Intel 5 Series ~ Intel 300 Series Chipset

はじめに

Intel Core iプロセッサ用チップセットは各世代で少しずつ機能アップしているので、Intel 5 SeriesからIntel 300 Seriesまでを簡単にまとめてみました。

Intel 5 Series

特徴

チップセットと言っていますが1チップ構成で、メモリコントローラ、グラフィック、PCI-ExpressコントローラがCPU側に搭載されたため、実質は従来のサウスブリッジ(ICH)に相当しています。

新旧比較

チップ名 Intel P55 Intel H57 ICH10R
Socket LGA1156 -
Interface DMI
Serial ATA 6
PCI-Express 8 6
USB 2.0 14 port 12 port

ラインナップ

P55がオーバークロックやSLI/CF対応、H57が内蔵グラフィック対応、H55はH57の廉価版(機能限定版)です。

チップ名 Intel P55 Intel H57 Intel H55
Interface DMI 1.0 (10Gbps)
Serial ATA 6
SATA RAID ×
PCI-Express 8 6
USB 2.0 14port 12port
Internal Graphic × ○ (CPUはClarkdaleが必要)
SLI/CrossFire x16
x8/x8
×
OverClock ×

この他、ハイエンド向けのIntel X58がありますが、かなり毛色が違うのでここでは割愛します。

Intel 6 Series

特徴

PCI-Express Gen2 (5Gbps)対応とそれに伴うDMI 2.0のサポートが特徴です。また、PとHの良いとこ取りをした全部入りのZシリーズがラインナップに加わったのもポイントです。

Sandy Bridge用ですが、マザーボードがサポートすれば第3世代Core iプロセッサ(Ivy Bridge)にも対応できます。

新旧比較

チップ名 Intel Z68 Intel P67 Intel H67 Intel P55 Intel H57
Socket LGA1156 LGA1155
Interface DMI 2.0 (20Gbps) DMI (10Gbps)
PCI-Express PCI-Express (5Gbps) PCI-Express (2.5GHz)
Serial ATA 3 (6Gbps) 2 port ×
Serial ATA 2 (3Gbps) 4 port 6 port

ラインナップ

P67がP55の後継でオーバークロックやSLI/CF対応、H67がH57の後継で内蔵グラフィック対応、Z68が全部入り、H61はH67の廉価版(機能限定版)です。(チップセット関係ないハズなのに、H61はメモリスロットは2スロットまで!)

Z68にはSmart Response Technologyという高価で容量が少ないSSDをHDDのキャッシュとして使う機能が搭載されています。

チップ名 Intel Z68 Intel P67 Intel H67 Intel H61
Memory Slot 4 2
PCI-Express 8 6
USB 2.0 14 port 10 port
Serial ATA 3 (6Gbps) 2 port -
Serial ATA 2 (3Gbps) 4 port
Internal Graphic ×
SLI/CrossFire x16
x8/x8
x16
x8/x
× ×
OverClock × ×
RAID ×

この他、企業向けのQ67、Q65、B65などがあります。

Intel 7 Series

特徴

USB 3.0をチップセットでサポートしたのが最大の特徴といえます。また、このチップセットから全てのラインナップで内蔵グラフィックをサポートするようになりました。

同じプラットホームを利用するSandy Bridgeもサポートします。

搭載マザーボードで比較するとCPU側のPCI-Express Gen3サポートや最大メモリ容量などにも違いがある場合もありますが、これはIvyBridgeで強化された部分なので、チップセットの違いというよりかはマザーボード側が対応しているかどうかの違いと言えます。

新旧比較

チップ名 Intel Z77 Intel H77 Intel Z68 Intel H67
USB 3.0 4 port ×
USB 2.0 10 port 14 port
PCI-Express
(CPU)
x16
x8/x8
x8/x4/x4
x16 x16
x8/x8
x16
Display 3 (IvyBridge使用時) 2

この他、Intel Smart Connect Technologyという機能なども追加されていますが、あんまり使われなかったような。。。

ラインナップ

Z77がZ68の後継、H77がH67の後継でオーバークロックやSLI/CFなし、Z75はZ77の廉価版(機能限定版)です。なお、Intel 7 SeriesではH61の後継がないため、企業向けのB75が低価格帯のパソコンやマザーボードで使用されていました。

Z77とH77にはZ68に搭載されていたSmart Response Technology(SSDをHDDのキャッシュとして使う機能)が搭載されています。ですので、Z77とZ75の違いはSLI/CFの3分割対応とこの機能になります。

チップ名 Intel Z77 Intel Z75 Intel H77 Intel B75
PCI-Express 8 6
USB 3.0 4 port
USB 2.0 10 port 8 port
Serial ATA 3 (6Gbps) 2 port 1 port
Serial ATA 2 (3Gbps) 4 port 5 port
Internal Graphic
SLI/CrossFire x16
x8/x8
x8/x4/x4
x16
x8/x8
x16 x16
OverClock × ×
RAID ×

この他、企業向けのQ77、Q75などがあります。また、ハイエンド向けのIntel X79(Intel X58の後継)がありますが、かなり毛色が違うのでここでは割愛します。

Intel 8 Series

特徴

このチップセットはUSB 3.0とSerial ATA 3の最大数が増えたのが特徴です。機能面で見ればIntel 7 Seriesのマイナーアップデートと言えますが、Haswellを使うにはこのチップセットが必要になりますので比較されることはあまりないと思います。

新旧比較

チップ名 Intel Z87 Intel H87 Intel Z77 Intel H77
Socket LGA1150 LGA1155
USB 3.0 6 port 4 port
Serial ATA 3 (6Gbps) 6 port 2 port

ラインナップ

Z87がZ77の後継、H87がH77の後継、H81がH61の後継でH87の廉価版(機能限定版)です。

チップ名 Intel Z87 Intel H87 Intel H81
Memory Slot 4 2
PCI-Express 8 6
USB 3.0 6 port 2 port
USB 2.0 8 port 8 port
Serial ATA 3 (6Gbps) 6 port 2 port
Serial ATA 2 (3Gbps) - 2 port
SLI/CrossFire x16
x8/x8
x8/x4/x4
x16 x16
OverClock × ×
RAID ×
Display 3 2

この他、企業向けにQ87、Q85、B85などがあります。

Intel 9 Series

特徴

このチップセットは、開発コードネームがIntel 8 Seriesと同じことからもマイナーアップなのが見て取れます。このチップセットのトピックはPCI-Expressベースのストレージへの対応で、PCI-Expressの拡張カード、SATA Express、M.2モジュールなどのストレージから起動できるようになりました。

従来のマザーボードでもPCI-Expressスロットに接続する拡張カードタイプのストレージに起動用のOptionROM(昔は拡張カードのBIOSと言っていたやつかと)を搭載すれば起動ドライブにすることもできましたが、チップセットで対応したことがポイントです。

新旧比較

チップ名 Intel Z97 Intel H97 Intel Z87 Intel H87
PCI-E Storage Boot ×

ラインナップ

Z97がZ87の後継、H97がH87の後継です。高速ストレージ用のマイナーアップなので廉価版(機能限定版)のH81はそのまま販売が継続されました。

チップ名 Intel Z97 Intel H97
PCI-Express 8
USB 3.0 6 port
USB 2.0 8 port
PCI-E Storage Boot
Serial ATA 3 (6Gbps) 6 port
Serial ATA 2 (3Gbps) -
SLI/CrossFire x16
x8/x8
x8/x4/x4
x16
OverClock ×
RAID
Display 3

この他、ハイエンド向けのIntel X99(Intel X79の後継)がありますが、かなり毛色が違うのでここでは割愛します。

Intel 100 Series

特徴

チップセット名は数字が9までいってしまったので1桁増えました。シリーズ名は10ではなく100シリーズと記載されています。PCI-Express Gen3 (8Gbps)対応とそれに伴うDMI 3.0のサポートが特徴です。

新旧比較

チップ名 Intel Z170 Intel H170 Intel Z97 Intel H97
Socket LGA1151 LGA1150
Interface DMI 3.0 (32Gbps) DMI 2.0 (20Gbps)
PCI-Express Gen3 PCI-Express Gen3 (8Gbps) PCI-Express Gen2 (5GHz)
PCI-Express lane 20 16 8 8
USB 3.0 10 port 8 port 6 prot 6 port
USB 2.0 14 prot 14 port 8 prot 8 port

ラインナップ

Z170がZ97の後継、H170がH97の後継、H110がH81の後継でH170の廉価版(機能限定版)です。H110はPCI-Express Gen2までのサポートでDMIもDMI 2.0止まりなので一世代前のチップセットに近いスペックです。

今までZとHの上位シリーズの違いは、オーバークロックとSLI/CFくらいでしたが、Intel 100 SeriesはPCI-Expressのレーン数やUSB 3.0の数などに細かい違いがあります。

チップ名 Intel Z170 Intel H170 Intel H110
Memory Slot 4 2
DMI 3.0  3.0 2.0
PCI-Express Gen3 20 16 -
PCI-Express Gen2 - - 6
USB 3.0 10 port 8 port 4 port
USB 2.0 14 port 14 port 10 port
Serial ATA 3 (6Gbps) 6 port 4 port
SLI/CrossFire x16
x8/x8
x8/x4/x4
x16 x16
OverClock × ×
RAID ×
Display 3 2

この他、企業向けにQ170、Q150、B150などがあります。

Intel 200 Series

特徴

PCI-Expressのレーン数が増加している程度でマイナーアップデートと言えます。一応、Optaneメモリ(ランダムアクセスに強い3D Xpointを使ったSSDのこと)への対応もポイントだったのですが、正直なところOptaneメモリ自体が話題になってないような。。。

新旧比較

チップ名 Intel Z270 Intel H270 Intel Z170 Intel H170
PCI-Express Gen3 24 20 20 16

ラインナップ

Z270がZ170の後継、H270がH170の後継です。PCI-Expressのレーン数強化のマイナーアップなので廉価版(機能限定版)のH110はそのまま販売が継続されました。

チップ名 Intel Z170 Intel H170
Memory Slot 4
PCI-Express Gen3 24 20
USB 3.0 10 port 8 port
USB 2.0 14 port 14 port
Serial ATA 3 (6Gbps) 6 port
SLI/CrossFire x16
x8/x8
x8/x4/x4
x16
OverClock ×
RAID
Display 3

この他、企業向けにQ270、Q250、B250などがあります。また、ハイエンド向けのIntel X299(Intel X99の後継)がありますが、かなり毛色が違うのでここでは割愛します。

Intel 300 Series

特徴

このチップセットはややこしく、先行して発売されたZ370はフラグシップながらUSB 3.1 Gen2に対応していませんでしたが、全体としてIntel 300 Series のポイントはUSB 3.1 Gen2対応だと思います。その他は、PCI-ExpressのストレージによるRAIDをサポートしている点が特徴です。

機能面で見ればIntel 200 Seriesのマイナーアップデートと言えますが、Coffee Lakeを使うにはこのチップセットが必要になりますので比較されることはあまりないと思います。

新旧比較

チップ名 Intel Z370 Intel Z370 Intel H270 Intel Z270 Intel H270
Socket LGA1151 v2 LGA1151
USB 3.1 Gen2 8 port × 6 port ×
PCI-E RAID ×

ラインナップ

Z390/Z370がZ270の後継、H370がH270の後継、H310がH110の後継でH370の廉価版(機能限定版)です。先行してZ370が発売され、その後USB 3.1 Gen2対応のH370、最後にUSB 3.1 Gen2対応のZ390の順に登場しています。

プロセスルールをみてもZ370は前世代のZ270に近い繋ぎの製品で、実質Z390がZ270の後継と考えて良いと思います。Coffee LakeはIntel 300 Seriesでしかサポートされないため中途半端な状態でも出さざるを得なかったのかもしれません。

H310はH110とほぼ同等のスペックとなっており、HPCI-Express Gen2までのサポートでDMIもDMI 2.0止まりと一昔前のチップセットのスペックとなっています。H310Cはプロセスルールが違う(22nm:古い)ものでスペックに差はありませんが発熱は多少多いかもしれません。

チップ名 Intel Z390 Intel Z370 Intel H370 Intel H310/H310C
Memory Slot 4 2
DMI DMI 3.0 (32Gbps) DMI 2.0 (20Gbps)
PCI-Express Gen3 24 24 20 -
PCI-Express Gen2 - 6
USB 3.1 Gen2 6 port - 4 port -
USB 3.0 10 port 10 port 8 port 4 port
USB 2.0 14 port 14 port 14 port 10 port
Serial ATA 3 (6Gbps) 6 port 4 port
SLI/CrossFire x16
x8/x8
x8/x4/x4
x16
OverClock ×
RAID ×
Display 3 2

この他、企業向けにQ370、B360、B365(B360より低スペックなので注意)などがあります。