Intel 6 Series Chipset

はじめに

Intel 6 Series チップセットは2011年に発売された第2世代Coreプロセッサ(Sandy Bridge)用のチップセットです。開発コードネームはCouger Pointで、Intel P55/H57/H55の後継となるチップセットです。

主な仕様

Intel 6 Series

スペック

チップ名 Intel Z68 Intel P67 Intel H67 Intel P55 Intel H57
インターフェース DMI 2.0 (20Gbps) DMI (10Gbps)
PCI-Express 2.0 (5Gbps) 8 -
PCI-Express (2.5Gbps) - 8
USB 2.0 14 port
Serial ATA 3 (6Gbps) 2 port -
Serial ATA 2 (3Gbps) 4 port 6 port
Internal Graphic × ×
SLI/CF × ×

この他、H67の廉価版としてH61があり、Serial ATA 3をサポートしない他、USBポートの数やメモリスロット(チップセット関係ないのに!)の数などに違いがあります。

Intel Z68/P67/H67

Intel 6 Seriesは第2世代CoreプロセッサであるSandy Bridgeをサポートするチップセットとして登場し、マザーボード側が対応すれば同じプラットホームを利用する第3世代のIvy Bridgeもサポートします。ソケットはLGA1155で第1世代のLGA1156などと互換性はありません。

実は、Intel 6 Seriesは最初に出荷したB2ステップには数年でSerial ATA 2(3Gbps)が使えなくなる不具合が見つかりリコール騒ぎとなりました。Sandy BridgeをサポートするチップセットはIntel 6 Seriesだけだったため、Sandy BridgeはCPUはあるけど対応するマザーボードがないという状態がしばらく続きました。なお、Serial ATA 3(6Gbps)の2ポートには影響がないため、メーカー製パソコンなどでSerial ATA 2(3Gbps)を使わないもののみ出荷していたようです。

Intel 5 Seriesの後継ですが、ハイエンド向けプラットホーム用はIntel X58チップセットが引き続き使用されたため、Intel 6 SeriesにXを冠するチップセットはありません。Intel P67はIntel P55の後継で、Intel H67はIntel H67の後継、そしてZ68はP67とH67の機能を両方搭載していると考えると分かりやすいです。また、Intel Z68にはSmart Response Technologyという高価で容量が少ないSSDをHDDのキャッシュとして使う機能が搭載されています。

なお、Intel Z68は、他のIntel P67やH67より数ヶ月ほど遅れて発表・発売されましたが、上記のリコールの影響で実質は最初からラインナップにいるのと同じような状況となってしまいました。

これまでのIntelのチップセットはPシリーズとHシリーズを機能で選択する形でしたが、Intel Z68の登場で一般向けのHシリーズと上位のZシリーズという構成となり、後継のIntel 7 SeriesではラインナップからPシリーズがなくなっています。

もともと、Intel 4 Seriesまではチップセット側にグラフィックが内蔵されていましたが、Core iプロセッサはCPU側にグラフィック機能があるのでチップセットでサポートを制限する意味がないという事情もあります。なお、内蔵グラフィックをサポートするにはマザーボード側の対応も必要のため、Intel 7 Series以降ではチップセットにZシリーズを搭載しながら内蔵グラフィック機能をサポートせずPシリーズのように使うマザーボードも存在しています。もっとも、サポートするためのコストが僅かなようで、ほとんど見かけませんが。。。

 

特徴

第2世代 Core iプロセッサ(Sandy Bridge)対応

Intel 6 Series チップセットは、第2世代Coreプロセッサ(Sandy Bridge)に対応するチップセットという点が最大の特徴です。ソケットはLGA1155で第1世代のLynnfield/Clarkdale系とは互換性がありませんが、マザーボード側が対応すれば第3世代のIvy Bridgeもサポートします。

PCI-Express Gen 2 (5Gbps)対応

機能面ではPCI-Express Gen2の5Gbpsに対応したところがトピックです。Intel 5 Seriesも一応はPCI-Expresss Gen2を名乗っていたものの速度はPCI-Express Gen1と同等の2.5Gbps止まりでした。

また、CPUとの接続に使われているDMI 1.0(10Gbps)もDMI 2.0(20Gbps)となり帯域が2倍となっています。もともと、DMIはPCI-Express x4をベースにしているので、PCI-ExpressがGen 2となったことで、こちらもGen 2ベースになったと言えます。

なお、チップセットがネイティブでUSB 3.0をサポートするのは次のIntel 7 Seriesまで待たなければなりませんが、サードパーティー製でPCI-Express Gen2 x1のUSB 3.0のコントローラが登場したことでUSB 3.0を搭載したマザーボードも多く発売されています。

Serial ATA 3 (6Gbps)対応

Serial ATA 3 (6Gbps)を2ポート搭載したのも特徴です。全部で6ポートのSerial ATAをサポートしていますが、そのうち2ポートがSerial ATA 3 (6Gbps)対応で、残りの4ポートは従来のSerial ATA 2(3Gbps)です。

Serial ATA 3 (6Gbps)をサポートするためにはDMI 1.0(10Gbps)では帯域が逼迫するので、上記のPCI-Express Gen2 = DMI 2.0対応のタイミングで搭載したと考えられます。

PCIバスのサポートの打ち切り

ラインアップによって異なりますが、主力のZ68/P67/H67ではPCIバス(=スロット)がサポートされなくなっています。もっとも、ほとんどのマザーボードでPCI-Express接続のPCIブリッジチップを搭載して引き続きPCIスロットを搭載していたためエンドユーザーから見ると影響は少なかったと言えますが、PCI接続の拡張カードによっては従来のチップセット内蔵よりも相性問題は多いようです。