α7 S with Leica Elmar 35mm F3.5

はじめに

風景写真が好きなのでLeicaの広角レンズをと思いElmar 35mm F3.5を購入してみました。価格は4万円程度で、天下のLeicaさまのレンズにしては、まぁまぁ手が出しやすいお値段だと思います。Leicaの35mm広角レンズはSummaronも有名ですが、Elmarはそれより古い時期のもので、購入したのはコーティングがない戦前タイプです。

写りについては、他のElmar 50mm F3.5Elmar 90mm F4と似ていて、淡い色合いと繊細な描写が魅力的なレンズだと思います。実用的で使いやすい反面、何もしなくても普通に写ってしまって、オールドレンズとしては面白みに欠けるかもしれません。

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Leica Elmar 35mm F3.5

Elmar 35mm F3.5は最初のLマウントカメラとなる『Leica C』の交換レンズとして、1930年に登場したLeica初の広角レンズです。35mmのLeicaレンズとしてはSummaronが有名ですが、Elmar 35mm F3.5も流通量が多いのに加え、比較的手頃な価格なので好んで使っている人も多いようです。

Leica Elmar 35mm F3.5は途中でSummaron 35mm F3.5にバトンタッチしたので販売期間はそれほど長くありません。そのため、外観やレンズ構成に大きな変化はないですが、コーティングがある戦前タイプとコーティングがない戦後タイプがあります。

なお、初期のものはニッケルメッキ仕様で、その中でも古い物はピントリングの可動範囲が異なっていますが、レンズとしては戦前タイプと違いはないようです。私の購入したレンズは1933年製の戦前タイプで、メッキ、ピントリングともにオーソドックスなタイプでした。

Elmar 35mm F3.5の大きな特徴の一つがそのコンパクトな形状で、まるで沈胴式のレンズを沈胴させたように見えますが、これで使用できる状態です。スタイルはElmar 50mm F3.5と同じで、ピントリングは小さいレンズの割には扱いやすいのですが、絞りの操作性がイマイチなのも同様です。(絞りは前面の黒い部分の縁にあるツメで操作)

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このレンズはライカのLマウントで、私はElmar 50mm F3.5 の際に購入したKIPON社製のアダプタを使いました。無限遠は他のレンズと同じで若干ずれているハズですが、少し絞って風景に使う分には、正直ほとんど分かりません。

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写りの印象

エルマーはElmar 50mm F3.5Elmar 90mm F4と続いて三本目ですが、淡い色味や繊細な写りは50mmや90mmと似ているように感じられます。逆光に弱いため屋外ではコントラストが低くなりがちですが、順光や日陰などでは深い発色をみせるのも同様です。

同じく広角レンズのBiogon 35mm F2.8が盛大に周辺が流れるのに対して、周辺描写も開放から秀逸なのは特筆すべきところです。周辺光量落ち(ヴィネッティング)も開放だと明るいところで目立つこともありますが、ほとんどの場合は気にならないレベルで、全体的にまとまっていて完成度の高い写真に仕上がります。

ローコントラストな色味で最新のレンズでは味わえないノスタルジックな雰囲気の描写ながら、周辺まで適度な解像感があり、なによりクセが少なく安心して撮れるのがこのレンズの魅力だと思います。おまけにボディーキャップと見まがうコンパクトなレンズで、荷物を増やしたくない旅行にピッタリな一本だと思います。

Elmar 35mm F3.5 ISO100 F6.3 1/500 +0.7 Vivid

作例

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