップセットは、開発コードネームがIntel 8 Seriesと同じことからもマイナーアップなのが見て取れます。このチップセットのトピックはPCI-Expressベースのストレージへの対応で、PCI-Expressの拡張カード、SATA Express、M.2モジュールなどのストレージから起動できるようになりました。
従来のマザーボードでもPCI-Expressスロットに接続する拡張カードタイプのストレージに起動用のOptionROM(昔は拡張カードのBIOSと言っていたやつかと)を搭載すれば起動ドライブにすることもできましたが、チップセットで対応したことがポイントです。
新旧比較
チップ名 | Intel Z97 | Intel H97 | Intel Z87 | Intel H87 |
---|---|---|---|---|
PCI-E Storage Boot | ○ | × |
ラインナップ
Z97がZ87の後継、H97がH87の後継です。高速ストレージ用のマイナーアップなので廉価版(機能限定版)のH81はそのまま販売が継続されました。
チップ名 | Intel Z97 | Intel H97 |
---|---|---|
PCI-Express | 8 | |
USB 3.0 | 6 port | |
USB 2.0 | 8 port | |
PCI-E Storage Boot | ○ | |
Serial ATA 3 (6Gbps) | 6 port | |
Serial ATA 2 (3Gbps) | - | |
SLI/CrossFire | x16 x8/x8 x8/x4/x4 |
x16 |
OverClock | ○ | × |
RAID | ○ | |
Display | 3 |
この他、ハイエンド向けのIntel X99(Intel X79の後継)がありますが、かなり毛色が違うのでここでは割愛します。
Intel 100 Series
特徴
- 2015年発売 (コードネーム:Skylake(CPUと一緒らしい)) プロセスルールは22mm。
- 第6世代Core iプロセッサ(Skylake)向けチップセット。
- PCI-Express Gen3 (8Gbps) および DMI 3.0をサポート。
- PCI-Expressのレーン数およびUSB 3.0のポート数が増加。
チップセット名は数字が9までいってしまったので1桁増えました。シリーズ名は10ではなく100シリーズと記載されています。PCI-Express Gen3 (8Gbps)対応とそれに伴うDMI 3.0のサポートが特徴です。
新旧比較
チップ名 | Intel Z170 | Intel H170 | Intel Z97 | Intel H97 |
---|---|---|---|---|
Socket | LGA1151 | LGA1150 | ||
Interface | DMI 3.0 (32Gbps) | DMI 2.0 (20Gbps) | ||
PCI-Express Gen3 | PCI-Express Gen3 (8Gbps) | PCI-Express Gen2 (5GHz) | ||
PCI-Express lane | 20 | 16 | 8 | 8 |
USB 3.0 | 10 port | 8 port | 6 prot | 6 port |
USB 2.0 | 14 prot | 14 port | 8 prot | 8 port |
ラインナップ
Z170がZ97の後継、H170がH97の後継、H110がH81の後継でH170の廉価版(機能限定版)です。H110はPCI-Express Gen2までのサポートでDMIもDMI 2.0止まりなので一世代前のチップセットに近いスペックです。
今までZとHの上位シリーズの違いは、オーバークロックとSLI/CFくらいでしたが、Intel 100 SeriesはPCI-Expressのレーン数やUSB 3.0の数などに細かい違いがあります。
チップ名 | Intel Z170 | Intel H170 | Intel H110 |
---|---|---|---|
Memory Slot | 4 | 2 | |
DMI | 3.0 | 3.0 | 2.0 |
PCI-Express Gen3 | 20 | 16 | - |
PCI-Express Gen2 | - | - | 6 |
USB 3.0 | 10 port | 8 port | 4 port |
USB 2.0 | 14 port | 14 port | 10 port |
Serial ATA 3 (6Gbps) | 6 port | 4 port | |
SLI/CrossFire | x16 x8/x8 x8/x4/x4 |
x16 | x16 |
OverClock | ○ | × | × |
RAID | ○ | × | |
Display | 3 | 2 |
この他、企業向けにQ170、Q150、B150などがあります。
Intel 200 Series
特徴
- 2017年発売 (コードネーム:Kaby Lake(引き続きCPUと一緒)) プロセスルールは22mm。
- 第7世代Core iプロセッサ(Kaby Lake)向けチップセット。
- PCI-Expressのレーン数が増加。
PCI-Expressのレーン数が増加している程度でマイナーアップデートと言えます。一応、Optaneメモリ(ランダムアクセスに強い3D Xpointを使ったSSDのこと)への対応もポイントだったのですが、正直なところOptaneメモリ自体が話題になってないような。。。
新旧比較
チップ名 | Intel Z270 | Intel H270 | Intel Z170 | Intel H170 |
---|---|---|---|---|
PCI-Express Gen3 | 24 | 20 | 20 | 16 |
ラインナップ
Z270がZ170の後継、H270がH170の後継です。PCI-Expressのレーン数強化のマイナーアップなので廉価版(機能限定版)のH110はそのまま販売が継続されました。
チップ名 | Intel Z170 | Intel H170 |
---|---|---|
Memory Slot | 4 | |
PCI-Express Gen3 | 24 | 20 |
USB 3.0 | 10 port | 8 port |
USB 2.0 | 14 port | 14 port |
Serial ATA 3 (6Gbps) | 6 port | |
SLI/CrossFire | x16 x8/x8 x8/x4/x4 |
x16 |
OverClock | ○ | × |
RAID | ○ | |
Display | 3 |
この他、企業向けにQ270、Q250、B250などがあります。また、ハイエンド向けのIntel X299(Intel X99の後継)がありますが、かなり毛色が違うのでここでは割愛します。
Intel 300 Series
特徴
- 2017年発売 (コードネーム:Coffee Lake(引き続きCPUと一緒))
- プロセスルールはZ370/H310C/B365が22mmで、それ以外は14nm。
- 第8世代Core iプロセッサ(Coffee Lake)向けチップセット。
- USB 3.1 Gen2(10Gbps)を6 portサポート。
- PCI-ExpressのストレージによるRAID対応。
このチップセットはややこしく、先行して発売されたZ370はフラグシップながらUSB 3.1 Gen2に対応していませんでしたが、全体としてIntel 300 Series のポイントはUSB 3.1 Gen2対応だと思います。その他は、PCI-ExpressのストレージによるRAIDをサポートしている点が特徴です。
機能面で見ればIntel 200 Seriesのマイナーアップデートと言えますが、Coffee Lakeを使うにはこのチップセットが必要になりますので比較されることはあまりないと思います。
新旧比較
チップ名 | Intel Z370 | Intel Z370 | Intel H270 | Intel Z270 | Intel H270 |
---|---|---|---|---|---|
Socket | LGA1151 v2 | LGA1151 | |||
USB 3.1 Gen2 | 8 port | × | 6 port | × | |
PCI-E RAID | ○ | × |
ラインナップ
Z390/Z370がZ270の後継、H370がH270の後継、H310がH110の後継でH370の廉価版(機能限定版)です。先行してZ370が発売され、その後USB 3.1 Gen2対応のH370、最後にUSB 3.1 Gen2対応のZ390の順に登場しています。
プロセスルールをみてもZ370は前世代のZ270に近い繋ぎの製品で、実質Z390がZ270の後継と考えて良いと思います。Coffee LakeはIntel 300 Seriesでしかサポートされないため中途半端な状態でも出さざるを得なかったのかもしれません。
H310はH110とほぼ同等のスペックとなっており、HPCI-Express Gen2までのサポートでDMIもDMI 2.0止まりと一昔前のチップセットのスペックとなっています。H310Cはプロセスルールが違う(22nm:古い)ものでスペックに差はありませんが発熱は多少多いかもしれません。
チップ名 | Intel Z390 | Intel Z370 | Intel H370 | Intel H310/H310C |
---|---|---|---|---|
Memory Slot | 4 | 2 | ||
DMI | DMI 3.0 (32Gbps) | DMI 2.0 (20Gbps) | ||
PCI-Express Gen3 | 24 | 24 | 20 | - |
PCI-Express Gen2 | - | 6 | ||
USB 3.1 Gen2 | 6 port | - | 4 port | - |
USB 3.0 | 10 port | 10 port | 8 port | 4 port |
USB 2.0 | 14 port | 14 port | 14 port | 10 port |
Serial ATA 3 (6Gbps) | 6 port | 4 port | ||
SLI/CrossFire | x16 x8/x8 x8/x4/x4 |
x16 | ||
OverClock | ○ | × | ||
RAID | ○ | × | ||
Display | 3 | 2 |
この他、企業向けにQ370、B360、B365(B360より低スペックなので注意)などがあります。