α7 S with Leica Summicron 50mm F2

はじめに

空気感をも映しだす - Leica Summicron 50mm F2は今も続くM型Leicaの標準レンズとして君臨し、Leicaのレンズの中でも最も有名な銘玉の一つでだと思います。

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Leica Summicron 50mm F2

Summicron 50mm F2.0は1953年にL型Leica用が登場し、翌1954年にM型Leicaの登場と共にMマウント版が用意されて以来、M型Leicaの標準レンズとして現在まで受け継がれています。とても有名なレンズで、レンズ自身については多くの方が解説やレビューを行っているのでここではサラりとお話しします。

Summicron 50mm F2.0の最大の特徴は、レンズを貼り合わせる際にあえてスキマ(空気の層)を作ることで各種収差を上手に補正する通称空気レンズを搭載していた点でしょう。これによりそれまでにない高いコントラストと解像度を実現させました。

当時は非球面レンズが一般的ではなかったためこのような方法がとられましたが、F2.0の明るさの割に製造に非常に手間のかかる手法だったようで、その後ガラス素材の改良などにより性能が向上したことから、途中のモデルチェンジでこの機構がないものに変わっています。

Summicron 50mm F2.0は現在も製造が続けられていますが内部構成は変わっていて、空気レンズが搭載されている第一世代、前述のガラス素材の改良で空気レンズを廃した第二世代、コンピュータを本格的に使って新たに設計された第三世代などがあるそうです。第一世代は初期の沈胴型と固定鏡胴型がありますがレンズ構成は同じです。

私が購入したの第一世代の沈胴型で通称『沈ズミ』と呼ばれているタイプ。沈ズミには試作ロットにトリウムが含まれたレンズを使ったものがあり、これらは黄色く変色しているのが特徴です。店には両方あったのですが、店のおっちゃんが「まぁ素人なら大人しく普通のタイプがオススメ」というので、少し高かったですが通常ロットをチョイスしました。

有名ですしレンズにまつわるエピソードにも事欠かない面白レンズですが、いかんせん高いので、いつかはSummicronをと夢見ていたのですが、まさかこうも早々と手を出してしまうとは。。。沼とは恐ろしいものです。

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このレンズもライカのLマウントなのでElmar 50mm F3.5用に購入したKIPON社製のマウントアダプタを使用しています。Elmarを使ったときほどではないですが、やはり無限遠は僅かにずれているようです。高級なレンズなので、いつかは高級なマウントアダプタを奢ってあげたいですね。

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写りの印象

空気感をも映しだすという表現は実に言い得て妙だと思います。このレンズ、実は拡大してみると中央はたしかにシャープなのですが、周辺は意外にそうでもありません。コントラストも高めですが最近のレンズならこの程度は普通でしょう。でも写真として全体をみると、非常に印象的に、魅力的に、繊細に写るのです。

とくに色味と透明感のある描写は素晴らしいと思います。コントラストは高いですが繊細でノッペリとせず立体的な写りになります。解像度についても、中央部はピントが合うと非常にシャープで、周辺部は開放だとやや乱れますが、少し絞れば気にならないレベルです。なお、逆光耐性はノンコートの古いレンズに比べればマシですが強くはないです。

このレンズは、ボケが柔らいのも特筆すべきところで、人物や花を撮ると、鮮やかな色味もあってとても美しい写真となります。ちょっと試写させてもらうツモリだったものの、その写りに惚れ込んで衝動買いしてしまったほどです。(今でもその時に撮った、店のエアスプレー缶の写真は記念に残してあります(笑))

コントラストが高くシャープなのでオールドレンズのイメージとは異なりますが、モダンなレンズの描写ともまた違い、鮮やかで透明感のある描写がとても魅力的な一本です。ライカのレンズではエルマーの写りも好きですが、こちらの方がより実用的だと思います。ちょっと値が張りますが、一度は使ってみる価値があるのではないでしょうか。

α7S + Summicron 50mm F2 ISO100 F2 1/200 +0.3 Vivid

作例

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