はじめに
Super Takumar 55mm F1.8は、PEXTAXが旭光学工業という名前だった頃に自社製の一眼レフカメラのセットレンズとして作られたレンズです。
実はこのレンズは中古で買ったわけではありません。父親が昔に買ったPENTAX SPについていたもので、学生の頃にカメラごともらってフイルム時代から良く使っている愛用のレンズです。そして、ミラーレスカメラで初めて試したオールドレンズもこれです。
Super Takumar 55mm F1.8
Super Takumar 55mm F1.8は1962年に登場したレンズですが、製造期間が長く、また製造時期によってだいぶ中身に違いがあるようです。このレンズは1964年発売のPENTAX SPについていたものなので、その頃のレンズということになります。
カメラとともに数多く販売されたため出回っている数が多く、また値段の割に画質が良いことからオールドレンズの入門用にもってこいと言われています。F1.8の明るさの割にコンパクトで、写りもそれほどクセがなく、そして(状態にもよりますが)5000円以下で手に入る手頃さは魅力的です。
ちなみに、今では使われていない(使ってはいけない?)放射性物質のトリウムが含まれたガラスが使用されていた時期があり、その場合レンズから放射線がでてきます。アトムレンズなんて揶揄されていますが、トリウム入りのレンズは屈折率が高くて大変優秀な性能を誇るそうなので、さながら禁断のレンズといったところでしょうか。
数字だけみると自然界の数十倍から百倍以上の放射線がでてくるようですが、一年中身につけているものでもないので健康にはほとんど影響はないだろうと言われています。ちなみに、私が持っているのはトリウムレンズ入りです。
このレンズはM42マウントで、私はFotga社製の超格安マウントアダプタを使用しています。お値段1000円と普段買っている格安マウントアダプタよりも更にリーズナブル。さすがに微妙に作りが粗い部分もありますが、フランジバックのやマウント部分の精度は問題無いようです。ただし、ピンを押す機構がないので自動絞りのピンを押す必要があるレンズは使えません。
写りの印象
このレンズはPlanar 50mm F1.4を買うまで家で一番明るいレンズでしたので、マイクロフォーサーズの頃から明るい単焦点レンズとして使っていました。50cmくらいまで寄れますし、ボケもきれいなので、素人の私でもソレっぽい写真が撮れるのです。すばらしい(笑)。
カリカリのシャープな写りではないですが、適度な解像感があるので写真として見るとバランスが良いと思います。また、コントラストは最新のレンズに比べると若干淡いですが、むしろほどよい色合いなので私は気に入っています。このレンズも逆光に強いわけではないですがマシな方だと思います。
全体的にみると、いかにもオールドレンズというような淡い絵ではないですが、かといって最新のレンズほどハデな絵でもなく、素直で自然な写真に仕上がっているという印象です。トガった写りを期待していると物足りないかもしれませんが、扱いやすくバランスの良い写真がとれるので実用的なレンズだと思います。
もっとも、最新のレンズと比較しながら、やれシャープネスがどうのコントラストがどうのと話していますが、これで半世紀前のレンズなのですから、そのデキの良さに驚かざるをえません。
α7S + Super Takumar 55mm F1.8 ISO100 F8 1/640 +0.3 Vivid