スキャン時間

はじめに

フィルムスキャンはデジカメと違って解像度が上がると画質は向上するもののスキャン時間も長くなってしまいます。そこでCanon Canoscan 9000F は各解像度でどの程度のスキャン時間がかかるのか測ってみました。

スキャン時間

ある写真を1枚、各解像度につき1回づつCanon Canoscan 9000F でスキャンしたものを、普通の時計でアバウトに時間を計ったものなので参考程度にみて下さい。まずは、ホコリ・キズ補正や高画質化などをすべてOFFにして時間を測りました。

解像度 スキャン時間
1200dpi 30秒
2400dpi 80秒
4800dpi 150秒
6400dpi 555秒

ホコリ・キズ補正などによりスキャン時間が長くなる可能性が高いので比較のため、1200dpiと4800dpiについてホコリ・キズ補正や高画質化などの機能を有効にしてスキャンしてみました。

解像度 スキャン時間 スキャン時間(補正あり)
1200dpi 30秒 72秒
2400dpi 80秒  
4800dpi 150秒 330秒
6400dpi 555秒  

この結果を見ると、ホコリ・キズ補正や高画質化などの機能を有効にするとスキャン時間が倍以上かかってしまうと言えます。

CPU占有率

ホコリ・キズ補正や高画質化などの多くの処理はスキャナー本体よりもCPUが行っているハズなので、それによってスキャン時間が長くなるということはCPUの処理能力の上限までいっているということになります。ただ、実験に使ったマシンは以下のようなスペックで、最新ではないものの現時点でもかなり高スペックな部類のハズです。

続いて、タスクマネージャを見てみるとCPU占有率が25%で頭打ちになっていることがわかりました。つまり、附属のMP Navigator 3.1はマルチスレッド(マルチコア)に対応しておらず、1コア(25%)の上限で頭打ちとなっているということになります。

イメージ イメージ

Core i7 で2.8GHzという速度は決してスペック的に劣るものではないので、現在のほとんどのパソコンで同様の結果になると思われます。そもそも、それだけマシンスペックを消費するアプリケーションをマルチスレッド(マルチコア)に対応させていないこと自体が大きな問題だと思います。

単純に考えるとマルチスレッドに対応させて4コアのCPUで処理したと仮定すれば4倍の速さでスキャンできることになり、4800dpiのスキャンでも補正含めて80秒、補正なしなら40秒でスキャンできることになります。

もちろん、マルチスレッド化できない部分もあるでしょうし、別のボトルネックもあるはずなのでこの通りにはならないでしょう(アムダールの法則など限界がある)が、少なくとも各種補正により増えた部分はほとんどCPU処理によるものでしょうから、この分は短縮できることが期待できます。

Canon さんには、次の製品を開発するのであればハードウェアの改良もさることながら、このアプリケーションの改善もしてもらいたいものです。

その他

解像度4800dpi でスキャンすると1枚7分くらいかかるので、12枚だと1時間半くらいかかります。その間ずっと前で待っているのももったいないので別の作業をしているのですが、パソコンの前にいるとは限らないので、様子を見にちょくちょく行かなければならないのです。なので、CDのライティングソフトのように、スキャン完了の通知メールを送る機能が搭載されると便利だなぁと感じました。

ちなみに、推定残り時間が表示はかなりいい加減で、1分以内になってから何分も待たされることなどザラな状況なのであまり目安にはなりません。

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ということで、CanoScan 9000Fのスキャン時間は解像度があがるとかなり長くなるので、解像度の選択の際には画質とのバランスを考慮する必要があると言えることがわかりました。実際には付ききりなわけではないのでそこまで気にする必要はないかもしれませんが、1時間オーバーとなると生産性に影響がでてくると思います。

また、マシンスペック(シングルスレッド性能)を引き上げることで、スキャン速度を上げることができるということと、ホコリ・キズ補正や高画質化などのパラメータによってもスキャン速度が変わることも分かりました。