Intel 925/915 Chipset

はじめに

Intel 925/915 チップセット は2004年に発売されたPentium 4用の主力チップセットです。 開発コードネームはGrantsdaleとAlderwoodで、PCIExpressに対応、DDR2 SDRAMに対応、新しいCPUソケットのLGA775に対応しているなど新しい技術が目白押しとなったチップセットです。

主な仕様

スペック

チップ名 Intel 925P Chipset Intel 915PE Chipset
ノーズブリッジ Intel 82925X (MCH=Memory Controller Hub) Intel 82915P (MCH=Memory Controller Hub)
サウスブリッジ Intel 82801FA (ICH=I/O Controller Hub 6) シリーズ
対応CPU Pentium 4
(FSB 800/533対応)
Pentium 4/Celeron
(FSB 800/533/400対応)
対応メモリ種類 デュアルチャンネル
DDR2 SDRAM ECC対応
デュアルチャンネル
DDR2/DDR SDRAM
対応メモリ速度 8.5GB/s
メモリの最大搭載量 4GByte
最大メモリスロット数 4slot 8bank
ノースブリッジとサウスブリッジの接続に使用しているバス DMI (Direct Media Interface)
PCI Express PCI Express x16 1個とPCI Express x1 4個
AGP ×
PCI 32bit/33MHz×6 Ver2.2
IDE UltraATA100, Serial ATA
USB USB 2.0 4channel 8prot
付加機能 HD Audio
×

※ICHはRAID対応のICH6RとワイヤレスLAN対応のICH6W及び両対応のICH6RWとオリジナルのICH6がある。

特徴

このチップセットは革新的な技術が多く取り入れられていて、Intel自身が「10年に一度のPCアーキテクチャの革新の一つ」と豪語したくらいです。

i915にはグラフィック非搭載のi915Pと搭載しているi915Gが存在していて、i915Gに搭載されたグラフィックコアはDirectX9.0に対応した第三世代のグラフィックコアでi865Gなどに搭載された第二世代よりもコアクロックなどを含めて性能が向上しています。

まず、PCIに代わる新しいインターフェースとしてPCI Expressに初めて対応するチップセットで、ノースウッドにグラフィックカードを搭載することを前提に搭載されたPCIExpress x16とサウスブリッジに各種拡張機器(まずはギガビットイーサーネットカード)向けのPCI Express x1を最大四つ搭載することが可能になっています。代わりにグラフィック専用インターフェースであったAGPやギガビットイーサーネット専用インターフェースだったCSAが廃止されました。

PCI Expressの利点は転送速度が従来のPCIが双方向併せて33MHz×32bitで133MB/sであったのに対してPCI Expressではx1でも双方向別々に250MB/sとなっていて双方向で通信する場合単純に考えると4倍近くの帯域を持つことになります。加えて、PCIはバスが共有されているので同じバス上にあるPCI機器の一つが大容量データを転送している場合にバスを占有して他の機器で帯域が不足する場合があるのに対して、PCIExpressでは一つ一つのバスが独立しているので一つの機器でフルに帯域を使うことができます(PCIバスでも複数のPCIバスを持つ主にサーバー向けのチップセットの場合はそれぞれのバスごとに共有することになる)。

メモリには新たにDDR2 SDRAMに対応し、さらにDDR2 533に対応していることから最大8.5BG/sでの転送が可能になっています。ただし、CPUバス幅が800MHz(クロックは200MHz)のままなのでそれほどの性能向上は見込めないようです。なお、Intel925XはDDR2専用ですが、Intel 915P/GはDDR SDRAMにも対応しています。

i925X/i915P/GではCPUのソケットに基本的にLGA775を採用しています。これはPentium 4/Celeronがより安定した動作ができるようにグラウンドなどの配線を増やしたものですが、電気的な仕様はmPGA478と変わっていないようなのでi875/i865シリーズでもLGA775製品が登場したり、逆にi925/i915シリーズでmPGA478が登場する可能性はあります。(場合によっては変換下駄が登場する可能性すらあります。)

i925X/i915P/GではAGPの代わりにPCI Express x16を搭載しました。AGP 8Xは双方向で併せて2.1GB/sの帯域を持ちますが、PCIExpressは双方向各々で4GBの転送速度を持ちます。現時点でAGP 8Xの帯域が不足することは希なのでよっぽど激しい3Dゲームをやらない限りないと思われますが、エンコードなどの処理をグラフィックカードで行うようになると、メインメモリからGPUに書き出して、さらにGPUからメインメモリに書き戻すような作業が重要となってくるのでPCIEcxpressの力が発揮されることになります。

i925X/i915P/Gではサウスブリッジに新開発のICH6シリーズが搭載されます。どれを選択するかはマザーボードメーカーが選択できます。ICH6シリーズはPCIExpress x1が4ポート搭載され、このためノースブリッジとの接続がより高速になったDMIというインターフェースを採用しました。DMIは物理的な仕様はPCIExpressに近く通信プロトコルが独自のもののようです。

足回りはSerial ATAが4チャンネルに強化された反面、パラレルATAが1チャンネルとなったのでレガシーなドライブをたくさん持っている方とってはあまりありがたくない仕様かもしれません。

オンボードオーディオは長らくAC'97(48MHz 16bit 6channel)コーディックが利用されていましたが、Intelが推進するPCのデジタル家電化計画の一端として大幅に強化され、HighDefinition Audio(192MHz 24bit 7.1channel)が採用されました。

また、ICH5RからあったRAID搭載モデルも健在でRAID機能が強化され一つのドライブ上で複数の種類のRAIDが同時に組めるようになりマトリックス・ストレージ・テクノロジと命名されました。またワイヤレスLANのアクセスポートの機能をもたせることが出来るモデルも加えられました。

ICH5とICH6シリーズの性能表

チップ名 ICH5 ICH5R ICH6 ICH6R ICH6W ICH6RW
Serial ATA (channel) 2 4
Parallel ATA (channel) 2 1
Serial ATA RAID × × ○+α × ○+α
無線LAN × × ×
チップセット間の接続 Hub DMI
PCI Express × x1 4個
HD Audio ×