はじめに
Pentium Dual-Coreは2007年にIntelが発売したCPUで開発コードネームはAllendale(Conroe-2M)。Core2Duoシリーズと同じコアを使用しながら機能を制限し、Core2 Duoより廉価でCeleronよりも高価という位置づけのプロセッサーです。
『Pentium』というブランドは新しいブランドである『Core』に取って代わられる予定でしたが、一部の地域で根強い人気があった為にローエンド向けブランドという位置づけながら返り咲きました。
写真

主な仕様
- Core マイクロアーキテクチャーを採用
- 1MBの二次キャッシュ
- 800MHzのFSB
- Pentiumブランド復活(仕様ではない?)
スペック
チップ名 | Pentium Dual-Core | 備考 |
---|---|---|
開発コードネーム | Allendale | Conroe-2M(AllendaleはConroeのL2キャッシュ2M版) |
一次キャッシュ | 64KB | |
二次キャッシュ | 1024KB | |
FSB | 800MHz | クロックは200MHz |
パワークラス | E2xx0 | パワークラスが『E』なのでPentium Eと呼ばれる場合も |
対応スロット/ソケット | LGA775 | |
プロセスルール | 0.065μ | |
拡張命令 | MMX/SSE/SSE2/SSE3 | |
EM64T | ○ | |
VT | × | |
その他 | 拡張版Speedstep |
特徴
Pentium Dual-Coreはブランド名こそ異なりますがCore2 Duoのコアと同一のものを使っているので、『Core マイクロアーキテクチャー』の採用、L2キャッシュを共有したデュアルコア、低消費電力で高いパフォーマンスがある点などの特徴を踏襲します。開発コードネームはAllendaleとなっていますが、これはConroeのL2キャッシュが2MBのタイプ(Conroeは4MB)でその他の点に関してはConroeと同じです。
Core2 Duoについて詳しくは『Core2 Duo』を参照してください。
IntelはCore Duoを投入する際に、イメージを刷新するために初代Pentium以来10年以上使ってきた『Pentium』ブランドをやめて、『Core』ブランドを採用することを決めました。実は、大規模な宣伝を行い日本のように性能を重視する地域では『Core』ブランドが浸透したようですが、皮肉にも今までコツコツ積み上げてきた『Pentium』というブランドの人気が根強い地域も少なくなかったのです。
これらの地域では高価なCore2 Duoよりも「あのPentiumが低価格で!」のような感じに旧製品のPentium(Pentium D)が大人気になってしまいました。これを打開するために、ローエンド向けに再びPentiumブランドを投入することにあいなったのです。この価格帯に投入された背景には、これらの地域で好まれている価格帯ということもあったようです。
私は初代『Pentium』から歴代のPentiumシリーズを使ってきて馴染みがあるので、Pentiumブランドの復活は(たとえそれがローエンド向けだとしても)うれしい限りです。ということで、わざわざページまで作っちゃいました(本来だったらCore2Duoのページの一項目扱いだったかも)。
Dual-Coreですが、下の表の通り意外にコストパフォーマンスが高い位置にいます。Core2 Duo E4xxxと比べるとL2キャッシュしか違いがありませんが、Celeron4xxと比べるとデュアルコアに対応しているなど高性能です。性能重視ならばCore2 Duo E6xxx系がお勧めですが、そうでないならPentiumDual-Coreはなかなかよい選択肢だと思います。
チップ名 | Core2 Duoファミリー | |||
---|---|---|---|---|
シリーズ | Core2 Duo E6xxx | Core2 Duo E4xxx | Pentium Dual-Core | Celeron 4xx |
デュアルコア | ○ | ○ | ○ | × |
二次キャッシュ | 4M(※1) | 2M | 1M | 512K |
FSB | 1333/1066MHz | 800MHz | 800MHz | 800MHz |
VT | ○ | × | × | × |
※1一部でE6xxxで2Mキャッシュのものも存在する(この場合FSBとVTがE4xxxxと異なる)。
Penryn/Wolfdale世代
2008年にはプロセスルールを45nmにシュリンクしたPenryn/Wolfdale世代の新しい Core 2 Duo シリーズが登場し、その後これをベースとしたPentiumDual-Coreが登場しました。基本的にはPenryn/Wolfdale世代の Core 2 Duo の特徴を踏襲していますが、SSE4には対応していません。
開発コードネーム | Pentium Dual-Core | Pentium Dual-Core | 備考 |
---|---|---|---|
開発コードネーム | Allendale | Wolfdale | |
2次キャッシュ | 1MB | 2MB | |
プロセスルール | 0.065μ | 0.045μ | |
FSB | 800MHz | 800/1066MHz | |
パワークラス | E2xx0 | E5xx0/E6xxx0 | E5xx0が800MHz E6xx0が1066MHz |
TDP | 65W | 65W | 消費電力は低減 |
拡張命令 | MMX - SSE3 | MMX - SSE3 |
コストパフォーマンスが高く、オーバークロック耐性も優れていたため自作市場では大変人気あったようです。特に Core i系のCPUが登場してからは差別化のための性能制限をする必要少なくなったために高クロックなモデルも登場し、ベストセラーモデルとなっていました。余談ですが、PentiumDual-Core E6400は、Core 2 Duo E6400よりもかなり性能が高かったという逸話が残っています。