『デファレンシャル駆動』

はじめに

パソコンパーツの説明を見ているとときどき高速化の技術がよくわからないカタカナで登場したりします。高速化の手法は色々ありますが、その中でも定番となる高速化手法は色々なパーツで応用されています。

このページでは、デファレンシャル駆動という高速化手法、厳密には高速化というより高速化によるノイズ被害を抑えるために導入される技術についてご紹介しようと思います。

デファレンシャル駆動ってなに?

データの転送方式にシングル方式とデファレンシャル方式という方法があります。

データは電圧の差として通信されますが、この電圧の差が大きいほど電圧の変化が多くなるわけで変化するのにかかる時間も多くなります。高速にデータを転送するということは短時間にたくさんの電圧の上下をする必要があるわけで、変化にかかる時間が長いという事はある程度以上高速でデータ転送するのは難しいということになります。

ならば電圧の差を小さくすればよいのですがデータの転送途中で電磁ノイズを受けることがあり、この電磁ノイズによって信号にノイズ(電圧の差)が発生することがあります。このノイズによる電圧の差がデータの電圧の差よりも小さい時はフィルターを通せば問題なく除去できます。しかし、高速化の為にデータの電圧差を小さくすると小さくなければなるほどこの電磁ノイズによって発生したノイズとデータが区別しにくくなり除去が難しくなっていきます。この為、ある一定以上電圧の差を小さくすることは困難なのです。

そこで、各一本の信号線を二本に増やして送信側では片方にもとのデータの信号(Aとする)を、もう片方にデータの信号を反転した信号(Bとする)を送ります。二本の信号線を並べて走らせれば、電磁ノイズは両方の信号線に同程度の影響を及ぼします。受信側でBを反転してもとのデータの信号に戻すとノイズも反転され、さらにAと合成するともとのノイズと反転したノイズとが相殺してデータだけを得ることができます。この方法がデファレンシャル駆動と呼ばれる手法です。

使用例としては Tualatin コア の Pentium III の CPU バスや、SCSI の LVD 転送方式の SCSI バス などでこの転送方法技術が利用されています。とくにTualatinコアの Pentium III では、従来品との互換性の問題から、違いとしてデファレンシャル駆動が大きく取り上げられたのでデファレンシャル駆動が一躍有名となりました。

デファレンシャル駆動は高速なデータ転送に貢献する大切な技術なのです。