はじめに
先日、α7SのRAW現像についてちょこっと記事を書きましたが、本格的にRAW現像を取り入れるみることにしました。ただ、写真を一枚いち枚追い込んでいくぜ!みたいなことに目覚めたわけではなく、今あるα7Sの性能を引き出すというのが今回の目的です。
この前編では、RAWで撮影する理由とJPEGに代わるAVIFというファイル形式について、後編ではPhotoshop Lightroomのモバイル版を使ってiPhoneでRAWの現像をしてiCloud写真に保存する方法をご紹介します。
なぜRAW現像で撮るのか?
昔のフイルムカメラはカメラ本体はただの箱で、写真の画質は装着するレンズやフイルムが左右します。語弊を恐れずに言えば、新しいカメラでも古いカメラでも、カメラ本体は写真の画質にはあまり影響しません。
しかし、デジタルカメラはフイルムの代わりとなるイメージセンサーと画像処理エンジンがカメラ本体に搭載されているため、カメラの性能がそのまま写真の画質に影響することになります。つまり、気が付くと新しいカメラをポチっているという恐ろしい現象が発生するわけです。(笑)

イメージセンサーは後からどうにもなりませんが、画像処理エンジンについてはRAWで記録するとほぼバイパスされるので、カメラに搭載された画像処理エンジンが古くても、最新のソフトを使ってRAW現像してあげれば、最新のカメラの画像処理エンジンに負けずとも劣らない写真が期待できるという寸法です。

また、イメージセンサーは性能の側面が大きいのに対して、画像処理エンジンは絵作りという好みの要素があり、メーカー間で特色がでるところでもあります。通常は好みの絵作りをするカメラを選ぶと思いますが、そうでない場合でも好みの絵作りをするソフトを選ぶことで自分好みの写真に仕上げることがでます。
ちなみに私の場合は、当時はフルサイズのミラーレスカメラが(超高級な)LeicaかSONYしかなかったのでSONYをチョイスしましたが、絵作りはPanasonicが好きだったので、今だったらLUMIX S5あたりを買っていたかもしれませんね。
そろそろJPEGをアップデートしよう
JPEGはビデオCDのMPEG1と同じ時代のもので、動画であればDVDのMPEG2、Blu-rayのMPEG4/H.264といった感じに飛躍的に進歩してきています。動画はファイルが大きいので圧縮率が重要なのに対して、写真はそこまでではないので昔ながらのJPEGを使い続けているのでしょうか。
とはいえ塵も積もれば山となって効いてきます。圧縮率が高ければ、同じ画質ならば小さいファイルサイズで、同じファイルサイズならば高い画質で保存ができます。つまり、JPEGをHEIFやAVIFといった新しいフォーマットにすることで画質を損なわずにPCやスマホのストレージやクラウドの容量を節約できるわけです。
もちろん、JPEGで写真を撮って後からHEIFやAVIFに変換することもできますが、この方法では1度JPEGで圧縮した写真を変換するので、少なくとも元のJPEGよりも画質は低下してしまいます。しかし、RAWで撮ってHEIFやAVIFに変換するのであれば、カメラで撮って出しのJPEGと同等以上のクオリティが期待できます。
では、JPEGに代わってどのフォーマットが良いでしょうか?私はAVIFをオススメします。
iPhoneやα7S IIIなどでサポートされているHEIFですが、ライセンス料の問題などからかソフトの対応状況が良くありません。Appleはサポートに積極的ですが、Windowsの標準機能やPhotoshopではHEIFを開くことはできるのですが書き出しができません。
それに対して、AVIFは後発ですがiOS&Mac OS/WindowsともにAVIFへの対応も進み、例えば最近のPhotoshop Lightroomはモバイル版でもAVIFに対応しているので、iPhoneでRAW画像を現像してAVIFで書き出すような使い方ができるのです。

性能面ではAVIFとHEIFは大きな違いはないようですが(若干AVIFの方が圧縮率は高いようです)、動画フォーマットのAV1とともにAVIFは将来性が期待できるフォーマットと言えます。
前編 | 後編