α7 S with CarlZeiss Sonnar 50mm F1.5

はじめに

CarlZeiss Sonnar 50mm F1.5はカールツァイスのコンタックス用レンズとして発売されたものです。旧コンタックスマウントはピントリングがカメラ側にある変わった機構を持つため、マウントアダプタの種類が少なくメチャクチャ高いです。ただ、それもあってかレンズの価格はオールドレンズの割には安く2万円程度で購入しました。

やっぱりEマウントの単焦点レンズはカールツァイスのゾナーでしょう。しかも、このゾナーはカールツァイス自身が設計も製造も手がけた正真正銘のカールツァイスレンズです。写りの方は、いかにもオールドレンズといった味のあるものですが、少し絞ると半世紀以上前のレンズとは思えないしっかりとした写真となるのは特筆すべきところだと思います。

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CarlZeiss Sonnar 50mm F1.5

Sonnar 50mm F1.5はカールツァイスの名設計者ルートヴィッヒ・ベルテレ氏が1931年に設計した最初のゾナーとなるSonner 50mm F2を改良して1932年に登場しました。現在でもコシナから同様のレンズ構成を継承したレンズ(C Sonnar T* 1,5/50)が販売されていることからもその人気の高さがうかがえます。

Sonnar 50mm F1.5は長い期間発売されていたため製造時期によってスペックが異なります。購入したレンズはT*コーティングされてない戦前のタイプで絞りもF11までしかありません。戦後の比較的新しいものはT*コーティングされて絞りもF22に増えているそうです。

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前身となるSonnar 50mm F2と比較して1段程度の差しかありませんが、レンズの大きさを比較するとかなり大きくなっていますね。今でもF1.5はかなり明るいレンズなので、当時はいかに凄い性能を持ったレンズであったかがうかがえます。今ほど高感度にできないフイルムの時代では、頼れる高速レンズだったに違いありません。

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Sonnar 50mm F1.5にもライカLマウントのものがあるとウワサされていますが、私の買ったのは一般的なCONTAX C(オールドコンタクス)マウント内爪タイプで、このCONTAX Cマウントの内爪タイプはピントリングがカメラ側にあるのでマウントアダプタにピントリングを付ける必要があり種類が少なく値段も非常に高価です。

私はJupiter-8M 50mm F2 の際に購入したKIPON社製のCRF-NEXというアダプタを使いました。33000円もする超高価なマウントアダプタでしたが、このSonnarを見越して買っておいて正解でした。Jupiterは取付け部分が非常に渋かったのですが、今回は逆に甘すぎるくらいです。回転機構がついているので取り外しやすいに方が良いですが。

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写りの印象

あえてコーティングを施してない戦前タイプを購入した甲斐があり、開放付近では甘い解像感と独特な色合いで、いかにもノストラジックな写真になるのでお気に入りです。特筆すべきはその色味で、同じくノンコートのElmar 50mm F3.5が淡い色合いなのと対照に、こちらはコッテリと濃い色合いだと思います。

開放では被写体深度がかなり浅いので、よくピントをハズしてフォーカスが甘くなりますが、キッチリ合うと中央部分の解像度はなかなかのものです。そして、F4くらいに絞ると独特な色味を残しつつも、周辺までしっかりとした写真が撮れるのは素晴らしです。逆光には弱く、すぐフレアが発生しますが当時としては順当な性能でしょうか。

このレンズの特徴でもあるF1.5の明るさで大きなボケが楽しめますが、被写体深度が浅くなるのでシャープな写真を撮るのは難しいと感じます。あと、ボケは少々滑らかさにかけて、どちらかというと大ざっぱなところはご愛敬。α7Sを使っていると気づきにくいですが、高速レンズは伊達じゃなく、夜間において低いISOでもシャッター速度が稼げます。

私はとくに開放付近の色味や甘い描写がとても気に入っていて、見ていてほんわかとした気持ちになれる写真が撮れるレンズだと思います。絞っても色味など独特の雰囲気は失われないのですが、ついつい開放で使いたくなってしまう、そんなレンズなのです。

α7S + Sonnar 50mm F1.5 ISO100 F1.5 1/4000 +0.3 Vivid

絞りと色味

私は基本的にホワイトバランスをオートにして撮影していますが、このレンズは絞りによって結構色味が変わるように思えます。F1.5ではやや黄色め、F2~F4ではやや青め、F5.6~F11ではやや赤めだと思います。ということで、同じ場所で撮り比べてみました。

とはいっても、だいたい同じ場所で絞りを変えて撮っただけなので、厳密なものではありません。なお、露出も固定していますが、F1.5とF2では明るさが違って見えます。私としてはレンズの特性よりも、画像エンジンで処理されているわりには、思いのほか色味の変化が反映されるのだなというのが率直な感想です。

F1.5

F2

F2.8

F4

F5.6

F8

F11

いかがでしょうか。個人的には色味と解像感を含めて解放のF1.5が一番好きです。

作例

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