『Intelとバグ』

はじめに

コンピュータが計算ミスをするというのはあまりイメージが浮かびませんが、以前CPUの計算ミスで騒ぎになったことがあるのでお話します。

バグのお話

Pentium プロセッサーには、ごく少ない確率で浮動小数点演算に計算ミスをするというバグがありました。Intel は発売前にその事実を把握していたようですが、発生頻度がごく稀であるので公表せずにそのまま出荷してしまいました。

ところが、結局それが一般の人に発見されネットで大々的に公表されてしまいます。しかし、Intel はそれでもごく稀にしか発生しないことを理由に、フリーズしたら困る基幹サーバー用のみ、そのバグを訂正したプロセッサと無償交換することし、あとは交換しないという態度をとりました。それが、ユーザーややマスコミに大バッシングを受け、IBMが無償交換に応じるまで Pentium マシンの販売を延期する措置をとるまでに至り、結局すべて無料で交換することに至りました。

なんでも、この回収騒ぎで Intel は5億ドルの損失を被ったとかで、しかも Intel の信用は地に落ちたのです。

しかし、Intel はこの教訓はしっかりと生かしました。Pentium の次のCPU である Pentium Pro でもバグが発見されましたが、これも小規模なバグで発生頻度も極めて低いものでしたがIntel はキチンとこの事実を公表しソフトウエアでの回避を促しました。(BIOSでその計算を回避するようにするらしい)

この対応に関しては、ユーザーやメーカーに好印象を与える結果となったのでした。

なお、Pentium は、初代の 『P5』 以外は基本的にデュアルに対応していますが、初期の 『P54C』 では、 そのままでは Dual CPUができないというバグがあり、この場合対になる CPU に専用の 『P54CM』 ( P54CS と同じプロセスルール)を採用することで回避しなければなりません。